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陵辱と純情にゆれる獣【イラスト入り】 みんなのレビュー

  • 秀香穂里, イラストレーター:稲荷家房之介
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みんなのレビュー1件

みんなの評価4.0

評価内訳

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紙の本陵辱と純情にゆれる獣

2007/09/10 19:30

水底の可憐な人魚姫にあこがれて、探し出したら、鮫系、もしくはウツボであった。

9人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る

この上なく濃厚な情念が炸裂する運命的出会い。これでもかというほど一方的に見える「いたぶり」や「すれ違い」が、実は双方向の切なさに満ちたものであることが分かる展開。そして人格的融合といっても過言でない愛の成就……徹頭徹尾、ものすごく秀香穂里氏の作品らしいお話でした。
 ただこの作品、ちょっと気になるところがありました。
 タイトルの「陵辱と純情にゆれる獣」そのものであるところの、逢澤貴久という人物の、状況によってゆれうごく人格的な振幅があまりにも大きすぎて、読んでいてなかなか統合できず、落ち着かないのです。
 彼がもともと極めて繊細な感受性の持ち主であることは、制作している映像作品の描写を通して、説得力を持って詳細に語られているし、過去に大きな裏切りを受けて深く傷ついていることも理解できます。そんな彼の前に、かつて自分を手ひどく裏切った人物とそっくりの人間が現れたなら、平静でいられなくなることも分かります。さらに、もともと裕福な家の御曹司で、人を思い通りに動かすことに慣れきっているということもきちんと説明されています。
 でもだからといって、仕事のためにアポを取って会いに来た初対面の相手が神経に障ったからという理由で、妙な媚薬(?)をつかって気絶させ、地下室に監禁の上、相手を社会的人格を破滅させるような脅しのネタを振りかざしながら抵抗を封じ、問答無用で乱暴狼藉働くというのは、どうなのか。
 逢澤の犯罪的な仕打ちの餌食となった直井佑一は、「一体おれが何をしたって言うんだ!」と叫びますが、私も全く同感でありました。直井はいささか高飛車で、最初のころは他人を道具としか思わない冷酷な人物として描かれていますし、内心では逢澤の才能に嫉妬しつつ、自分の出世の踏み台にしてやろうなどと考えていたような人間ですが、表向き、逢澤には仕事の依頼をしに行っただけで、それ以前には縁もゆかりもない他人なのです。いきなりの監禁暴行は、いくらなんでもやり過ぎです。
 もちろん、このジャンルでのこういうお話のお約束として、被害者側も内心、というかほとんど無意識の領域では、相手に強く引かれるものがあって、本質的には合意の関係であるという展開になっていくわけですが、この作品では、逢澤が直井を屈服させる手口の大半が、犯罪領域の脅迫であるため、いささかすっきりしませんでした。 逢澤は初対面では、直井の部下の麻薬依存を暴く動画を見せつけて、他言されたくなければ言うなりになれと脅しをきかせ、二回目には、初回の暴行場面の動画を送りつけ、それをネットに流されたくなければ言うことを聞けと迫っているのですが、万が一にも直井が覚悟を決めて、証拠を携えて警察に相談するなり訴えるなりすれば、逢澤は名実共に犯罪者になるわけで、人嫌いの孤独で繊細な映像作家としては、ずいぶんとヤケクソ気味の、きわどい行動だったと言えます。そこまでしてでも直井を入手したかったということなのかもしれませんが、付き合いたいなら、普通に直井の仕事を引き受けて、共に時間を過ごすうちに関係を築いていくことだって十分に可能なわけで、なにも犯罪行為で隷属させなくても、と思うのです。
 直井を屈服させてからの逢澤の行動は、さらにヘンです。ファックスで、好みの花や香りやシーツの種類などを答えさせるアンケート用紙を直井に送りつけ、それに従って、自分の別荘で細やかに直井をもてなし、情愛のこもった優しい態度で接した挙げ句、直井が自宅に戻ろうとすると、直井の好きな映像作品やケーキ、果ては子犬まで持ち出して、なんとか引き留めようとけなげに画策する体たらく。まるっきり寂しがり屋の子供です。監禁強姦とのあまりの落差にめまいが止まらなくなるのですが、根が子供同然に純粋である上、抱えている情念が桁違いに大きいため、感情の制御が聞かずにここまで大きく振幅してしまう、とでも解釈するほかはないのでしょうか。
 これに対して、直井のほうは完全にほだされ、脅迫の件は棚上げされて、まっとうな恋愛関係にハマッてしまった人のようになっていきます。これは恋愛ではなくて、ほとんどストックホルム症候群なのではないかと疑いたくなるのは、逢澤と直井の心の推移が、十二分に語られていないからなのかもしれません。とくに逢澤の内面の描写は、もう少し欲しい気がしました。彼がなぜ、初対面の直井にあれほど恋着してしまったのかについても、もう少し聞きたい気がします。直井が作品を見て、いろいろなことに気づいて語ってくれたからだということを、後になって逢澤は言っていますが、それは最初の乱暴狼藉の後の話です。逢澤の作品に惚れ込んで強引にアポイントメントを取って押しかけてきたのが、直井ではない別の誰かであっても、もしかたら逢澤が同じことをしたのではないか……その疑問が晴れる程度には、延々と続く交情シーンを半減させてでもいいから、彼の内面を語ってほしかったです。
 お話のなかで、彼が、自分の思いを知ってほしいと願っている人魚姫に自分を仮託して語っている場面がありますが、私には、暗い水底の洞穴に潜んで、孤独と空腹に耐えながら、ひたすら獲物を待っているウツボのように思えてなりませんでした。



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