五胡十六国時代 王朝の乱立と権力闘争
著者 小野響(著)
『三国志』のあと、中国はまたもや大分裂の時代を迎えていた――混沌の136年を駆け抜けた英雄たちの足跡を追う「五胡十六国時代」。それは奴隷が皇帝に成り上がり、怪僧が暗躍し、...
五胡十六国時代 王朝の乱立と権力闘争
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商品説明
『三国志』のあと、中国はまたもや大分裂の時代を迎えていた――混沌の136年を駆け抜けた英雄たちの足跡を追う
「五胡十六国時代」。それは奴隷が皇帝に成り上がり、怪僧が暗躍し、無数の胡族と漢族が覇を競った混沌の一三六年。ポスト三国志の政治秩序を再構築し、胡漢が融合する新たな「中国」のため奮闘した五人の英雄の姿を通じて、東洋史上最大の乱世の実像を劇的に描き出す。
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複雑怪奇な五胡十六国時代!
2026/01/29 14:53
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界情勢が力と力のぶつかり合いとなり、いわゆる秩序なき混沌となっている現在、過去の混沌時代の考察から解決のヒントを得ようというのか、本書が注目されているときいて読んでみた。
平成生まれの筆者が五胡十六国時代に魅せられたのがおそらく高校生、あるいは中学生時代で、そこから現在まですべての学位に五胡十六国時代がからんでいるというのだから、その幸福な出会いと交際には嫉妬を覚えるほどだ。
その愛着の深さから選ばれた5人だが、まず感じたのはとにかく身内同士の謀殺、陰謀にどっぷり浸かっている点だ。不安定な遊牧生活から儒教的な徳治などにかまっていられなかったのは理解できるが、他人を殺すことで問題を解決しようという姿勢がこの混乱の時代を長引かせたように思う。
同じく五胡のひとつである鮮卑系の隋がやっと4百年にわたる分裂抗争の時代に終止符を打つが、胡族のDNAのようなものが邪魔をしてさらに安定化から遠ざかる結果になっているように思える。
これはのちのモンゴル王朝の時代になっても変わらず、その政権はあまり長続きせず最後は身内の反乱などで短命に終わっている。
現在、後宮の視点から中国の各王朝の盛衰を考察した一書を読んでいるが、こちらと併せるとさらに理解度が深まるようだ。
自分としては、胡族の相続慣習とそれにからんだ子貴母死制にかなり興味を惹かれた。外戚の権力奪取を防ぐために、跡継ぎと決まった子の生母は殺されるのが子貴母死制で、北魏の初代皇帝が始めたらしい。それゆえ後宮の女性たちはみな跡継ぎを産むのが自分でありませんようにと祈ったらしいが、それにしても跡継ぎが幼ければ結局誰かの後見を受けなければならず、その人物と一族に権力は傾くのではないかと思ってしまう。
さらに本書からは外れるがモンゴル時代の相続は、年齢が上のものから領地と家畜を分けてもらい独立、最終的に末っ子が父が死ぬときにその時父がもっているものを受け継ぐのだそうな。農耕文化と儒教的価値観のためか、とにかく長男大事の日本からみると不思議なような、しかしある意味合理的ともいえる方法だと思う。
だからといって胡族が今までの価値観だけに縛られていたかというとそうでもない。三国時代から八王の乱までの百年ほどの間に、彼らは漢族の住む中原に進出し、漢族どうしの争いに武力を提供してきており、そこで儒教的価値観にふれ、それを身につけた者も結構いたのだ。価値観、掟のぶつかり合いから混沌が起こり、長い期間を経てそれぞれが影響を与えあう。漢族への一方的な同化では決してない融合(たとえばヘレニズムのような)が鍋の中でぐつぐつ煮えたぎるのを見ているようだった。