限られた世界での話 だけど沈黙の世界は広い
2025/08/30 13:05
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投稿者:タカミー - この投稿者のレビュー一覧を見る
祖母と暮らすリリカ、母が亡くなったのは自らの髪を首に巻き付けたから。だからいつも髪は短く切られていた。始まりからして 小川洋子さんの世界どっぷり。物言わぬ人が集うアカシアの野辺で祖母は働き リリカは育つ。リリカが赤ちゃんの頃から そっと歌ってくれた老介護人、普段は指言葉で意思疎通をして声を発さないのだが・・・。
成長してどう生きるか選択ができるが 野辺でずっと過ごす。羊たちが安心して毛を刈られるようにと思いながら歌い、老介護人が亡くなった時に歌う。夕方 町に流れる『家路』を歌ってほしいと懇願されて歌う。自己語りに躍起になってる現代人とは真逆のリリカ。 病院で八つ当たりされて お風呂場で耳を洗うという行動・・・本当によくわかる。
言ったもの勝ち 吐き出すだけ吐き出すことになんの疑問をもたない人々にはわからない 静かな世界。頑固とも捉えられるような 自分軸をしっかりもってるリリカ。
登場人物は少なく説明は少ないが 想像させられ読後も思い出してしまう話だった。迷子になった子を思い、不完全な物を愛し、沈黙を愛し、人の目がないところでも善き行いをし、亡くなった生き物を思い続け・・・。。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
沈黙を尊ぶ小さな共同体、密やかな歌声。優しさのなかに奇妙さが織り込まれた小川洋子さんワールドの一冊。現実味と老いも、しっかり描かれています。(担当さんの、家の修理の描写が秀逸)
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
リリカにとって、歌は、切り離せないもの、ですね。そして、髪の毛を伸ばしてはいけない理由が悲しい。全体を通して、かなしみがついて回るのは、その髪の毛のエピソードなのか…
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雑誌に全文載ってたから読んでみた
小川洋子は大体全部好き
これもよかった
小川洋子感が満載で小川洋子好きなら
あー小川洋子だーって感じる小川洋子だった
わりとどの作品でも
静かなことが印象的だけど
それを突き詰めたようなお話だった
いや、もっと静かさを感じたもの
あったと思うけど
静けさに帰るんだなーって
懐かしくなった
なんで懐かしくなったかは謎
小川洋子じゃなかったら
星は4つ
とてもよかったけど
ベストだ!!って感じたわけではなかったから
小川洋子ゆえの、あえての3つ
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平気だったり、気まずかったり、助かることもあったり
その時々でさまざまに変化する、言葉では表現しきれないものたち
外は音や情報で溢れているのに、本を開くと狭い門番小屋や、池畔の人形の公園がそっと待ってくれている
隔たりが溶けてゆき、わたしもまた静かなるアカシヤの野辺の一部になる
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不思議な世界観。
沈黙が好まれる場所で暮らすリリカ。
しかしリリカは歌をうたう。
その歌声がいろんな人と巡り合わせ、リリカの世界は広がって行く。
リリカの歌声は人々にそっと寄り添い
決してリリカだとは気づかれないけれど
人々はリリカの歌声に惹かれている。
そんなリリカの行く末は。
淡々とした日常だけど、胸にスッと入ってきた。読後は不思議な気持ちになりました。
正直感想を書くのが難しい気持ちです。
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【著者6年ぶり、待望の長篇小説】沈黙を愛する人々の暮らす「アカシアの野辺」で育ったリリカ。彼女の歌声は物言わぬものに寄り添う不思議な響きをもつ。静かな傑作。
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読み終わった時、ただ涙が出た。けれど読後、ただリリカの一生。リリカの魂、気持ち。言葉、毛(髪の毛)、絡み合うもの、歌、誰の目にも留まらないということ、沈黙、静けさ、などについて、つらつらと考えていました。そして、その度にリリカの歌声やアカシアの野辺の人たちの営みがじんわりと心の中で穏やかさと優しさに変わり、広がってゆく気がします。また、自身が透明な人として見返りもなく、怒りや妬みなどの感情をぶつけられる中でふとリリカの強さを感じ、またアカシヤの野辺の日々と世界に祈りのような感情が湧いてきます。
小川洋子さんのインタビューも拝見させていただいた。
「沈黙する人たちが社会の片隅に安住の地を見つける風景を、つい想像してみたくなった」という言葉。「自らは語らず、名乗らず、かと思うと売り物の菓子に〈わざと小さな不完全〉を忍ばせて幸運の印にしたりする心の広い人達のことを私は書く。それがいいとか悪いではなく、読者にただ差し出すだけなんです」と言う言葉にも沈黙が宿る。
リリカが護りつづけた世界がいかに私にとってよく知っていて優しくて美しいことかを感じました。リリカの感じる風、音、かおり、感触、そういうものが心を沈黙に満たし、そっと清らかな池の底に鎮座してもらえるような。もともと言葉なんて持たずに生まれてきた私たち。羊、鳥、風、池…名もない言葉のない存在の中にも沈黙と、揺るぎない命と世界と幸福と苦しみと日々があって、それに耳をすますこと。たくさんのものを感じること。そこに豊かさと静けさと幸せが確かに存在している気がしました。
歌は分かち合うもの、と書かれていますが、言葉ももともとそうだったのではないかな、と思い。良くも悪くも心の中でたまらなく大きくなった喜怒哀楽を分かち合い、静けさに浄化するもの。言葉、歌、絵、物語。1人で生きられない動物が、誰かと、気持ちだけでなく、食べ物も住む場所も能力も分け合うために、これらはあったはずなのではないかな、と。何者かにならなければならない、強さを讃え、欲しいものは掴み取る、自己主張は生きていく上で必須であるという風潮が強くなる社会の中で、俯瞰的なところから改めて私たちの言葉とこの地球上で生きる生命としての存在を問うような。
