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死にゆく妻との旅路 みんなのレビュー

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みんなのレビュー5件

みんなの評価4.2

評価内訳

5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本死にゆく妻との旅路

2021/09/28 11:07

受け止めの違い

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

読む前にはお涙頂戴も覚悟の上と思い読み進めたのだけど、段々と腹が立ってきた。この旦那は何をしているんだと。妻のひとみさんが本当に大切ならなにもかもかなぐり捨て本人がどうあろうと病院へ連れて行く。それが真の愛情なのではないか。

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紙の本死にゆく妻との旅路

2006/05/25 16:24

いくつもの幸せといくつもの不幸せ

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ええさ」
旅の途中に、妻が夫に娘に電話をしてもいいかと聞く。
「もちろん、ええさ」
旅の途中に、妻が夫にアイスを買っていいかと聞く。
「ええさ、もちろん、好きだったら」
旅の途中に、妻が夫に2980円のスカートを買っていいかと聞く。
41歳になったばかりの12歳年下の妻が癌をわずらい余命数ヶ月と診断される。
夫は経営していた工場がつぶれ、自己破産寸前まで追い込まれている。
「逃げる…。唐突にそんな言葉が頭に浮かんだ。
…逃げてどこかでひとみとやり直そう。
時間はない。
ひとみはいつ再発するか、わからないのだから…。
卑怯と言われてもかまわんわ。
出来るだけひとみの側にいてやりたい、
同じ時間を過ごしてやりたい。
入院させたら、ひとみと離れ離れだ。
わしは約束したじゃないか、
ひとみをひとりにしないと…。」
そして夫婦はなけなしの50万円を持ち、古ぼけたワゴンで
旅に出る。
ゆくあてはないのだ、日本のあちこちを古ぼけたワゴンは走る。
そして職安を訪ね歩き、その度に辛い現実に打ちのめされる。
だんだん弱っていく妻を目の当たりにし、途方にくれながらも、二人の旅は続く。
夫は車を走らせながら、二人の出会いの頃を思い出す。
娘が産まれた頃、自分の会社が軌道に乗っていた頃…
これまでの夫婦の歩みを振り返る。
旅の途中に夫が何度病院へ行こうと言っても
「嫌や、一緒にいられなくなるわ」と答える妻。
壮絶と言わざるを得ない
死にゆく妻との旅路。
しかし、行く先々の自然に、観光地に、そして名前を知っているスーパーで
辛い現実を忘れ、心がほどける瞬間がいくつもあった。
そして今は離れて暮らす一人娘との
心のつながりがあった。
清水久典さんという市井の人によって綴られた亡き妻への哀惜の手記を読んで、
いくつもの幸せといくつもの不幸せを感じて、
とても心を揺さぶられた。

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紙の本死にゆく妻との旅路

2004/08/28 18:29

言葉はいらない

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:吉田照彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 事業に失敗し、多額の負債を背負って進むべき道を失った男。愛する妻ひとりを道連れに、彼はワゴン一台を駆って長い長い逃避の旅に出る。22年の結婚生活の果てに、初めて恵まれた「二人だけの時間」。それは夫婦にとって至福の瞬間(とき)だった。だが、妻はそのときすでに「早ければ3ヶ月以内に癌が再発する」と告げられた病身だった。次第に病魔に蝕まれていく妻の身体。「病院へ行こう」と勧める夫の言葉にも、「いっしょにいられなくなる」と頑固に首を振る妻。そうしてある冬の寒い朝、洗濯に出かけた夫のつかの間の留守中、妻はひとり静かに息を引き取る……。
 本書を語るに多くの言葉はいらない。
 ただ自分のそばにいる大切な人の息吹を、いま、改めて感じてほしい。その人が生きていることの素晴らしさを、その人の存在のかけがえのなさを、しっかりと感じ取ってほしい。
 一人でこの世に生れ落ち、一人で死んでゆくのが生きとし生けるものの運命(さだめ)。だがその末期(さいご)の瞬間を、愛する者の温もりとともに迎えることが出来たら、これ以上の幸福はない。
 これほど世の中にものの溢れる時代であっても、そんな死に様を望むことは、きっとものすごく贅沢なことなんだろうと思う。

