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米原万里の「愛の法則」 みんなのレビュー

  • 米原万里
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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.0

評価内訳

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本米原万里の「愛の法則」

2009/03/22 12:50

外国語・国際関係を専門としようとする人必読!

16人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る

 第1章、本の題名ともなっている「愛の法則」は、所々怪しげな生物学理論を用いながら、若き日を思い出して、面白おかしく男女の有り様の違いを語っていて楽しい。誰もが高校生や大学生の時、考えてみたことだろう。それが女性の視点で、また乾いた視線で述べられていて、下ネタとも思われる話題が多いのに、いやらしさを感じさせないのはさすがである。そして、第二章以下のまくらとなっている。
 
 第2章「国際化とグローバリゼーションのあいだ」、第3章「理解と誤解のあいだ」、第4章「通訳と翻訳の違い」は、言語を専門とする米原ならではの深い考察が披露されていて素晴らしい。英語偏重、特に最近の実用英語偏重には、私も多大なイライラを感じている。外国語教育の意義を見失っているとしか思えない。ましてや、公用語を日本語から他の言語に代えようなどという発想が、どれだけ危険なものか気づいている人が少ないように思う。中途半端にしか外国語ができない人ほどそのような主張をするように思えてならない。
 
 そのような人は、次の2点をしっかりと自覚してほしい。外国語ができないのは、日本語が特殊だからとか教育制度のせいではない。本人の努力が足りないからである。2点目は日本人全員がネイティブ並みになれるほどの努力をする必要はないということ。他の才能があるならば、そちらにその努力を振り向けるべきである。旅行英語や買い物英語を学校で教えるのは時間とお金の無駄である。これは、外国語を学ぶなという意味ではない。母語以外のものの見方を知るのに、外国語に触れることは大切である。それが、英語である必要はない。インテリジェンス養成の観点からしても、できるだけ多くの言語の専門家の養成が必要である。
 
 また、外国語に接して、それに興味を持ち、才能を開花させる優秀な通訳、翻訳者、研究者を生み出すためにも外国語教育は中等教育にあってしかるべきである。そして、必要な時にはそのような人材を活用するべきである。著者も言っている「異なる文化の相手との交信を成り立たせるためには、通訳を使うべきなんです。」(p.123)最近では麻生総理がオバマ大統領に何を言っているのか分からないと言われたように、歴代の首相で少しばかり英語ができると自負する人物ほど、失態が多い。

 「バイリンガルの帰国子女が同時通訳ができるかというと、ほとんどの人はできません。それは七百語くらいで済ませてきたからです。ところが会議ではもう少し抽象的な話とか学問の話になるので、通訳には膨大な量の語意も必要ですし、文の形も微妙で複雑なものが必要になります。」(p.168)と著者が言っているように、数年の留学くらいで話せるようになったレベルの外国語を重要な場面で使うべきではないのである。
 
 そうそれでは通訳になるにはどのくらいの語学力が必要か。著者はこう答えている。「読書を楽しめるくらいの語学力で、それは外国語だけではなくて日本語もですよ」(p.181)できる人には母語の大切さ、自文化の大切さが分かるのである。鈴木孝夫しかり、水村美苗しかり、鳥飼玖美子しかり、斎藤兆史、他にもまだまだたくさんいらっしゃると思います。外国語のプロはみな母語の大切さを説きます。英語至上主義者は、言語の専門家には少なく、政治家、経済人、教育学者が多いように思う。言語(文化)の専門家を目指す皆さん、著者のようなよき先輩の後に続いてください。

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紙の本米原万里の「愛の法則」

2008/05/22 06:04

持論の自由な展開

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、NHK「週間ブックレビュー」にて、南伸坊氏がお勧め本として紹介したものである。私は、その勧めに対して読みたいと感じたものの、メモるのを怠った為に分からず、直接NHKに電話して聞いて購入した次第である。
本書は、叙述されたものでなく、講演をそのまま記述したものである。話し言葉であるので、それだけ読み易かった。演題は、「愛の法則」「国際化とグローバリゼーションのあいだ」「理解と誤解のあいだ」「通訳と翻訳の違い」である。それぞれに関連性は無いので、本書の題名は、最初の講演で代表しているのである。
「愛の法則」では、種としてのメスの優位性について語っている。オスの私としては、悔しさも感じたが、納得出来る語りばかりなので、仕方無しと諦めた。
「国際化とグローバリゼーションのあいだ」では、日本人の考える「国際化」と実際の「グローバリゼーション」の違い、即ち、自らを全体に合わせる事を言う「国際化」と自らに合わせさせようとする米国の「グローバリゼーション」とを対比させ、日本の対応の間違い、誤解を解いて面白かった。
「通訳と翻訳の違い」では、自らがロシア語同時通訳だった経験から、通訳と翻訳の違いを説明し、通訳者から見た文章の成り立ちと言葉の意味を解説し、面白く読めた。
全体を通じて、痛快に自らの主張を展開し、軽快に読み続ける事が出来た良書であったと言える。

