コンサルの一人としても危機感を抱く社会課題
2025/09/27 22:39
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けいちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書に出てくる「企業版ふるさと納税」を活用(悪用)したスキームは、私の地元である北海道でも、本書に出てくる以外の自治体で似たような事例を見たことがあり、非常に不信感を持っていたところだったので、とても興味深く本書を読ませていただいた。
私自身が、地方自治体や公共団体等を相手にしたITコンサルティングを生業としているので、本書に出てきたようなコンサル会社が地方から日本をダメにし、コンサル業界の評判も下げていることに強い憤りを覚える。
常々、助成金ありきの事業や、経営コンサルという名の補助金コンサル、ふるさと納税コンサル、デジ田交付金コンサルなどは、すべて消え去るべきだと思っている。
私は以前に本書にも出てきた東洋経済の寄稿記事を読んでいたので、本書で取り上げている概要は把握していたが、本書で詳細な状況などを読むことで、まったく他人事ではないと感じた。
特に「企業版ふるさと納税」については、ワンテーブルの事例は完全な黒だが、完全な黒とまではいえず、倫理的にはNGだが、制度的にはOK(100%のOKではなく、網の目をかいくぐって)というかなりグレーな事例が横行していると認識している。
この状況に反対しようにも、個人の力では弱いのと、直接的に関わっているわけでもないので、どうしようもない状況があった。
なので、こういった地方創生を食い物にする「コンサル」が取り沙汰されて、少しでもガバナンスやコンプライアンスが向上する地方自治体が増えてくれる機会として、本書は社会課題への貢献度が非常に高いものだと思う。
社会にとって害悪でしかないようなコンサル企業を駆逐していかないと、コンサル栄えて国滅ぶどころか、それ以前にコンサル業界自体が潰れかねないと思っている。
公共組織を相手にビジネスを行っているコンサルタントの一人として、悪い事例として本書で取りあげられるようなことがないよう、社会を少しでもよりよくするために貢献できるよう、肝に銘じて頑張っていきたい。
日本全国の地方が抱える大問題
2025/09/30 06:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「企業版ふるさと納税」を使い地方自治体に寄付をして、その資金を使い事業を請け負う。
まさに税金逃れのスキーム
こんな事がまかり通っていたとは驚きだった
この問題は日本全国の地方が抱える大問題だと思う
本のカバーにある通り
コンサルが栄えて国が亡ぶような事があってはいけない
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思った以上に黒かった
ただ、コンサルが悪さをしたというより、悪いやつが悪意を持って政策の穴をつくスキームを実践するコンサルティングを行っていたという印象
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2022年2月、福島県国見町で、寄附額の最大9割が税額控除される企業版ふるさと納税を財源に不可解な事業が始まろうとしていた。
制度をもとに寄附された4億3200万円で高規格救急車を12台購入し、国見町では使わずに他の自治体や消防組合にリースするという何とも理解しがたい地方創生事業だった。
寄附したのはDMM.COMとその傘下の2社。救急車の車両製造はDMM.COM傘下のベルリング。事業は研究開発という位置づけで公募型プロポーザル事業になっており、唯一応募し、受託したワンテーブルという企業は地方創生のコンサルだった。
ワンテーブルはベルリングに車両を発注するということで、救急車の仕様書作成に関与、DMM.COMグループとともに利益を囲い込む出来レースの構図になっていた。
企業版ふるさと納税は、自治体と企業との癒着を防ぐため、自治体から企業への経済的見返りを禁じている。このことに関し、国見町の事業にグレーな臭いを嗅ぎ取った河北新報の記者(著者)がその真相究明に乗り出す。
その過程で、ワンテーブルの島田社長が小さな自治体を虚仮にし、地方議員を雑魚と評するとんでもない男であることがわかる。
島田が目をつけたのは、過疎化が進む地方の自治体にありがちな官民連携の推進、民間コンサルへの丸投げ依存。
地方公務員が減少する中、行政課題が増え、専門的な知識や技術がいる業務も増える中、民間企業に業務の一端を担ってもらわなければ成り立たない自治体、その中でも特に手なずけやすい小さな自治体を島田は狙い打ちした。
著者の熱のこもった取材活動や記事が、国見町の議員を動かす。百条委員会の議員の追及によって、ワンテーブルと癒着のあった町長は失脚、島田もワンテーブルを退職、さらに内閣府も重い腰を上げ、国見町の地方再生計画の認定を取り消した。
宮城県亘理町、北海道むかわ町などの同様な事例への取材、週刊東洋経済の協力も得ながら著者のエネルギッシュな活躍が公金の浪費や過疎ビジネスの横行に歯止めをかけた。
河北新報、国見町百条委員会の議員の執念に、地方新聞社、地方議員かくあるべしと、強い感動を覚えた。
