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電子書籍

一九三四年冬―乱歩(新潮文庫) みんなのレビュー

  • 久世光彦
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みんなのレビュー7件

みんなの評価4.8

評価内訳

  • 星 5 (5件)
  • 星 4 (1件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本一九三四年冬−乱歩

2005/12/23 23:38

薫り高き名作。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:だいじろう - この投稿者のレビュー一覧を見る

久世光彦の存在が無ければ、いまの日本における文学界(ご本人は謙遜されるかもしれないが・・)は今年の冬の如き寒風吹きすさぶ世界になっていたのではないか。大袈裟かもしれないが彼の存在、現代の日本の小説愛好者にとっては、まさに暗闇の中で見出される一筋の光である。絢爛なその文章・文体。彼の小説を読むとまず日本人に生まれたことを感謝せずに居られようか。そして何よりも驚くこと、そして特筆に価するのは作中で乱歩の、そうあの大乱歩の新作として書かれている「梔子姫」である。乱歩のあの怪しくも美しく、儚くそして哀しい、あの独特の世界を見事に書き尽くしていることである。この小説、実は文庫化されてから初めて読んだのだが、一読冒頭から引きずり込まれ、寝食を忘れとはよく言ったもので、まさにそのような状態で読み耽った。読んだ。唸った。ため息が出た。こんな面白い、小説の面白さ、読書の愉悦を心底味わわせてくれる作品、そう滅多にあるものではない。薫り高き名作であることに間違いはないだろう。

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紙の本一九三四年冬−乱歩

2011/10/18 21:59

乱歩の見る美しい悪夢

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 推理作家はたくさん好きな作家がいるのですが、個人的にはエラリー・クイーンと
江戸川乱歩はその中でも特別な存在なのです。
ただ、この2人(エラリー・クイーンは正確には2人のペンネーム)は、後期になっていわゆる
「ネタぎれ」に苦しんでいるのがありありとわかってしまって、 全盛期の作品がすばらしかっただけに、
読んでいてつらくなる程でした。 やはり、初期~中期というのが全盛期だったのかもしれません。

 この小説の作家、久世光彦さんは昭和の推理小説に大変詳しい方ですが、やはり
江戸川乱歩は『目羅博士の不思議な犯罪』までだと思っている、と別のところで書かれていて
それには私も同感です。

 乱歩も「大作家」となってしまうと雑誌の期待をあおるような予告が大きくなり、そのプレッシャーに
耐えかねて、原稿が間に合わない(いわゆる原稿を落とす)事もあって編集者泣かせだった
そうですし、自宅から姿をくらましてしまうということも事実何度かあったそうです。

 久世さんはその「スランプで追い詰められて失踪した乱歩」がどこで何をしていたかを
全くの創作で作り上げてしまいました。久世さんの過去の文人を登場させる小説はたくさんありますが
いつもその着眼点に驚かされます。
また、教科書で習うような文豪ではなく、人間くさい、時には妖しい人物であったり、小心者であったり、
大小説家というイメージを久世さんはその独特の世界の中では色鮮やかでうしろめたくも嘆美な世界に再構築してしまう
手法に大変すぐれています。ですから、イメージと違う、という声も上がることは十分承知でしょうが、それを上回る
昭和の小説への傾倒ぶりが見事なほど描きこまれています。

 スランプに陥り、以前から気になっていた麻布の「張ホテル」という西洋館ホテルに逃げ込んだ乱歩。
ホテル唯一のボーイ、ヘリオトープの香りをはなつ中国人の美青年、翁華栄(オウファーロン)に
魅入られるようにして入ってしまった家出中の乱歩。

 謎めいたホテルにひきよせられて、謎に巻き込まれてしまう、推理小説の大家、乱歩が
主人公の幻想ミステリです。

 都心にいるのに家族や編集者がまず、わからないホテルに隠れ、子供っぽくワクワク喜んでしまう
反面、やはり書かねばならないという焦りと不安・・・この物語での乱歩は実に小心者です。

 この物語は大変、凝っていて昭和10年ころの推理小説や文壇のウンチクもさることながら、
このホテルで様々なインスピレーションを得て、筆が進むということになるのですが、
ここで、久世さんが、「いかにも乱歩が書きそうな乱歩そのもの」の小説『梔子姫(くちなしひめ)』
を創作してしまい、この『梔子姫』の物語も同時進行していく、といった遊びに満ちています。

 また、ホテルにいる謎のアメリカ人女性、ミセス・リーとの出会い。
江戸川乱歩、という名前は、エドガー・アラン・ポオを漢字にしたものであるくらい乱歩は
ポオが好きなのですが、ポオの「アナベル・リー」という美しい詩の世界にマンドリンをつま弾くミセス・リーをだぶらせてしまう。
そして、久世さんは、「アナベル・リー」の曲をミセス・リーがマンドリンで弾き語る・・・というところで
親交のあった作曲家の小林亜星さんに作曲を頼み、その楽譜まで載っています。

 猫のようにしなやかで、いつも乱歩を見抜いているようなボーイの翁青年、ミセス・リーの美しさ、
その夫のミスター・リーという謎の人物・・・だんだん、乱歩はリー夫妻の秘密に巻き込まれ、
また小説『梔子姫』の行方もどうなるか・・・という大変手の込んだ、色鮮やかな遊びに満ちた物語です。

 乱歩が好きな人はたくさんいると思うのですが、ここまでできる人はそうそういない、と思います。
乱歩の世界を守りつつ、立派な江戸川乱歩論でもあり、しっかり久世さんの好む耽美と背徳の 世界が、
実に美しい文章でつづられた夢というより美しい悪夢のような小説です。

