社会の分断を煽る言説は日本中に蔓延しているが、価値創造で脱することを提案
2025/09/08 23:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あいつらが悪い」ということがテーマになったのが2025年参議院議員選挙だったのではないか。何とかファーストと言い出すと、それ以外は違うというワードを引き出しかねない。みんなが苦しいので仲良くしましょうというのも傷のなめ合いになってしまう。選挙とは直接関係ないが、本書でも、「社会の分断を煽る言説は日本中に蔓延しています。高齢者が悪い、若者が悪い…」という。本書の構成は議論の前提から始まり、価値の奪い合いという苦しさから脱するための、思考道具の紹介、最後は思考道具の私的意義と社会的意義という。本書の目次を見ると、
はじめに ―誰もが「みんな苦しい」の謎
第1章 私たちの苦しさの正体は何なのか?
第2章 奪い合いの世界から脱する方法はあるのか?
第3章 他者と創り合える未来はひらけるか?
第4章 どうすれば対立は乗り越えられるのか?
第5章 私たちはどうやって進歩していけるのか?
第6章 人と組織が変わる意味はあるのか?
第7章 これから社会と世界はどう変わっていくのか?
第8章 私たちが今日からできることは何か?
おわりに
謝辞 となっている。
以上のように展開されている。「今だけ、カネだけ、自分だけ」と言う価値奪取思考を否定する。資源は有限だが、価値無限であり、価値有限という発想にとらわれていると指摘する。新自由主義にはまり込むとそうなるのだろう。そして、現実にはこのイデオロギーにはまり込んでいるから、どう抜け出したらいいのかという話になる。ここにはまり込んでいる人も、幸福を追求する共通の仲間だとし、どう抜け出すかを提示しようとしている。未来創造の円形を示し、3ステップで進める。2つ目に問題の三角形から解決の三角形へ、3つ目に七転八起の四角形を示す。現代は、資本主義であることは間違いないが、グローバル化が進み、貨幣経済でも不換紙幣制度が揃った時代と指摘する。この時代は数十年の歴史しかなく、価値有限で価値奪取思考、ゼロサムゲームになっているところからの転換を訴えている。価値創造の民主化というワードも出てくる。題名で教育と出てきたので経営の教育書かと思う向きがあるかもしれないが、違っている。それにしても、読むべき一書である。
投稿元:
レビューを見る
2025年2月21日、ワイハウ岩尾社長の最新著書。売り時をミスって含み損で捕まってるワイハウ株をもってる。Twitterの固定で宣伝されてたので見た。
投稿元:
レビューを見る
前作「世界は経営でできている」と比較して判り難さは否定できない。前作とは趣旨が異なり、本書は実践の書であると著者が述べているように、手を動かすということであると理解できるが、それにしては新書のスタイルは馴染まないとも感じた。随所でキーワードはあり、「創り合う世界」や、経営意識と経営知識を普及させることのメリットは大いに首肯できた。
投稿元:
レビューを見る
『世界は経営でできている』の著者、岩尾俊兵氏による、
最新かつ渾身の書き下ろし。
あまりに熱がこもっていて、
「全体主義的になってしまうのでは?」
と少し懸念してしまうほど。
しかし、内容をしっかり読めばわかるが、
あくまでも思考道具として、人間の脳と身体を使って価値創造をしていくための簡便で分かりやすい方法を提示しているだけであり、
特定の思想や主義を読者に強要するものではないことが読み取れる。
変な言い方をすれば、どんな人でもその人自身のために活用できるツールであるから、
どんな思想や信条の持ち主でも同じように役立てていくことができる。
ただし唯一、「同じ人類として共存する気持ち」がまったく無いような思想の人にとっては
ナンセンスかつ無意味な内容になっている。
多少なりとも協力しながら物事を成していく気持ちのある人なら、
たとえ相反する思想の持ち主でも同じように活用できる簡便な思考道具を提供しているところは
特筆すべき点ではないかと思う。
著者の言う「経営学」の定義が、
どれくらい一般的なものなのか浅学な私にはわからないが、
少なくとも著者が提示する3つの方法、
・未来創造の円形
・問題解決の三角形
・七転八起の四角形
は、どれも私自身の例で実際に試してみたら
とても簡単に、脳のエネルギーをあまり消耗せずに具体的な決断や解決策、視点の切り替えが出来た。
ちょうど、コミュニケーションにおける「記号言葉」に似ている、と感じた。
会社の事務所で電話を受け取った時の
「いつもお世話になっております」
などが記号言葉の代表例だが、