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福島の町で12台の救急車を購入し他自治体へリースするという、そんな謎の事業は、企業版ふるさと納税の制度を悪用した手法だった。
抜け穴を狙う企業もさることながら、自治体側の弱さ、そして真面目にやるなら地方公務員や地方議員が都心の大企業と対等に渡り合わなければならない難しさ。
事件自体は珍しくジャーナリストがよくやった事例と東洋経済で扱われたので周知かもしれない。
地方行政や公金搾取が注目される昨今に光る一冊。
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とても良かった。
国見町の問題はシンプルな勧善懲悪と捉えることもできたが、より問題の根幹を公平に探ろうとする筆者のジャーナリストとしての気概が感じられた
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地方創生の資金を狙って都市部から来たコンサルが精錬されたプレゼン能力で地元の業者を差し置いて入札を勝ち取る、しかし、実際に行われる施策は地方のためにならない。といった噂話を私も聞いたことがあった。さもありなんだが事実かどうかは知る由もなかった。そんな折に幸運にも本書に巡り会い、その一端を知ることが出来た。
本書の秀逸な点は過疎ビジネスの問題点を単なる悪者探しに留めていないことです。悪質なコンサルや村長等の執行部の利益誘導といった単純な構図ではなく、公務員の人手不足、地方自治やマスメディアの在り方、日本特有のゼネラリストの限界。現代日本の根底にある社会問題にまで議論を広げている。
とりわけ私の関心を引いたのは首謀者のやり方と本音だ。知識不足の担当者を助力する形で仕様書を作り、その恩義を背景に一般競争入札やプロポーザルに見せかけた随意契約を取り付ける。この方法を私は民間企業同士のやり取りで経験している.。なんとあくどい手なんだと思う人もいるかも知れない。しかし、担当者にとってこの助力は渡りに船なのが事実だ。何故なら、ゼネラリストである彼らの仕事のほとんどは専門外であり自分たちだけで全てを勉強して遂行するのは現実的に不可能だからだ。加えて、アドバイザーや新たな人員を雇う予算はない。
「この手の話はプロ同士で目利きするのが一番なんですね。(中略)でも自治体の職員がやろうとすると、ゼネラリストではどう頑張っても無理。」(p.137)。
地方創生を地方に丸投げ(p.143)された担当者の心情を考えると、この切実さは痛いほど理解できる。契約を前提にノウハウを提供してくれる企業(今回の件はワンテーブル)の協力は、彼らにとって一挙に問題を解決してくれる、甘美な誘いだ。
「地方創生は国が自治体に与えた手段であり、自治体は半ば義務的に地方版総合戦略を策定した。義務的に作るのなら、誰かに任せて少しでも手間を省こうという感覚が起きてもおかしくない。」(p.144)
「社会がどんどん高度化し専門的な知識や技術がいる業務も増えた。民間企業にお願いして業務の一端を担ってもらわなければ、もはや地方自治体は成り立たない。人手不足に苦しむ自治体にとって、救いの手を積極的に差し伸べてくれる外部企業の甘いささやきは魅惑的なのだ。」(p.110)
また、録音テープに゙記録された首謀者の
「(地方議員は)雑魚だから。俺らのほうが勉強しているし、分かっているから。言うこと聞けっていうのが本音じゃないですか。」という言葉は私も相手先の企業の態度から同じような本音を感じたのを思い出した(もちろん言葉には出さない)。そして酷い言葉ではあるが妙な説得力を感じた。何でも屋であるゼネラリストがその分野を専門とするプロに知識や経験経験で勝てないのは当然だ。だからこそ、そのノウハウや技術力などを頼って発注する。言い換えれば、そうでないなら手を組む必要がない。ある意味において彼の言い分は最もである。ただし、それは一方的な利益誘導がなく、対等な関係である場合に限られる。
本件の問題はお金の使い方だ。民間企業であればその予算の目的に従って会社のため。公金は国民が汗水垂らして納めたお金であり、地域のために引いては国民のために適正に使われなければならない。
「行政は公平性が最も重要なもの。税金は皆が汗水垂らして納めたお金なわけで、首長と議員という選挙で選ばれた人が集団で議論して使い道を決め、民主主義の手続きに則って公平性を担保した形で使うことを旨としなければならない。企業が官民連携で個別企業の利益追求が出来る立場になってはならないのは、公平性を著しく害するからです」(p.139)
民間企業でも与えられた予算を何のために使うべきなのか分かっていない人たちが相当数いた。グレーゾーンであり厳しく問われたときには言い逃れが出来ないものもあった。
「自分たちの財布(財源)を使っていないことを免罪符にしていませんか。」(p.140)
首謀者のやり方を擁護しているつもりはない。しかし、今回の事件で明らかになった関係性や手法は、この一件だけの得意なものではないと私は感じた。民間企業同士のやり取りでは、注目されていないだけで、業界によっては慣例化しているかもしれない。。経済事件の出来事は傍観者として遠い世界を眺めることが多い。その中で、本書は身近な現実として色々考えさせてくれた。
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我が地元、福島県県北地方の伊達郡国見町で巻き起こった一連の騒動を取材した傑作。