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紙の本一九三四年冬−乱歩

2002/06/08 23:30

噛めば噛むほど味が出る

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 しかしまあ、なんという細部へのこだわりようでしょうか。
 スランプに悩み、あそこの毛に白いものが混じるようになったといっては落ち込み、ホテルのボーイの美青年にどぎまぎしたりするこの作品の乱歩は、乱歩らしいといったらよいのか、乱歩らしくないといったほうがいいのか……。
 作中作の「梔子姫」も、見事な贋作というか、非常に乱歩的なテイストにあふれているし……。
 なんというか、噛めば噛むほど味が出るタイプの作品ですね。

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紙の本一九三四年冬−乱歩

2002/01/04 20:56

読者のためだけに上演された舞台『乱歩』と『梔子姫』

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kyoko - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み始めた瞬間から、目の前に登場人物からその情景、湿度や香りに至るまで緻密に浮かび上がってくる話は、そうそうお目にかかれない。本書『一九三四年—乱歩』は、まさに、読者のためだけに上演される舞台を見ているような錯覚に陥る。

 四十歳を迎えた乱歩が味わう『己』に対しての逡巡、人間的愛らしさや悲哀がきめ細かく描写され、乱歩ファンにとっては、稀代の小説家に、より一層の愛着が増すことだろう。また、乱歩ファンではない人間にとっても、人生の岐路に立った一個人としての思索を味わうことが出来る。

 特に、内容と並行し、作中の『乱歩』が執筆する『梔子姫』は、作者である久世氏に、ただひたすらに感謝したい。現実の『乱歩』の死後、待ち望んでももう味わうことが出来ないだろうと諦めた新作が、申し分のない形で描かれている上に、この『乱歩』の物語を補完する上でも、最も重要な『物語』でもある。


 読み終わる頃には、白日の陽光と共に、夢とうつつの舞台の幕が降りていた————そんな印象を与える一冊である。

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紙の本一九三四年冬−乱歩

2001/06/24 22:42

あ。これ、乱歩のパスティッシュなんですね。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:una - この投稿者のレビュー一覧を見る

 乱歩好きにはたまらない一冊。
 小説内小説がまた絶品の出来。「押絵と旅する男」の頃の乱歩の文体模写なんです。この「梔子姫」という小説だけでだけで十分楽しめます。
 それなのに、その小説の成立と逃亡中の乱歩の出会う夢みたいな現実みたいな薄ぼんやりしたエピソードを絡めて、非常においしい小説になっています。
 おすすめできます。

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紙の本一九三四年冬−乱歩

2009/05/25 00:38

乱歩降臨

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はりゅうみぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る

久世さんはイタコですか?驚異のシンクロ率、シンジなんかめじゃないです。

1934年の妖しの昭和初期、とある洋風ホテルに潜伏逗留する乱歩。
食べて、寝て、世間話をして仕事して。ただそれだけが何でこんなに淫靡なのか。この表現力恐ろしい。乱歩の作品を読んでればなおのこと戦慄です。
日常生活を記してあるはずなのに、ここにあるのは全くの非現実、時の止まった世界で1人だけ歩いているような孤独と不安を感じます。
行間から滲みだす妖しい色香が全編を覆い尽くして現実に戻る事を忘れてしまいそう、望んで落ちる麻薬の陶酔です。抜け出す事を望まない禁断の迷宮。どこまでも精神性に訴える小説になっています。

現実なのか妄想なのか、今なのか昔なのか、生きているのか死んでいるのか。ここに描かれたものはすべてが妖艶な夢か幻。
分析なんて野暮な事はおよしなさい、ゆっくり浸ればいいんですと読者に語るのは作者なのか乱歩なのか。
編集者との関係、他の作家との交流など「乱歩自身」を描きつつも、彼の創った小説世界に実際に入り込んでしまったかのような不思議な錯覚を覚えます。

美貌の中国青年の蒼い静謐に、美しいメロディを奏でる金髪の人妻。噎せ返る赤い薔薇と梔子姫の白。
インクの様な闇色の黒い枠で仕切られたステンドグラスは乱歩そのもの。乱歩を構成する憧憬の象徴です。この小説自体が彩色のガラスで創られた「乱歩」という1枚のステンドグラス絵、見るものによって妖しく姿を変える光と闇の芸術といえます。

乱歩の小説も発表当時はただの娯楽本、文学作品として評価されていたわけではありませんでした。今のライトノベルの様な位置だったかと思います。
80年近く経った現在作品の文芸性は徐々に評価され、ついには今作の様な芸術的2次作品まで生み出すに至って、乱歩の先進性と共に今のライトノベルの80年後の未来に思いをはせる次第です。

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紙の本一九三四年冬−乱歩

2003/06/21 11:53

二つの小説のせめぎあい

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:穂高 嶺二(文筆業) - この投稿者のレビュー一覧を見る

何と言っても、この小説の特質は、この小説の中に、主人公乱歩が書いていることになっているもう一つの小説「梔子姫」が入っていることである。この二つの小説が相互作用することで、摩訶不思議な物語空間が現れている。久世光彦氏の小説を読むのはこれが初めてだが、その知的な構成にたいへん感銘を受けた。ただ、一点惜しむらくは、作中で重要な小道具として使われているエドガー・アラン・ポー作詞の「アナベル・リー」という曲の楽譜が載っているのだが、章末に「小林亜星氏作曲」とあり、折角ここまで作り上げて来た一九三四年の作品世界がぶちこわしになってしまっていることである。恐らく確認しないまま楽譜を掲載したため、クレームがついてこんなことになったのだろう。他は全編作者の細部へのこだわりに驚かされるだけに、とても残念である。

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