増補改訂版 スマホ時代の哲学 「常時接続の世界」で失われた孤独をめぐる冒険

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p53 現代はモヤモヤの分が悪く、スッキリが力を持つ時代

p129 孤立　他者から切り離されている何かに集中している状態
孤独　自分自身と対話している状態

p130
なにか一つのことに取組に、それに集中するにはあまりに気が散っていて、いろいろなコミュニケーションや感覚刺激の多様性が、一つのことに没頭することを妨げてしまっています。ここで念頭におかれている孤立の喪失は、マルチタスキングによる注意の分散のことであり、これはメディア技術が可能にしたアテンション・エコノミーの一つの帰結であります。

p132
一つのことに十分注意を向けて、それについてあれこれ考える習慣そのものが衰退しているのだとすれば、やはり孤立が重要になってきます。ここでいう孤立とは、気を散らされる事態から距離をとることです

p150 そもそもわたしたちは、他人の目にさらされると、他人に合わせた自己（他人が期待する自己）へと無意識に調整してしまいます。

p152 私たちが共有すべきスローガンは、「注意の分散に抵抗せよ、孤独を持て」です

p190 孤独において可能になる思考は、自己対話として行われている

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「モヤモヤ」とか「孤独」といったものが、むしろ自分の人生を豊かにする資源である、といった気づきが面白かった。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』に少し通じるものがあるのかもしれないけれど、自己啓発本のような自己を一枚岩にするようなものを取り入れるのではなく、自分に新たな謎やモヤモヤを与えてくれる本をきっかけに自己と対話を重ねることの重要性を感じさせてくれる内容だった。

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私には合わなかったということです。哲学に興味がある方々には合うと思います。興味深い箇所もいくつかはありました。

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スマホによって、私たちが失った”孤独”をめぐる哲学書。
まったくかたっ苦しさはなく、むしろ気軽に読めるくらいにわかりやすい。
でも、わかりやすいからといって、即効性がある訳でもない。むしろ、遅効性のあるものの価値を、復権させるのがこの本の狙いなのだ。

スマホがあることによって、私たちの生活は便利になったけれど、それによって失ってしまったものが、遅効性のあるもの。
とくに、すぐに理解できない”モヤモヤ”感。
日常に感じる”モヤモヤ”や、うまくいかないこと、みっともないこと、蓋をしてしまうことを、スマホで紛らわせてしまうのは、自分にも当てはまるので、とても共感できた。
じつは、その紛らわせてしまっている”モヤモヤ”の中に、私たちが求めているものや、自分が辿り着きたい道筋があるのだとしたら？

この本を読み前に、たまたま帚木蓬生さんの『ネガティヴ•ケイパビリティ』を読んでいたこともあり、理解がしやすかった。
哲学らしく、思考の方法も教えてくれるのが個人的によかった。
“モヤモヤ”の状態と向き合い、その状態に耐えるというと、自力で何かするというニュアンスが強いが、スマホ時代の大きな落とし穴が、自分の頭でしか考えないことというのは、目から鱗だった。

そして、読み終えた後には、ネガティヴな感情であるはずのモヤモヤ感、自分のみっともなさ、人生のうまくいかないこと、それ自体が明日を生きるための活力なのだと気付かされる。
まず、ネット上の自己完結性の話によって、ネットで起こりがちなことを自分に照らし合わせて考えることができ、そこからは夢中になって読んだ。

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あ、しまった、同じ本を以前に読んでいたのに購入してしまった、と思いつつ今一度読んでみたらなかなか面白かった。

オルテガが批判する「他人の話も聞かずに自分の考えをがちゃがちゃ話す」人がいるという話について、「こういう人おるよな」と思った人自体が、自分の中の正解に本地て判断・決めつけを行っているという話から入っていく。ご多分に漏れず「こういう人おるよな」と思ってしまうタイプだと最近思っているので、今回はまずここが印象的だった。迷っていることを認めない自分が現代には多い。消化しきれない、もやもやが残っている状態こそ持つべきであるという点がいろいろな角度から展開される。推薦されている魚豊さんの漫画の「迷いの中に倫理がある」という話であると思えてくる。

自分なりの理解という決めつけではなく、「その人の概念やシステムを使えば、景色がどんなふうに見えるのかを把握する事」が重要であり、そうした〈想像力〉をいかに養うか。自分の中に多様な他者がいる状態をつくることだそう。『初恋と悪魔』の「私の中に肉じゃがとコロッケがいる」というドラマを見ていた時から好きなセリフが引用されていて、そうかこのことか！と妙な納得感があった。

