禽獣の系譜 みんなのレビュー
- 花郎藤子, イラストレーター:石原理
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電子書籍禽獣の系譜 上
2022/04/02 08:18
電子復刊版には、あとがきが無い。
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投稿者:M★ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元々は、上下別れていない一冊だったので、
上下に分けた上巻だけ読むと、
烈の弱くてどうしようもない生き方に焦れてしまう。
でも、この作品の仕込まれた伏線の回収は、最後の結末部分に一気にあるので、
じっと我慢で読むしかない。
復刊の電子版を購入した後、元々の形と絵を観たくて紙版購入。
ハードカバーの表紙の46サイズ。
二段組 290頁
紙版は絶版の中古本。
挿画は、表紙の装丁画と中に一枚同じカラーの絵があるだけで、挿絵は紙版には無いので、少し残念。
でも、電子版の鋭い目の烈より、
旧版の俯いた烈のほうが、イメージと合っているように思います。
全てを果たした後、後追いを果たす、思いつめ型の烈。
列だけじゃなく、この作品に登場する全員が、埋められない空虚を心に持っていて、
無意識に虚しさを他の事に没頭することで埋めようとしている。
電子版には無いけど、中古紙本にはあとがきがあった。
紙版のあとがきには、この作品に流れるテーマが書いてありました。
(存命中の著者なら、再発刊でも大体あとがきが付くだろうと思う。あとがきが無い理由を色々考えてしまう)
以下抜粋。
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寂しいことと孤独は異なる。
本当は違うのに、しかし人は時によってその区別がつかなくなる。
つかなくなって、結婚に縋ったり、宗教に頼ったりする。
本来は別の為にあるものに慰めを求めて、寂しさを癒そうとする。
寂しくない人間なんて、居やしないのに 人はその「幻想」を掴もうとする。
家族もその幻想の一つだ。
暴力を嫌うので、暴力について書いている。やくざを美化するつもりは毛頭ない
多分、寂しいから私は「寂しさ」を書くのだろう。
「やくざという生1-2」を参考文献とさせていただいた。
電子書籍禽獣の系譜 下
2022/04/02 08:11
寂しさと孤独の違いがテーマだったらしい
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投稿者:M★ - この投稿者のレビュー一覧を見る
花郎さんの定番、明るい未来の余韻を残す完結の耽美作。
冒頭は、エディットピアフの「愛の賛歌」
実は、愛の賛歌は「愛を終える別れの決意」の歌。
作曲はマルグリット・モノー、
作詞はエディット・ピアフ、
相愛の恋人には家庭がある。不倫の恋愛関係に終止符を打つ決意をするピアフ
嫌いで別れるのではないと、深い愛を書いた別れの歌。
「あの世で一緒になりましょう」
恋人の死後に書いた曲、としているけれど、
実際は、ピアフがこの曲を書き上げた後に、恋人は飛行機事故で死亡。
ピアフが身を引いて別れる必要がない、死の別離が待っていた、運命の皮肉。
その別れの歌=「愛の賛歌」を冒頭に持ってきたってことは、
「烈のその後を暗示」しているんだな、と読み始めからテンション下がる。
周が殺害され、その場で仇を討った烈は、服役。
出所後、烈は組長代理を引き受けて、組の体制を整えていく。
烈は、周の息子に跡目を譲りたい。
家族から周を奪った負い目が烈にある。
そのために、身を捨てて行動する烈。
烈は、「愛の賛歌」の『危険な歌詞』をなぞるように生きていく。
もしもある日、運命があなたと私を引き裂き
もしもあなたが死に、遠い存在となっても
構わないわ、あなたが愛してくれるなら なぜなら、私も一緒に死ぬから
私たちは永遠に一緒 果てしない蒼空に 天国には憂いはない
「愛の賛歌の画」の裏に、烈が隠していたものを、周の息子が知る。
烈の精一杯を受け止めた周の息子は、烈の義妹との結婚を宣言する。
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