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アウシュヴィッツの図書係 みんなのレビュー

  • アントニオ・G・イトゥルベ, 小原京子
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みんなのレビュー6件

みんなの評価4.6

評価内訳

  • 星 5 (4件)
  • 星 4 (1件)
  • 星 3 (0件)
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  • 星 1 (0件)
6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本アウシュヴィッツの図書係

2016/12/30 20:12

ディタにとって本の存在はまさに、「絶望に差し込む希望の光」。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る

1994年、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所には、いつ来るかわからない国際監視団の視察をごまかすためにつくられた子供たちの為の学校が存在した。 そこには青少年のリーダーであるフレディ・ヒルシュが尽力してつくり上げた蔵書8冊だけの秘密の図書館がある(のちに、「物語を語れる者」が「生きた本」として登録される)。
フレディに図書係を任命されたのは、14歳のチェコ人少女ディタ。
その仕事は、本の所持など禁じられている中、ナチスに見つからないよう日々隠し持ち授業の間に先生や子供たちに回し、一日の終わりには無事に“図書館”に戻すという危険なもの。 だが、ディタはその任務も、本を手近に扱えることも誇らしく、うれしかった。
これはそんなディタとその家族・仲間たちの(アウシュヴィッツにいるという<非日常>における)日々の記録と、日常化したナチスによる強制収容所の運用が淡々と同時進行で描かれている。 そんな、事実に基づく物語。

途中から、描かれるところの少女たちの姿が、ブラッドベリが描くところの少年のように思えてきた(少年のように描かれているのではなく、その本質に詩的に迫っているという意味において)。 少年にとって少女たちは永遠の謎で、何を考えているかわからない。 けれど少女たちは考えている、少年以上に少年とは違う次元で。 少年と少女は、夢見る世界の方向が違う、現実との折り合わせ方もまた違う。
そう感じたら、全体の文章もどこかブラッドベリぽく勝手に思えてきて・・・もしも彼がアウシュヴィッツを描いたならば(多分ありえないけど)、こうなった部分があるんじゃないか、という気さえした。
これは原文のせいなのか、翻訳者の技量故なのかわからないけれど、なんとなく・・・こちら側にフィットする何かがあったのだ。 とてつもない残酷なことをさらりと告げる一文の軽さのようなもの。 現実なのにどこか現実ではないような。
それを私は<詩的>と感じたのかもしれない。
たとえば、地の文で、

1944年3月8日の夜、B2b家族収容所にいた3792人の収容者がガス室に送られ、アウシュヴィッツ=ビルケナウの第3焼却炉で焼かれた。

と、この一文でその章をしめくくるように。
これは「事実を基にした物語」であるが故に、<著者あとがき>もまた本文に含まれる。
そこで語られる“現実の後日談”こそが読者をさらに打ちのめし(当時アウシュヴィッツの存在に懐疑的だったユダヤ人に対して真実を告発したハンガリー系ユダヤ人との軋轢が今尚残っているとか、結局同族内においても争いは消えない)、また(ディタのモデルになった女性がいまも生き続けていて、本に対する愛情を失わないでいることなどにも)勇気づけられる。

最近日本でまた<アウシュヴィッツ物>関連の映画が公開されるのが続く。
一時期、「いつまで“ユダヤ人は弱い被害者”像を描き続けるのか」という論争があったことが忘れられたかのように(勿論、近年の映画はかつてのものよりタッチが違っていることは確かだが)。
でもこの本の立ち位置は少し違う。
筆者がスペイン人だということもあるけれど、これは最後まであきらめなかった少女の物語であり、“本”や“物語”がいかに過酷な現実から救ってくれるものであるかという証明であり、アウシュヴィッツにおけるアンネ・フランク以外のアイコンの誕生でもある。
これは歴史、大きな歴史年表に埋もれてしまいそうな、けれど忘れてはいけない歴史のひとコマなのだ。
読んでよかった。 現在のイスラエルがしていることはどうなんだとかそういうことはまた別にして、そんな気がした。

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紙の本アウシュヴィッツの図書係

2017/01/15 21:53

本当に本が好き、というのはこういうこと

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もこもこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ユダヤもの、というと手垢に満ちたように思われるかもしれません。ですが、この本は素直に感動します。主人公の少女は、読書をこよなく愛していますが、苛酷な状況下ではそれもままなりません。有名なアンネ・フランクとお姉さんのマルゴも少し、登場します。もうこれ以上ないほどの悲しい状況に涙は止まらないのですが、最後、希望が出ます。特に、読めない英語の本を抱きしめて泣くシーンは最高です。
 惜しむらくは、戦後の彼女の姿があまり描かれてはいなかったことですが、短い描写に希望が満ちています。
 実話でもあり、本当に良い作品でした。これは必読です。

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紙の本アウシュヴィッツの図書係

2016/10/01 22:55

絶望の中の希望

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る

収容所の中で、たった8冊の図書館が監視をくぐって作られ、貸し出すことで絶望の中で希望をつないだ。ナチスの考えることをやめさせることへの抵抗である。読書の意味を考えさせられる。読みやすく、しかも力作であると思う。

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紙の本アウシュヴィッツの図書係

2017/12/14 13:42

戦争の悲惨さ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:本大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦争はとても悲惨なものであった。しかし、その中で頑張る主人公はすごい。強制収容所で頑張る素晴らしい物語。

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紙の本アウシュヴィッツの図書係

2018/09/06 19:30

少女の勇敢な姿に感動を覚えずにはいられません

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Buchi - この投稿者のレビュー一覧を見る

あのアウシュビッツに学校があったとは.....
ガス室の送られた人が数万人とか、死者の髪の毛が数万トンとか、おぞましい数字は歴史上の出来事として語られていますが、それは世界一高い山の標高とか日本の総人口とかの数字と同じ類のものとして捉えられているような気がします。
この本を読むとあの収容所に過ごした個々の人々がどのような考えを持ち、どのような行動をしたのか生の人間の声として聞こえてきます。
そして、危険を顧みずに図書係となった少女の勇敢な姿に感動を覚えずにはいられません。

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紙の本アウシュヴィッツの図書係

2017/09/18 09:33

実在のモデルのいるフィクション

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:こゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る

アウシュビッツの図書館といっても、ナチスが禁じていたために極秘の図書館である。家族収容所という、アウシュビッツ内でも特別なパートで、制服ではない服が許され、家族が収容されていた。大人が仕事をする間子供を集めて面倒をみていた、いわば託児所が舞台である。

それにしても、主人公の少女の本にかける情熱は、本が好きな人には共感する描写ばかりである。著者もそうなのだろう。
アウシュビッツの少女は、本を開けば収容所ないることも忘れ、外国にバカンスに行っているのと同じ事。空想でどこにでも行けるのだ。このかだりには共感する人が多いかと思う。
反対に、収容されていない、未来の世界の読者も、本を開けばアウシュビッツにいる気分になる。
少女をとりまく環境は厳しい。いつまで生きていられるのか…。アウシュビッツについていささか知識のある読者は気を持むばかりであるが、少女は果敢に立ち向かう。

あとがきで、モデルの人の後日談が明らかになっている。

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