他者はノイズではない。
言葉では当たり前に理解していても、常時接続の時代の中で生きていると無意識的にノイズ扱いしてしまっていることがあるような気がしているので、そう考えていないかを時々自分に問う必要があるなと思う。不安や退屈といったものを「快楽的なダルさ」で覆い隠さないようにしなければいけない。10年くらい前に読んだ『暇と退屈の倫理学』を読み返してみると違う発見がありそうな気がしてきた。何かに集中的に取り組むために必要な〈孤立〉と、自分自身と対話し思考する〈孤独〉。それらを阻害するものが常時接続であり、自分の感情に蓋をしてしまうことなんだな。

2周目ではあるものの、半年前からも自分の気づきやひっかかりが変わっているなと思う。

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GW辺りから…これ面白そう！読みたい！という小説が見つからないのと
「仕事、やめよっかな～」とぼんやり考え始めたタイミングで
ブクログランキングの新書部門をチェックしてみたら、こちらの本が評価も高くなんか惹かれる気がして本屋へ。
目次を見て「いま読んだ方がいい気がする」と購入。

哲学なんて普段は絶対に手に取らない分野だし、読み始めて「面白いと思うけど、消化して自分の言葉でそれを説明できない」という難しさ。でも頑張って読んでみた。（2～3周したかな）
1章ずつ進めて「こういうこと言ってるのかな」と形を探り、もう一度読んでみて「あ～、はいはい」とちょっとずつ色づけて自分の中に落とし込んでいく。この感覚久しぶり。

個人的にショート動画の人気（TikTokとか）、ドラマや映画を倍速で見る…の理由が近年わからなかったので、その辺の理由付けが判明したのもよかった。

6章まで読んで、そのタイトルを見直して「ああ、だから私はいまこの本に出会ったのか」と納得した。この本にたどり着いた自分を褒めてあげたい。


第1章　迷うためのフィールドガイド、あるいはゾンビ映画で死なない生き方

第2章　自分の頭で考えないための哲学－天才たちの問題解決を踏まえて考える力

第3章　常時接続で失われた＜孤独＞ースマホ時代の哲学

第4章　孤独と趣味のつくりかたーネガティブ・ケイパビリティがもたらす対話

第5章　ハイテンションと多忙で退屈を忘れようとする社会

第6章　快楽的なダルさの裂け目から見える退屈は、自分を変えるシグナル

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1 本のタイトル
スマホ時代の哲学

2 印象に残ったフレーズ2.3個

・想像力の豊かさは、「自分の内側に他者を住まわせていくこと」を指していると言い換えることもできます。

・常時接続の世界で失われたもの。いろいろな論者の見解を私なりに整理して総合するなら、それは二つの観点から説明できます。それは、〈孤立〉と〈孤独〉です。それぞれについて言い換えれば、他者から切り離されて何かに集中している状態と、自分自身と対話している状態のことです。

・私たちは、不安や退屈などのネガティヴな気分を、快楽的なダルさによってマスキングしています。だから、快楽的なダルさから距離を置くことで、普段の感覚や思考に〈裂け目〉が生じ、そこに一瞬、根源的な気分が垣間見えるはずです。

3 仕事や人生に活かせるアクション
・いったん常時接続から離れて、孤立してみる。孤独になってみる。そのときに感じる退屈や不思議な気分が本質だと思って味わってみる。そういう瞬間を1日に何度か作ってみる。

4 感想
「これは自分の話」という本。スマホ（SNS）と常時接続されている自分が、いかに注意を分散させて、自分の本当の気持ちやモヤモヤした気持ちから目を背けて一時的な快楽や昏睡状態にいたのかがよーくわかる。何度か読み返してまとめたい。（そんな本ばかり）

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時々哲学本に挑戦するが、どうもしっくりこない。
爽快感がない。
なくていいのかもしれないが、もう少し分かった感が欲しい気がする。

この本のコアはハンナ・アーレントが「一人であること」を三つの様式に分けた
ところにあると私は理解した。
その三つとは、孤立、孤独、寂しさ。
孤立　　他の人とのつながりが立たれた状態
孤独　　沈黙のうちに自らとともにあるという存在の在り方　
　　　　一人の中に二人いる　自分の中に他者を住まわせる
寂しさ　他の人々と一緒にいるときに最もはっきり表れてくるもの

