サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

新規会員70%OFFクーポン

死にゆく妻との旅路 みんなのレビュー

  • 清水久典
予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー5件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (1件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (1件)
  • 星 1 (0件)
2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本死にゆく妻との旅路

2006/05/25 16:24

いくつもの幸せといくつもの不幸せ

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ええさ」
旅の途中に、妻が夫に娘に電話をしてもいいかと聞く。
「もちろん、ええさ」
旅の途中に、妻が夫にアイスを買っていいかと聞く。
「ええさ、もちろん、好きだったら」
旅の途中に、妻が夫に2980円のスカートを買っていいかと聞く。
41歳になったばかりの12歳年下の妻が癌をわずらい余命数ヶ月と診断される。
夫は経営していた工場がつぶれ、自己破産寸前まで追い込まれている。
「逃げる…。唐突にそんな言葉が頭に浮かんだ。
…逃げてどこかでひとみとやり直そう。
時間はない。
ひとみはいつ再発するか、わからないのだから…。
卑怯と言われてもかまわんわ。
出来るだけひとみの側にいてやりたい、
同じ時間を過ごしてやりたい。
入院させたら、ひとみと離れ離れだ。
わしは約束したじゃないか、
ひとみをひとりにしないと…。」
そして夫婦はなけなしの50万円を持ち、古ぼけたワゴンで
旅に出る。
ゆくあてはないのだ、日本のあちこちを古ぼけたワゴンは走る。
そして職安を訪ね歩き、その度に辛い現実に打ちのめされる。
だんだん弱っていく妻を目の当たりにし、途方にくれながらも、二人の旅は続く。
夫は車を走らせながら、二人の出会いの頃を思い出す。
娘が産まれた頃、自分の会社が軌道に乗っていた頃…
これまでの夫婦の歩みを振り返る。
旅の途中に夫が何度病院へ行こうと言っても
「嫌や、一緒にいられなくなるわ」と答える妻。
壮絶と言わざるを得ない
死にゆく妻との旅路。
しかし、行く先々の自然に、観光地に、そして名前を知っているスーパーで
辛い現実を忘れ、心がほどける瞬間がいくつもあった。
そして今は離れて暮らす一人娘との
心のつながりがあった。
清水久典さんという市井の人によって綴られた亡き妻への哀惜の手記を読んで、
いくつもの幸せといくつもの不幸せを感じて、
とても心を揺さぶられた。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本死にゆく妻との旅路

2004/05/01 15:53

つらいけど、幸せかも

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:池のワニ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「わたしは怖かった。妻が死んでいく、そのことに向き合うことから逃げていた。面倒を見ながらも、私はそれ以外の時間、海に向かってばかりいた」
 残りページがわずかになったころで記されている言葉です。
 一生に一冊は本が書ける。とか言われるけれど、これは著者の清水さんにとっては書いておきたかった手記なのだというのが伝わってくるのです。
 気づいたときには治る見込みのないガンにおかされていた妻と、清水さんは一年近く、中古のワゴン車にわずかな荷物を押し込んで旅をします。旅といっても旅館に泊まったりするわけでなし、ほとんどがクルマでの野営。この不況で経営していた縫製工場は傾き、おまけに保証人になっていたその知人は逃げ、他人の借金を被ってしまったのが転落の発端。よくある話でしょうが、自己破産しかないところまで追い込まれ、清水さんは一ヶ月近くも家をあけてしまう。金の工面だと言い、工面のフリをしていただけ。その間に妻はガン。わずかなお金で、あてのない旅をするようになったのは妻の頼みでもあったわけです。病院に行けば一緒にはいられない。「オッサンと一緒にいたい」とせがんだからで、妻を置き去りにしてきた負い目が、というか長年連れ添いながら、やさしくしてやったためしのなかった清水さんだから。二人はずっとずっと一緒に時間をすごすわけです。
のんびりとした日常がここにもあって、どんづまりではあるけれどほのぼのと笑いあえたりもする。が、病気は悪化。いよいよとなったとき、清水さんは海辺で釣り糸をたれるようになる。一緒にいてやりたい。見ているのが辛い。つい逃げようとしてしまう。そういう清水さんの弱さは、読者である自分にもある。それだけに、釣り糸をたれていた清水さんの姿が浮かんでくると、いけませんね。辛いですよ。
「愛しているよ」なんて歯の浮いた言葉は出てこない。淡々とした旅の記憶がつづられています。子供が生まれてから「お母さん」でしかなかった妻が旅のはじめに「名前で呼んで」とねだる。恥ずかしそうに十も年下の古女房に「ひとみ」と呼びかける。時間が経つほどに呼び方になれていくのが愛しく、ときにせつなくも響いてきます。読み終わって心がふわっと満ちてくる。こういう人生もあるんだなあと思えた、いい本です。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2 件中 1 件~ 2 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。