特に気の利いた挨拶を考えなくても会話を始めることができるため、脳のエネルギーの消耗を節約するのに貢献している。
同様に、著者の岩尾氏が提唱する3つの思考道具は、
内省したり、解決策を考えたり、視点を切り替えたりする必要がある時に、
決まった方法と手順で描き(書き)進めるだけで
自動的に建設的な方向に思考が進んでいくようになっている。
数学で言うところの方程式のようなものだから、
事例や場面を選ばず、
また個人レベルから組織における意思決定レベルまで、
幅広く活用できる。
とてもシンプルで、
素晴らしい提唱をされていると思いました。
かなり思い切った主張をされているので、
各業界から多くの反発を招くことが予想されますが、おそらく、この著者の性格からして既に想定済みなのだろうと感じました。
まずは私も、この3つの思考道具を、
これからの日々の中で活用してみようと思います。
発見や不備など、気付いたことがあれば、
その際は改めて追記いたします。
投稿元:
レビューを見る
著者の提唱するパラダイムシフトは理解できたが、紹介しているツールでそれができるのかが今ひとつピンとこなかった。
投稿元:
レビューを見る
タイトルから経営について学べる本かと思ったが、「経営の考え方を取り入れて生きていくと良いよ」いった内容。
価値を取り合うのではなく、価値を作り出し行きましょうとのメッセージ。競争じゃなく協創といったところか。
それを手法論として、自分のエゴを利他に置き換えていく○のフレームワーク。自他の主張差を抽象化してベネフィットに変える△のフレームワーク、ネガティブの転換を促す□のフレームワークを紹介している。
ただし、人生においてこれを使わないといけないなと課題設定できるような人は、読まずとも工夫・対応して生きていそう。逆に、課題を持っている人ほど課題認識ができていなく、本を読まないんじゃないかと感じてしまう。
投稿元:
レビューを見る
『世界は経営でできている』と言う本から続いて価値を有限ではなく無限なものとして考え、価値を創造して分け合う社会の重要性を述べています。
主題として全く正しい事を述べられていますし、私もそう思っています。
方法論的な考え方もあり分かりやすい内容だったと思いますが、大事なポイントで2点ほど、現状ではかなり難しい、もしくはもはや無理なのでは?と感じる点がありました。
一つめは金の倫理と人の倫理の歩み寄りと言っている点です。
みんな苦しいと言われるとそうなのかも知れませんが、労働者の側からすれば資本家と経営者の両方からの歩み寄りが得られなければ、単により搾取されるだけですし、まずこの点がサラリと流して良い点ではないと思いました。
二つめは、ユダヤ教的な選民思想と日本の和の心の対比がありましたが、私はそこは真逆ではないかなと考えています。
ユダヤ教ではユダヤ教徒のコミュニティに対する忠誠を教えにしていて、ユダヤ教に最低限の敬意を払う人への敬意も教えにしていると思います。
反対に日本でも昔は村や会社という利害関係だけかもしれませんが、人が忠誠を誓うコミュニティがありましたが、今ではそう言うものも無く、むしろムラ社会や会社は自分のためのお金を稼ぐために仕方なく心ここに在らずの状態で所属しているだけのように思います。
日本にはキリスト教的なあなたの隣人を愛せよと言うような教えもなく、個人がバラバラになり、そうでなくても利害関係のない友人やサークルの方が大事と言われ、相手の本当の顔も知らないSNAなどに夢中になる人々ばかりになりました。
個人の学びや経験や知恵をシェアしても、それがもはやビジネスと言う利害関係の中に拡がっていかない状態にまでなってしまっていると考えると、日本は和の心で大丈夫とは言えないのではと思いました。
投稿元:
レビューを見る
価値有限思考から、価値無限思考へ。
奪わず、創る。
「みんな苦しい」という前提に立つ。
四角形。いいこと、悪いこと、アウフヘーベン。
投稿元:
レビューを見る
哲学的な2つの考え方を補助輪にして、世の中の価値は有限であるという思考から無限であるという思考へのシフトを促す内容。
確かに金や石油といった資本は有限であり、そこに執着すると常に他社と競争して奪い合わなければいけないという思考になる。
一方、人間が創り出す仕事や仕事の進め方については、考え方を工夫すれば無限に生み出せるもので、本書ではそのための3つの思考法が解説されている。
カントの定言命法では、自分が使用する思考については、他の人がそうした場合に自分も幸せになれるような思考を取り入れることが勧められる。
価値が有限だという思考では、常に他社に奪われてしまうかもしれないという疑心暗鬼と隣合わせ。