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紙の本死にゆく妻との旅路

2004/05/01 15:53

つらいけど、幸せかも

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:池のワニ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「わたしは怖かった。妻が死んでいく、そのことに向き合うことから逃げていた。面倒を見ながらも、私はそれ以外の時間、海に向かってばかりいた」
 残りページがわずかになったころで記されている言葉です。
 一生に一冊は本が書ける。とか言われるけれど、これは著者の清水さんにとっては書いておきたかった手記なのだというのが伝わってくるのです。
 気づいたときには治る見込みのないガンにおかされていた妻と、清水さんは一年近く、中古のワゴン車にわずかな荷物を押し込んで旅をします。旅といっても旅館に泊まったりするわけでなし、ほとんどがクルマでの野営。この不況で経営していた縫製工場は傾き、おまけに保証人になっていたその知人は逃げ、他人の借金を被ってしまったのが転落の発端。よくある話でしょうが、自己破産しかないところまで追い込まれ、清水さんは一ヶ月近くも家をあけてしまう。金の工面だと言い、工面のフリをしていただけ。その間に妻はガン。わずかなお金で、あてのない旅をするようになったのは妻の頼みでもあったわけです。病院に行けば一緒にはいられない。「オッサンと一緒にいたい」とせがんだからで、妻を置き去りにしてきた負い目が、というか長年連れ添いながら、やさしくしてやったためしのなかった清水さんだから。二人はずっとずっと一緒に時間をすごすわけです。
のんびりとした日常がここにもあって、どんづまりではあるけれどほのぼのと笑いあえたりもする。が、病気は悪化。いよいよとなったとき、清水さんは海辺で釣り糸をたれるようになる。一緒にいてやりたい。見ているのが辛い。つい逃げようとしてしまう。そういう清水さんの弱さは、読者である自分にもある。それだけに、釣り糸をたれていた清水さんの姿が浮かんでくると、いけませんね。辛いですよ。
「愛しているよ」なんて歯の浮いた言葉は出てこない。淡々とした旅の記憶がつづられています。子供が生まれてから「お母さん」でしかなかった妻が旅のはじめに「名前で呼んで」とねだる。恥ずかしそうに十も年下の古女房に「ひとみ」と呼びかける。時間が経つほどに呼び方になれていくのが愛しく、ときにせつなくも響いてきます。読み終わって心がふわっと満ちてくる。こういう人生もあるんだなあと思えた、いい本です。

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紙の本死にゆく妻との旅路

2003/10/05 22:33

たまには妻と居酒屋で

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 妻は高校二年の冬、父親を亡くした。十七年という短かい父親との時間だった。高校卒業後、就職先の会社で私と知り合い、二十歳になる前、私の妻となった。すぐに長女が誕生して、妻は母親として子育ての生活にはいることになる。あれから二十二年。長女は結婚した当時の妻の年令を超えたけれど、勝手きままな学生生活をおくっている。そんな娘をみていると、もし妻が私と出会わなければ、もっと自由に楽しく、青春という時間を謳歌できたのではと、私の心のどこかで、妻に対しての贖罪の感情が蠢く。まして、妻にとっては父親よりも私の方が共に過ごした時間の方が長くなったのだ。それなのに、私は妻に何ひとつ報いてあげていない。青春という、楽しくてしかるべき時間を妻から奪いながら、私は妻に対し何もしてあげられないままだ。

 二〇〇〇年の暮れ「新潮45」に掲載され、今度文庫の一冊となったこの本の著者の、妻への思いも同じだ。「何もしてやらんかった」。ましてや、著者の場合は、自分が保証した債権がこげつき、経営していた会社までもが破綻してしまう。自己破産という選択に逃げ出そうとする著者に、今度は妻の癌発病という過酷な運命が襲う。八方ふさがりの著者に対し、妻は「これからは名前で呼んで」というささやかな願いを託す。そして、二人は旅に出る。すべてのものから逃げるようにして。それでいて、夫婦としての満ちたりた時間を過ごすようにして。

 本書は、過酷な生活を背景にして、稚拙な文章で綴られた手記かもしれない。しかし、妻に対し何もしてあげられなかったと悔やむ夫といつの間にか名前すら喪っていることに気が付いた妻の二人は、ごく平均的な夫婦の姿かもしれない。私も同じだ。同じでありながら、私には著者のように夫婦二人だけの時間を過ごすことさえできない。逃げていくことで著者がつかみとった夫婦の絆を、生活を支えるという大義で私はどこかで切り捨てている。

 結婚する前は妻と居酒屋に何度も行った。その時には妻の名を間違いなく呼んでいた。そんな時の彼女は、私にとって、私と対峙する一つの人格だったはずなのに、若かった彼女を妻や母親として拘束したのは、私だ。たまには妻を居酒屋に連れ出してみよう。妻を一人の女性として、解き放つために。それが、今の私と妻との、ささやかな旅路だ。

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