死神 みんなのレビュー
- 著者:清水 義範
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紙の本死神
2001/11/08 13:43
芸は見てもらってこそ活きてくる
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投稿者:青月にじむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある大物俳優の死から始まった。鳴かず飛ばずの中年の俳優夫婦が、そこにたまたま居合わせたことにより運命が大きく変わってくる。まあ、こんなもんなのかも知れないですね、世の中なんてのは。でもって、テレビの中で見るのが何故か、世の中そのものと錯覚しちゃうところの悲喜劇が、軽い皮肉と共に描かれています。
主人公の斉藤氏が狂言回しとなって話は進んでいく。お葬式や追悼番組に引っ張り出されて顔が売れ、本業でもいい配役が回ってくる。いつの間にかご意見番になってたりする。そんなときにまたもや大きなチャンスが回ってくる。
ここで、主人公は死と、故人を追悼するという行為の関係を悟っていくのだ。勿論それは詭弁なのだけれど、自分を納得させてその行為に迷いを持たなくなればそれでいいのだ。そう悟ったときから、この夫婦は変わる。自分たちの与えられたスタンスを過不足なく務めていくのだ。それが芸能人としての彼らの役割でもある。
芸で人を納得させるのが本当なのだろうと思う。しかし、その前に存在さえも知られていない状態では残念ながら、その「芸」を披露する機会にも恵まれない。その矛盾を突破した辺りから、どの不幸にも「かわいがってもらいました」と出てくる三島ゆり子の存在(彼らのちょっと露骨な映し鏡のようなものだ)も「必要な存在なのかも」と、許せるようになってくる。その皮肉と滑稽さをじんわりと感じさせる作品はのできは、さすが清水義範、といったところか。
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