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評価内訳

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紙の本鳥たち

2017/12/11 12:33

過去の重みと今を生きる現実

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:une femme - この投稿者のレビュー一覧を見る

私自身、過去に対する向き合い方に戸惑うことがある。また、過去や過去への思いの伝え方も、難しいと思うことがある。

 多分、人は、過去を振り切ることも、そのすべてを捨て去ることもできない。では、どう向き合えばよいのか、現在において、どう考えればいいのか-そのことを、じっくり考える時間をくれるような本、つまり、過去を受け入れること、その作業を肯定させてくれる本のように思われた。

 また、死という理不尽なもの(突然、生きていた人が、目の前からいなくなることは、理不尽だと思う)を、どう受け止めて、生きていけばいいのか...。時間をかけて、大切な身近な人の死を受け止めながら生きていく主人公たちを見つめながら、そうして、ゆっくり死を受け入れながら生きていくことを肯定するようなやさしさを感じた。

 そこからは、当然だけれど、語らうことのない(言葉にできない)ような、人生への愛が、伝わってきた。

 (随分前に読んだことのある、ばなな作品の『ハネムーン』という小説ー親密な幼馴染の男女の物語ーを思い出した。けれど、切なさが詰まって、ほのぼのとしたところのある『ハネムーン』に比べて、全体に、もっと暗くて、また、生き抜く厳しさが、丁寧に織り込まれていると思った。まるで、生きることを煮詰めて、濃厚にしたかのような、そんな小説だった。)

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