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紙の本米原万里の「愛の法則」

2010/08/01 08:25

簡潔こそ明瞭なり

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書はロシア語の同時通訳であり、作家、エッセイストとして活躍した米原万里の講演集です。収録されている講演は4つ。「愛の法則」、「国際化とグローバリゼーションのあいだ」、「理解と誤解のあいだ-通訳の限界の可能性-」、「通訳と翻訳の違い」という題目になります。
 
 第1章の「愛の法則」はそのタイトル通り男女の間に関する内容で、本書の中では異色の部類に入ります。それ以降の各章は同時通訳としての経験を巧みに綴った内容で、演者の本領発揮といったところでしょう。機知に富んだ語り口は、楽しむだけに留まらない知見を与えてくれるはずです。

 言うまでもないことですが、同時通訳は2つの言語間の橋渡し役です。同時通訳は言語に通じていればいいというものではなく、文化的背景の知識も求められます。それは自国文化の見直しにも繋がります。「外国語を学ぶと、ふつう日本語で物を見たり、考えたりするときにあった常識が、外国語でとらえ直したとたんにひっくり返るんです。すると日本の常識が通用しなかったりする。違う角度で物を見ざるを得なくなるわけです。だから、ほかの外国語を学んでいる人は、自然に批判的精神とか、複眼思考」(97頁)が身につくとのこと。
 例えば、「国際化」について。日本人の感覚での国際化とは、自国習慣を国際習慣に合わせる、「グローバルスタンダードとよく言われる世界標準に合わせることが、国際化」(64頁)と理解できます。ただ、この訳語のグローバリゼーションは、英語圏の「イギリスやアメリカが、自分たちの基準で、自分たちの標準で世界を覆いつくそう」(64頁)という意味合いが見てとれるという。まったく正反対の意味と言えるでしょう。言語の通訳は、異なる2つの言語そのものの意味を理解することを通じて、複数の文化や思考をしっかり咀嚼して初めて可能になる行為と実感できる話だと思います。

 また、同時通訳は学術会議や国際会議など特殊な環境で必要とされる分野です。そのため、それぞれの専門用語を必死で暗記して仕事に臨むそうです。そして、実際の仕事ではできるだけ簡潔な言葉選びが必要であるため、暗記だけではなく専門用語に関する深い理解も要される。それでも不測の事態はいつでも起こりえることで、当日に主催者側からNGワードが提示されることもあったとのこと。それを瞬時に消化して、架け橋という黒子を全うしてこそプロの通訳なのでしょう。辞書を引きながら、最適な言葉を紡ぎ出す翻訳とは、性質が全く異なることがわかります。

 通訳は、通常のコミュニケーションに複雑な工程を加えたもの。言葉から受けるイメージをひっくるめて解読し、さらに適切なイメージを表現する。それを瞬時に言葉少なめにまとめあげる行為です。米原氏は「肝心なのは発信者の言いたいことを相手に伝えることであり、途中のプロセスはある意味では自由」(151頁)と述べています。つまり字句通りの通訳では情報過多で意味が通じにくいなら、思い切って省略して、意味が伝わるようにしなければならないのだそうです。意味を伝えるという点では、日常会話やビジネスの取引、学術的議論などあらゆる分野が通訳に共通すると思います。冗長な言い回しなんかいらないのです。簡潔明瞭は、簡潔=明瞭ということなのかも知れません。
 

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電子書籍米原万里の「愛の法則」

2019/05/23 05:48

この本メチャメチャ面白い!最高!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Fortheseventhgeneration - この投稿者のレビュー一覧を見る

そういえばソ連崩壊のあの時期に、毎日TVでお声を聞かせていただきました。史上最強のロシア語ー日本語通訳、米原万里。

第1章からオスの存在理由とか、有事に跳ね上がる男児出生率とか、メチャメチャ面白い話満載です。
「文学小説を楽しめるくらいの語学力があれば通訳はできます。」
よし、私もこれから外国語の小説を読んでいこう。
「わかるところだけ訳しなさい」
大事なのは単語では無くて概念、だから辞書を引かずに読み通す。
米原さんの通われたソヴィエト学校では実作品を大量に読ませて毎回要約を言わせたんだそうです。
作品の小間切れを集めた日本の国語教科書との違いを感じます。
灘高の橋本先生の、教科書を使わず「銀の匙」を読み通す授業にも、何か通づるものがあるかもしれません。
米原さんの学校の作文の授業ではまずテーマを決め、それに関連した文学作品の要旨を書き、それを詰めてその構造、つまり物語の骨格を把握させる。そのうえで自分の文をどういう構造で書いていくかを考えさせてから、作文を書かせる。ずいぶんと高度ですよね。

「理解するというプロセスは分析的です。ところが、話たり書いたりして表現する時は、バラバラになっているさまざまな要素を統合していかなくてはなりません。バラバラのままでは表現できません。つまり全く逆なのです。通訳には、分析的に物を聞き取って正確に把握する能力と、それをもう一度統合してまとめて表現する能力、この両方が必要なんです。」
理解できてさえすれば、なんとかなりそうな気もしてましたが、
それをすぐにまとめて表現する能力も、やっぱり必要なんですね。
時間が流れていきますから。

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