一企業が地方自治体の行政を食い物にし、公金を吸い上げる「過疎ビジネス」の実態を、河北新報の気鋭の記者が取材した。
全国どこの自治体でも予算不足、人不足は深刻で、特に人員については職員に効果的な政策立案ができるほどの時間や労力的な余裕が無いのがリアルな実情であると思う。
何か地方創生に関する事業を起そうとした際に、外部委託したコンサルティング会社に丸投を繰り返す現状も致し方ない部分はある。
それでも役場職員には危機感とともに、行政を担う自覚をはっきりと持って日々の職務に当たってほしいと強く感じた。
加えて本文中でも言及されていたが、「福島県伊達郡国見町」での事件を一番熱心に追及したのが、宮城県を本社に置く「河北新報」の記者だったのが残念に感じた。
疑惑追及の最初のきっかけとなった無名のタレコミは、県内の地方紙2紙のほか、テレビ局にも届いてた筈なのに。
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グレーゾーンのさらにギリギリの倫理的には完全アウトの悪事をはたらき儲けようとするコンサルと腐りきった小規模自治体の話。
地方再生における問題点についても述べられています。
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本を読むまで、こんな事件を知らなかった。
しかし、ヒドイ実態である。日本人としての「道徳」はないのか、金が儲かればなんでもすれのか!と、言いたい。役所も同様である、住民の幸せづくりや住みやすい町を創ろうする「理念」は無いのか!
性善説である前提として成り立っている世の中のしくみ、私欲に未来はないだろう。
大変興味深い読めた一冊であった、是非とも読んでいただきたい。
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国策としての地方創生。
地方の小さな自治体で、企業版ふるさと納税という仕組みの歪みを利用した利益捻出に暗躍するプレイヤー達を炙りだしたドキュメントで読み応えあり。
関係人口創出など真正面から向き合って取り組む人達が存在する一方で、こういう輩も跋扈する事実。
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フィクションのようなノンフィクション。今後映像化しても面白そう。
仕様書作成の件とかは、結構似たようなことやってる人いそうだよな〜と思いながら拝読しました。
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本著は地方自治体が人員減少による人手不足により公共事業をコンサルへ丸投げするという現象が挙げており、公金流出や横領、不透明な資金の流れが起きておりお金(税金)だけ用意してコンサルへ丸投げし成功した事業は現時点(2025)では無い。国レベルでも起きているので、根本的で本質的な問題は地方自治体だけでは無いだろう。
さて、本著では「過疎ビジネス」という公的資金でコンサルへ丸投げすることを厳しく批判し問題提起をしている。アウトソーシング(外部委託)と言えば聞こえはいいが、実際には公共事業の放棄であり、成功の有無問わず「やったという公共事業として努力した表現」として残念な結果として問題となっている。
だが、コンサルだけが悪いのだろうか。私はそうは思わない。公的資金を預かり運用し活用に失敗した自治体の責任が大きいだろう。コンサルはあくまでコンサルなので本来は自由に公的資金を扱える立場と権利は無い。なかなかの汚職や腐敗も進む公共事業をする自治体もあれば、必至に町おこしをするために尽力し官民一体となって周囲の自治体を巻き込みコンサルに丸投げではなく協力者として一緒に走り住民も参加型にした地方再生や創生で成功した自治体もあることを忘れてはならない。コンサルに頼らず少ない資金で独自で尽力している自治体も多い。
これから田舎は過疎化が進むのだろうと思われる。インフラも福祉も持たない自治体が出て来る可能性もあるだろう。だが、国も自治体も何もしないわけではなく必至で地方創生へ動いている官民の職員が走っていることを知らなければならない。
国や自治体レベルでもこうなのだ、お金があれば全て上手くというわけではない証明をしている。これは個人にも当てはまるだろう。地方創生や再生は私たち個人から意識を変え社会参加をしていく一つの切っ掛けと解釈を提案する内容であろう。
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町役場の腐敗度合いに空いた口が塞がらない。企業版ふるさと納税の抜け道は素人が見ても明らかで、なぜ問題になるまでこの制度が通用すると思っていたのか甚だ疑問である。
兵庫県で話題になった百条委員会とはなんたるかも勉強になった(そこまで強靭な力があるとは知らなかった)
著者のジャーナリズム精神と取材に協力した人々に敬意を示したい。
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20250801042
正しい考え、正しい方法によらないと制度の悪用が始まる。そこには当事者(自治体、議会、民間事業者、住民等)の無関心、無理解という問題もある。考えねば、行動せねば。