この作品の鍵のひとつに、髪の毛、羊の毛、角と「絡み合ったもの」というものがあるような気がします。話の冒頭で髪の毛で死んだ母と、話の終わりに角が絡み合って死んだ2匹の羊の角に導かれるように池の底へ沈んだリリカ。羊の毛を刈る担当さん。祖母の教えとはいえ、ひたすらに髪を短くしつづけたリリカ、これらの意味するものが一体なんなのか自分なりの回答がでてこないので、引き続き考えてゆきたい。
個人的にリリカとその野辺に生きる姿が心をそっと穏やかにしてくれます。
リリカ、は痛み止めがちょうど母親の目に入ったからその薬名が、ということだそうですが、本当にぴったりの名前だと思う。リリカは鎮痛薬であり、またアカシヤの野辺に棲む姿の見えない天使のようだなと思った。こんな世界がきっとどこかの片隅にあったらいいな、と思う。
あったらいいな、とは書いたものの、確か���あちらこちらにある世界かもしれないなとも思う。優しさは沈黙の中でひっそり隠されていることが多いから、私もそっと気付かないまま、その透明なベールに包まれて生きているんだと思う。それを忘れないでいたいし、私もその営みの一つ、小さな力でいたいと思う。誰の椅子もとらず、かろうじて見つけた小さく空いた隙間に身をいれて、誰に見返りを求めるでもなく、誰知らず優しさを沈黙に溶かしてただ生きていけたらいい。。。もちろん、生きるというのは野に立ち、草を踏み、命を食らって生きているから、誰の邪魔にならず、誰の席も横取りせず…なんて生き方は生きる限り無理のかもしれない。綺麗事と言われるかも。とはいえ、限度があって、そして謙虚でいることの難しさを日々感じるからこそ、そんなふうに生きるという強さがほしい。
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うーん、私としては今ひとつ。このところの小川洋子ワールドは、切なさよりも不気味さ気持ち悪さの方が若干優ってきてないか。
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博士の愛した数式以来の小川洋子作品。
言葉がなくても伝わるものがあると教えてくれる物語。
空想なのか現実なのか分からない部分はちょっと理解できないところもあったが、全体的にはよかった。
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とても綺麗で優しくて澄みきった物語でした。
言葉がなくても想いは伝わるんだと思わせてくれる。
そして、この世には名もなき歌たちがたくさんあるんだと気づかせてくれた。
リリカの歌声を聴いてみたい。
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いつにもまして透き通った物語だ。
牧草地を抜けて森の木の枝を鳴らす風がそっと耳に囁いてくれた物語、そんな気持ちになる。
“目の前にいない誰か、沈黙の中にいる誰かの前でしか歌えない”というのは、いかにも小川洋子さんらしいテーマだなと思う。いつだって彼女は、小さいものや不完全なものが秘める美しさを、そっと教えてくれてきた。
世間から隔絶されていても、豊かな心が存在しうるのだよと。
でも、サイレントシンガーの世界は、閉じられていないことに気づく。これは新しい小川洋子さんの出発なのではないだろうか。
声を張り上げること、饒舌に話すこと、上手に歌うことができなくても、決して知られることのない場所でしか歌わなくとも。その声は、もっと広く、遠くへ伝わる可能性を指し示しているんじゃないだろうか?
“歌は、皆で分かち合うもの”というフレーズが出てくる。
誰が歌っているかにすら興味を持たれず、それでも知らぬまに心に染み込んでゆく歌声は、具体的に人々を変えたり大きなうねりを起こす訳ではない。
それでも求める人へ届く。
運命を変えることも世界を変えることもできなくても、まだ世界に踏み止まっているものや倒れて朽ちてゆくものに寄り添えるかもしれない。
おばあさんの言葉がリフレインする。
“野辺で売っているお菓子。あれには、わざと小さな不完全を忍ばせているんだ。
ささやかな幸運の印みたいなものだね。美味しいお菓子の中に、一つだけはぐれものが隠れている。でもそれも、えこひいきせず、文句を言わず、ありがたく食べる。そういう人には何かいいことが起こるのさ”
多くの人が正しさを声高に勇ましく主張するなかで、こっそりと不完全なものを混ぜる。
それは世界を少しでもよくするための、僕らのレジスタンスだ。
秘密の暗号のように。
きっと誰かに届くと信じて。
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小川洋子さんの描く静かな世界。
リリカは、“内気な人の会“と称する人達に囲まれて育った。彼らは言葉を話さず、指言葉で最低限の会話をする。
言葉を尽くしても思いが伝わらずにもどかしいことがある。彼らが無言でも分かり合えて、思いが伝わる様子に心温まった。
時折描かれる少しグロテスクな描写や、悲しい出来事も、この静かで優しい世界に溶け込んでしまうようだった。
小川洋子さんの小説にはいつも生きづらさを抱えているような人が登場するが、読み終えた後は、自分は自分のままでいいのだと思える。
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内気な人々が暮らす“アカシアの野辺”が舞台。読み終えて“アカシアの野辺”から現実の世界に戻ってきたなと強く思えるくらい抜群の描写で物語の世界に入っていけました。
言葉が少なくても、沈黙であっても伝えられることや慰められることもたくさんあるし、絆を深めることもできるのかなと思いました。
終わり方もリリカの歌は平等に人々に優しく響いているものと感じさせる儚いものでした。
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著者の独特な世界観がイメージ出来る文体で、リリカに感情移入もしやすかった。ただ、淡々と進んでいく展開なので物足りなさも。もう一捻り欲しい、と言う人には向かないかもしれないが、たまにはこういった落ち着いた内容の本も良いのかと。