また、知行合一は知っているということは、それを実践できて初めて言えることという意味。本書で出てくる、価値無限思考になるための3つの思考法も実生活の中の具体例を通して実践することで、初めて知っているということが言える。
投稿元:
レビューを見る
日本企業はなぜ強みを捨てるのか、から注目してる。これで4冊目。たしかに集大成的な本
そして、店舗ビジネスやってると当たり前のように生じる人と人のいざこざ、足の引っ張りあい、不平不満の数々…民度が低いとかなんとか言うのは簡単だけど、その解決策はほぼ分断、遮断のように思える。
これを普及布教して、なんらか変わるのか。
ついてくるのかわからんけど、一歩ずつやってみようかと思う。
投稿元:
レビューを見る
タイトルから「経営者を教育し直す」もしくは「経営的思考を教育に取り入れる」的な内容かと想像しながら読み始め。ところが最初は「世の中には漠然とした苦しさが溢れている」という内容から始まり、「あれ、想像と違った本を借りちゃったかな」と思いきや、そこから「他者と自分とを同時に幸せにする道を見つけ出す価値創造の哲学や方法」についての内容に進んでいった。世の中が多様化する現代では「白か黒か」ではなく、「白も黒も」を追求し、結果として白と黒が混ざったより良い色になることを目指す、ということなんだろう。先般読んだ「二項動態経営」に近いものと感じた。
投稿元:
レビューを見る
価値を生み出すという、ビジネスの根本であり、大切にすべき原理原則を再認識できる本です。
ビジネスでは競争が激しくなることも多々あり、その中では資源をあまり持たない企業がどうしても苦しくなりがちです。
経営は限りある価値の奪い合いではなく「限りない価値の創り合い」で、他者と自分とを同時に幸せにする道を見つけ出すことと著者は言います。
苦しさの原因となる対立をどう乗り越えて、価値を創造し合うかというマインドセットが大事で、それをどう実践していけるのかを学べます。
競合に対し不利、負けてはいないが苦しいなどと感じるビジネスパーソンなどが読んでみると、そこから抜け出すヒントを得られそうな1冊です。
【特に「学びになった」と感じた内容の覚え書き】
(奪い合いの世界から脱する方法)
「資源は有限でも組み合わせ方は無限にあり、資源の組み合わせを変えると機能が得られ、機能に対しても価値を感じる。組み合わせが無限なので、最終的な価値も無限であり得る。経営とは他者と自分とを同時に幸せにする道を見つけ出す価値創造であり、会社におけるお金儲けではない。」
(どうすれば対立は乗り越えられるのか)
「抱える抽象的な悩みや問題を『○○するか』『○○しないか』という対立構造にまず整理し、その究極の目的を問い直す。両立不可能な世界で考えると分断が起こるが、それぞれの対立する考えが『究極の目的にどう寄与するか(役立つか)』を考えてみると、両立可能であることが見える。」
(どうやって進歩していけるのか)
「自分ではどうにもできない出来事→プラスの側面(学んだこと)→マイナスの側面、と書き出してみて、マイナスの側面だけ見て、それを打ち消すために打てる一手を考えてみると、どんな出来事も『悪いことではなかった』と思えるようになり、対処で良くなったことも効果として見える。」
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・自分は苦しい、自分以外はきっと楽をしているはずだ、というのは現実を無視した議論。実は自分以外の人に少しでも興味を持ちさえすれば、誰にだって分かること。みんな苦しいと認めると解決策がないように思えても、複雑に見える現象の裏に単純な論理が隠されていることも多い。
・石油や金などは大量になると価値が下がるコモディティだが、ヒトは、頭脳からたくさんの価値が生み出されていっても、それらは別々の価値なので下がらない。現代日本の問題の解決にはヒトの頭脳を価値創造思考に変え、創造の思考道具をインストールしてもらう必要がある。
・現代日本の多くの問題は「限りある価値の奪い合い」として理解できるので、「限りない価値の創り合い」こそが問題解決のカギ。頭にこびりついた価値有限思考・価値奪取思考の弊害に気づき、価値無限思考・価値創造思考を現実化するための思考道具が社会で共有される必要がある。
(苦しさの正体)
・会計不正は投資家や政府(脱税)からお金を奪う、品質不正は顧客から売上を奪う、贈収賄や競争法違反は他社から売上を奪う、という特徴があるが、それぞれが敵同士という前提がある。実際には、どれか1つ欠けただけで経営は困難になるが、価値を増やせないという思い込みが原因にある。