孤独は自分との対話のために大切なのだと

そして、スマホはその「孤独」を邪魔するものだと
常時接続の世界は孤立も孤独も喪失させると

これは素直に頷ける。
人間一人にならなきゃいけない時がある。自問自答するべき時がある。
今はその時間が与えられない。常につながっている。

…ただ、ここで思った。
私は最近やたら幹事をする。
それは、一人の世界にいるとろくなことにならない。
ご機嫌でいるためには人と接する方がいい、と。

現に自分がかわるきっかけになったのは29階階段上りを100日続けたことだったのだが
それを支えてくれたのはまさにSNS。日々挙げる成果を見てくれる人がいたことだった。
おかげで結果的に10キロ減量し、体力がつき、フルマラソンを走るに至った。
前向きになり、人生変わった、、、
たまにはリアルに会うにしても、普段はSNSの向こうにいた人はある意味恩人だった。

そういう話と、孤独が大事、自分と向き合うのが大事、というのは、
矛盾するのかしないのか。
しないような気がする。自分と向き合ったうえで、その理解を他者に求める。
どちらかだけ、ということはないのだろう。

話はネガティブ・ケイパビリティに移る。
この本では明確に定義づけはしないが、
WEBには「不確実性や答えのない状況に耐え、それを受け入れる能力」とある。
しっくりくる。本ではなんだかもやっと表現していた。

ブルース・リーの「考えるな、感じろ」
そしてエヴァンゲリオン。シンジもレイもアスカもミサトも、哲学を語っていた。
それ以上に加持リョウジがスイカを育てる話。哲学らしい。
映画「ドライブ・マイ・カー」の戯曲「ワーニャ伯父さん」。
哲学なのだ。

だんだん消化不良になってしまった。

孤独　は必要だな。


はじめに
第１章 迷うためのフィールドガイド、あるいはゾンビ映画で死なない生き方
第２章 自分の頭で考えないための哲学――天才たちの問題解決を踏まえて考える力
第３章 常時接続で失われた〈孤独〉――スマホ時代の哲学
第４章 孤独と趣味のつくりかた――ネガティヴ・ケイパビリティがもたらす対話
第５章 ハイテンションと多忙で退屈を忘れようとする社会
第６章 快楽的なダルさの裂け目から見える退屈は、自分を変えるシグナル
おわりに
あとがき
増補改訂版 限定付録「『スマホ時代の哲学』を実践する人のためのQ＆A」
あとがき――増補改訂版によせて
『スマホ時代の哲学』の発酵（解説：ドミニク・チェン氏)

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ニーチェ曰く「君たちはみんな激務が好きだ。速いことや新しいことや見慣れないことが好きだ」
現在は情報過多の時代。常時接続され、常に変化や成長が求められる時代に我々は生きています。
オルテガが批判した「ごちゃごちゃ集まって、人の話も聞かずにがちゃがちゃ話す』生き方は、自分を閉じ他者や世界に対する好奇心を挫かせてしまいます。ユビキタス・コンピューティングの時代にマルチタスクで生活をするのに慣れてしまった結果、人間関係は希薄化しシェリータークル曰く”つながっていても一人ぼっち”な状態になっている。スマホに依存しそうになったらこの本を思い出して、“孤独”に没頭し自己対話する時間を作るよう心がけたいです。


この本は語り口調になっていて非常に読みやすいです。哲学に興味があるけど難しそうと思っている方にも、多様な引用で現代社会とリンクさせて分かりやすくなっているのでお勧めです。
増補改訂版がでたということで今回ようやく拝読しました。各章の終わりにメタ的な解説コラムも追加されてます。　こういう本を心から求めていました！　みんなで迷子を楽しみましょう！

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哲学がテーマの本を読むのはこれがはじめて。
難しい文章もあったけど、すごく勉強になる。
なんか色々書くとネタバレになりそうなので、ここらへんでやめとく(笑)。

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一回読んだだけじゃ完全に理解できないようなボリュームと有益な内容。
これは自戒の本として何度でも読み返したい。値段もこの内容とボリュームにしては安すぎる。この本を読んだ誰かと語り合いたいと思うレベルで良かった。最高の本に出会えました。