D-ブリッジ・テープ みんなのレビュー
- 沙藤一樹
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紙の本D−ブリッジ・テープ
2002/04/25 10:55
悪夢
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投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本能に訴えてくるような怖さを持つ、ホラー小説。20分ぐらいで読める短い話。
ゴミの山のなかで、必死に生きようとする少年。その少年の独白で、ストーリーは展開される。ゴミのなかには当然食べるものなどなく、その辺にいる虫や動物たちを殺して、その肉を食うという生活をおくる少年。かなり気持ち悪いシーンの連続。しかし現実感が希薄なので、どこか夢を見ているような印象を受ける。夢というより悪夢かな。
無意識を直撃するような話ですね。どこが怖いのかよくわからないというか、理屈で割り切れない怖さというか。この感覚は読んだ人でないとわからないと思います。一度お試しあれ。
紙の本D−ブリッジ・テープ
2001/05/28 10:39
私たちは少年の叫びを聞かなければならない
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投稿者:真泰 - この投稿者のレビュー一覧を見る
不法投棄のゴミに溢れた近未来の横浜ベイブリッジ。そこで一本のカセットテープを大事そうに抱えた少年の死体が発見された。親にゴミと一緒に捨てられ、ゴミしかない場で生き、そして死んでいった少年。再開発計画の会議が行われようとしていた室内に、その少年が残した遺言とも取れるテープが再生された。その内容は凄然たるものだった。
とても重要な現代の問題を真正面からぶつけてきた作品だと思います。グロテスクなシーンが多く、怖さも気持ち悪さもありましたが、それよりも辛さと息苦しさを強く感じました。少年の「生きたい」という気持ちが嫌という程に伝わってきて涙が溢れてきます。また、ゴミの中で生きることに必死な少年と、綺麗な部屋の中でうんざりとテープを聞く会議の出席者たちの、あまりに正反対すぎる境遇や光景が印象的でした。そして読後も少年の声がいつまでも耳に残りました。
ホラーとしてというより、小説全般の一作品としてとにかく素晴らしかったです。こんなに少ないページ数ながら、内容は濃厚で、きっちりと纏め上げらています。近未来の日本を舞台に書かれてますが、いつかはこんな事態になるのではないかという不安は募るばかりです。
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