・利害関係者を「価値を創り合う仲間」だと信じられると、ヒト重視で一緒に成長できる人を大事にする。ヒトという知識と知恵の源泉を尊重するため、会社も能力重視になり、関係者との関係を築くために法令や規範の実質を守り、建設的コミュニケーションのための情報開示にも前向きになる。
(奪い合いの世界から脱する方法)
・経営という言葉をたどると今から3000年前の周の徳治政治に端を発する。経とは緯度経度の経、お経の経なので、「どこに、なぜこの事業が必要なのか理由を説明し、ビジョンを示した」と解釈できる。営は設営の営で「どのように仕事を進めればよいのか指し示す」ことだといえる。
(他者と創り合える未来)
・人間は社会的な動物で、他者がいないと容易には生きていけないので、他者からしても応援したくなるような未来しか永続できない。未来のビジョンは他者から見ても望ましいものであるべきだが、自分の根源的な欲望とつながっていないビジョンは実現の意欲がわかず、綺麗事で終わる。
・まずは円の中に自分の根源的な欲望を忠実、素直に書く→その外に円を書き、欲望を「奪うから創るへ」に第一変換したものを書く→その外に円を書き、第一変換を「利己から利他」へ第二変換したものを書く、という「未来創造の円形」が、未来についての価値創造の思考道具。
・他者と一緒に目指せる未来が見つかっても、未来に向かい問題を一つずつ解決しなければ、理想の未来は実現できない。未来の実現のための具体的な活動を進める中で生じる問題は、根本的にはすべて人間同士の対立が原因だが、対立は分断と違い、創造的・建設的な方向での解消が可能。
(どうすれば対立は乗り越えられるのか)
・対立は乗り越えられる(昇華できる)からこそ意味があり、その努力を放棄すると、対立を肯定的・創造的に捉えることをあきらめて特定の人たちを排除する「分断」が起こる。分断は社会から多様性をなくし、社会を進化させず、人間の数を減らそうとするので、社会全体を縮小させる。
・人間の集団において共通意識を持つことは一般的に難しいと思われているが、実は「幸せに生きる」という共通目的を持っている。「誰しも幸せになりたいという同じ目的を持っている仲間」と気づくことが大切。
(どうやって進歩していけるのか)
・誰かのせいにする道は、最初は楽でも、その問題の解決策をにぎっているのは自分ではないので、後には地獄へと続く道となる。人間という存在はすべて正解なので、自分という人間そのものを否定してはいけない。「自分の考え方」だけを変えていけばいい。
(今日からできること)
・リーダーの責務は、行動原理を見つけたら、それを誰もが採用する普遍原理にすべく行動すること。価値奪取思考からの脱皮を手助けし、価値創造思考を知行合一できる人を増やすべく、思想的な話に加え、実践教育・実践普及するのがリーダーの仕事となる。
投稿元:
レビューを見る
みんな苦しい。それは有限な価値を奪い合っているから。3つの思考法を活用していけば、無限の価値の創造できる。これを一部のエリートを対象にするのではなく、多くの人に広げる中で天才が生まれたり、人生が好転したりすることができるとのこと。
この3つの思考法が私にとっては難しかった。様々な具体例が載っているので、イメージは湧くのだが、なかなか実践するときに筆が進まない、、、本書で経営教育を受けてみたが、これを誰かに共有することができる程度にはたどり着かなかった。
投稿元:
レビューを見る
著者は、気鋭の経営学の研究者であり、東京大学大学院で初の経営学の博士号を取得した方とのことだ。
経歴が非常に特徴的で、中学卒業で自衛隊、旧大検資格を経て慶應大に入学し、東大大学院ということらしい。
学費が払えないために進学を諦め、自衛隊に入隊したとのこと。
そのために、東大初の経営学の博士号と言っても、環境的には恵まれていた訳では決してなく、様々な紆余曲折の中で「どうすれば勝てるのか」を模索し、結果を出していったということだ。
その試行錯誤の手法を示したのが、本書であり、著者が提唱する「経営教育」となる。
この手法は経営者のみが有効ということではなく、すべての人が人生をより良く生きるための、普遍的な「道具立て」という位置づけなのだという。
確かに我々は、生まれたときから何らかの組織に属している。
家族が最初であるが、それから地域社会、学校、そして会社に所属して働いている。
すべての場所で、私たちは何らかの形で実は「経営」に関わっている。
「自分自身の人生をどう生きるか」
このこと自体が、実は壮大な「経営」であるという解釈だ。
本書の核心にあるのは、経営の本質とは「資源配分」と「価値創造」であるという点。
この二つの概念は、個人の人生にそのまま当てはまる。
特に「資源配分」という考え方には、膝を打った。
我々がそもそも持っている資源とは何か?
