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獅子は働かず みんなのレビュー

  • 八薙玉造, ぽんかん8
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みんなのレビュー3件

みんなの評価3.4

評価内訳

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3 件中 1 件~ 3 件を表示

神を信じる人間の戦い

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 正統ガルダ帝国には戦乱の時代があった。中央教会の腐敗に端を発した改革教会の旗揚げ、諸侯権利の剥奪などが相まって、体制派と反体制派の内乱に発展した。戦いは体制派と中央教会の有利に進んだが、それを支えた≪獅子の牙≫の一人が≪裏切りの獅子≫となってその御使いと共に改革教会として参戦し、≪竜の魔女≫が禍竜と呼ばれる戦力を投入し、≪赤い聖女≫が精神的支柱として立つことで戦乱は拮抗し拡大、隣国セレスター王国の介入を招くまでになった。
 しかしその禍竜戦争も≪赤い聖女≫の処刑で終結し、改革教会は瓦解、≪裏切りの獅子≫≪竜の魔女≫も姿を消してしまった。そして正統ガルダ帝国には徐々に平和が訪れ、街は復興に向けて再建が進んでいる。

 そんな街のひとつであるハーゲンの教会の見習い聖職者であるアンナは、いつも彼女のことを見つめている視線に気づいた。その視線の持ち主を追いかけてたどり着いた移民街にいたのは、その男・ユリウスと、彼の師匠だという幼い少女・サロメだ。
 台所仕事をしている最中に追いかけたアンナが包丁を持って他人の家に押し入ったのはともかく、ユリウスという青年は働きもせず酒を飲んでばかりで、小さなサロメに養ってもらっている。包丁を片手にそれを糾弾したアンナは、教会のノイマン司教に頼み、彼に仕事を斡旋してもらうことにする。

 様々なことがありつつも、平穏な暮らしが始まるのかと思った瞬間、改革教会に属する帝国騎士ラルフが仲間を率いてハーゲンを攻略し、領主代理たちを殺害して、アンナを差し出すように言う。その目的とは一体何なのか?

 神を信じ、人の善意を信じ、平和を信じ、多少のドタバタはありつつも平穏に暮らしていたアンナに襲い掛かる苦難の数々。彼女が愛する街を、人々を傷つけさせたのは、彼女のせいだという。そのことに衝撃を受け、人々を守る為に自分を犠牲にするだけでなく、神への信仰まで捨てさせられるアンナに対し、ユリウスは神の無謬を前提とする言葉をかける。
 禍竜戦争の主役たちの一部は登場するも、そのときに何があったのかはこの巻では明かされない。ただいま起きている出来事は、そのときの出来事に起因することは確かだ。それが何なのかは、これから徐々に明らかにされることだろう。

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過去と現在のギャップ

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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

中央教会と改革教会の対立により起きた禍竜戦争において、中央教会を裏切った元≪獅子の牙≫ユリウスとその御使い・焔鎧王マルテと≪竜の魔女≫サロメ、≪赤い聖女≫マルレーネは、混乱の中心人物だった。マルレーネは処刑され、ユリウスとサロメは名前を隠してハーゲンに住んでいたのだが、聖職者見習いアンナに迫った危機を助けるために暴れてしまい、再び表舞台に登場することになった。
 なぜアンナが狙われるのかを問うために教皇領に向かうユリウスとサロメ、アンナの一行は、野宿の最中に何度かアンナの凶悪なツッコミにさらされながら、途中の街までたどり着いた。そしてそこで、ヴァインハイムという村で改革教会に通じた反乱が起きているという噂を聞く。

 しかし実は、かつてその村は中央教会の傭兵団に襲われていたところを赤い聖女に助けられ、戦後ずっと領主たちに迫害されて来たのだ。その圧政に立ち向かうため、ヒルデとエーファの姉妹魔女が禍竜となって戦っている。
 そんな彼女たちを倒すべく、ユリウスがマルテを連れて行ったと知ったアンナは、彼を止めるために村へと向かうのだが…。

 一方、ユリウスを追うべく、中央教会の≪獅子の牙≫から、ユリウスのかつての師匠であるコルネリアと腰痛持ちのヴァルターが派遣されていた。

 アンナに隠された秘密は未だ明かされず、代わりにユリウスが真面目に働いていた頃に恩を受けた少女たちが登場して、ユリウスを神聖視して慕う様が描かれる。いまの、呑んだくれてダラダラしているユリウスからは想像がつかない話だ。
 そしてもう一方からは、やはり過去にユリウスを慕っていた女性が敵として登場し、御使い同士の大バトルが繰り広げられる。個人的には、戦闘シーンとギャグシーンは、きっちり分けて欲しいかな。

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秘密に重なる秘密

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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヒルデとエーファの姉妹を連れて魔女の暮らす森へと向かう《裏切りの牙》ユリウスとアンナ、《竜の魔女》サロメの前に、《竜の牙》フェルディナンド・ドリーシュとコルネリア・フィードラーが御使い《天翼王》ヴェーネレと《武刃王》サトゥルノを連れて現れる。《焔鎧王》マルテで対抗するユリウスだったが、コルネリアの捨て身攻撃により、彼女と共に断崖へと投げ出されることとなってしまった。
 それを見たアンナはユリウスを助けようとして滑落、サロメ、ヒルデ、エーファの魔女たちとも離ればなれとなってしまった。そんなアンナの前に、セレスター王国第二王女《竜砕きの姫君》リュリュ・ラスパイユが現れる。

 《赤い聖女》マルレーネの残した呪いとも言うべき想いが、いまを生きる女性たちの心を苦しめる。そんな彼女たちの心の揺らぎに気づくこともなく、ただ戦うことでしか何かをなすことが出来ないユリウスだったが、コルネリアがアンナに秘密を告げることで、その不安定な均衡はついに破れてしまった。
 そしてさらに、腰痛の人ヴァルターが内密に進めていた調査は、アンナに、ユリウスに、新たな運命を突きつける。時代の混乱が生んだ悲劇は、取り戻せない犠牲の上にどんな世界を作り上げるのか。

 巨大ロボットが暴れたり、暴走修道女見習いが悩んだり、愛ゆえに憎んだり、見た目幼女な年増をからかったりするお話だ。

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