高学歴ワーキングプア~「フリーター生産工場」としての大学院~ みんなのレビュー
- 水月昭道 (著)
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紙の本高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院
2008/03/22 23:37
流動性と市場価値
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KAZU - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここオーストラリアでもそうだが、多くの先進国では(あるいは資本主義の西洋の国々では?)、「流動性」と「市場価値」が重要であるようだ。住宅も、中古市場が8割以上、新築はあまりない。労働者もほとんどが転職で、新卒採用という概念さえあまり聞かない。
日本では中古住宅の市場価値が不当に低く、また新卒者以外の労働者の「市場価値」も不当に低い。そういうふうに海外に住んでいると感じるのである。その点を改善してよりよい日本にしていこう!ということであれば、著者の文科省批判もある程度なっとくできるのであるが・・・私には、これも日本独特の甘えというか、温さ(ぬるさ)を感じてしまうのである。
高学歴ワーキングプアとは、すなわち博士号取得者の「市場価値」が日本国内で不当に低い、という問題なのであろう。日本の企業が博士号取得者の「市場価値」を正当に評価していない、ということであろう。であるならば、不動産と違って、労働、とくに研究者は国内が相手ではなく、海外、もしくは世界で勝負するものであるから、博士号を取得した研究者は国内での職がないなどと嘆く前に、どんどん「海外流出」すればよいのではないか?
しかし、ここで少し意地悪な意見を言わせてもらうならば、それらポスドクは海外ではほとんどサバイブできないであろう。もしくは、海外で職を得る切符を手にする事さえ大半が無理であろう。日本国内よりも、海外はより厳しい競争が待ち構えているのである。そして、それが世界標準である。そのとき、誰を批判しても恨んでも、あまり意味のあることではない。
本書を読んでも残念ながら、「日本を良くして行こう」という前向きな姿勢を感じることができない。
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