それは、時間であり、体力であり、お金であり、自らの才能である。
これらの資源は、すべて有限だと言える。
無限に使える資源など、この世には存在しない。
地球という有限の器の中で生きている以上、我々が持ちえる資源もまた有限であるということだ。
うーん、深い。
有限であるからこそ、それらをどこにどのような分量で投下していくかが重要になる。
これがまさに「資源配分」という、経営の重要な意思決定になるということだ。
例えば、毎日の24時間をどう使うのか。
これは、最も基本的な資源配分と言える。
日々の仕事にどれだけの時間を割くのか。
家族との時間にどれだけ充てるのか。
あるいは、自己投資としての読書にどれだけを費やすのか。
これらを意識的に選択して実行することが、人生の経営戦略に他ならない。
長期戦略的にも、このことは理に適っている。
20代の貴重な時間を何に使うのか。
30代はどうするのか。40代、50代は?
多くの人は、目先の忙しさに追われてしまう。
私も含めて、ついつい近視眼的になりがちだ。
配分の計画を持たないまま、流されてしまうこともある。
しかし、資源を漫然と「消費」してしまえば、価値は生まれない。
もちろん「浪費」など、もっての外だ。
自分の人生という事業を、黒字にしたいのか、赤字でもよいとするのか。
それもこれも、自らの資源配分のクオリティに、全てが懸かっている。
もう一つの本書の核心が「価値創造」である。
どうやって「資源配分」をして、「価値創造」に繋げるのか。
結果的に「価値」を生むことが目的であり、「資源配分」���手段でしかない。
自らの「価値」の定義を正しく行い、それをより大きくするための方策を、計画的に行うべきだ。
本書は、そのための具体的な方法論として、「問題解決の三種の神器」を示している。
「問題解決の三角形」
「未来創造の円形」
「七転八起の四角形」
著者考案のフレームワークがあるのだが、その使い方は本書を読んでもらえば分かるだろう。
本書の後半では、未来の働き方について、紙幅を割いている。
これからの時代、テクノロジーの進化はさらに凄まじいものになる。
生成AIは日常の一部となり、ホワイトカラーの仕事の多くを代替していくだろう。
データ分析や効率的な資源配分は、人間よりもAIの方が圧倒的な得意分野だ。
計算能力で機械に対抗することは全く意味がない。
では、そんな時代に人間に残された役割とは何なのだろうか。
本書はその問いに対しても、明確な示唆を与えてくれる。
それこそが、「価値創造」の領域である。
AIはデータを高速で処理することはできるが、自ら「生きたい」という衝動を持つことはない。
誰かのために何かをしたいという「志」や「情熱」も持たない。
ある出来事に対し、なぜそれが素晴らしいのか、なぜそれが愛おしいのか。
その「納得感」や「意味」を作り出すのは、私たち人間にしかできないことだと思う。
経営学とは、単なる金儲けのテクニックではない。
人間同士が協力して、社会に新しい価値を生み出すための「人間学」とも言えるのではないだろうか。
だからこそ、AI時代にこそ「経営教育」が必要だと、著者は説いているのだ。
機械に使われる側になるのか、機械を賢く使いこなす側になるのか。
その分岐点は、自分自身の価値をどう定義するかにかかっている。
誰かに与えられたタスクをこなすだけの生き方は、これからは通用しない。
自ら課題を問い続け、独自のストーリーを紡ぎ出していくこと。
手触り感のある人間関係を大切にし、組織の中で信頼関係を築いていくこと。
これらはすべて、人間だからこそ発揮できる経営の力だ。
時代が変わるのを恐れる必要はない。
新しい道具を手に入れて、自分自身をアップデートしろということだ。
人生の時間は限られている。
後から時間を取り戻すことは、絶対にできない。
だからこそ、今持っている資源を、社会のため、そして周囲の大切な人たちのために、正しく投下していきたい。
(2025/12/31水)