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電子書籍

ペスト(新潮文庫) みんなのレビュー

  • カミュ, 宮崎嶺雄/訳
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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.3

評価内訳

  • 星 5 (3件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本ペスト 改版

2005/02/18 22:05

隙のない作品

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひつじ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストの災禍に見舞われたアルジェリア郊外、オラン市。そこに偶然居合わせた新聞記者のランベール、医師のベルナール・リウー、作家志望の小役人ジョゼフ・グラン。閉鎖された市門の中、彼らはそれぞれの静かな闘いに身を投じる……。
緻密な文章が描き出す小説世界もさることながら、そのじわじわと迫り来る心理的な閉塞感が見事に描出されている。
果たしてこの作品を超える小説が21世紀中に現れるのかどうか、私には分からない。

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紙の本ペスト 改版

2018/07/15 14:28

テーマ性はもちろん、娯楽作としても

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:M77 - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは単なる娯楽作品ではないと言われますが、僕はやっぱり娯楽作品としても優れていると思います。
一つの町が伝染病によって封鎖される恐怖や、囚われた人々の苦しみや足掻き、そして地道な戦いの末の解放。
感染パニック作品が溢れている現代の目で見ると多少読みにくい文章ではありますが、当時は殆ど初めてのジャンルだったんじゃないでしょうか。
一人のヒーローの話ではなく、それぞれが出来ることで戦う群像劇。
逃げ出そうとする者、上手く立ち回ろうとする者、戦いの先の見えなさ敵の大きさに壊れてしまいそうな者たちにすらも寛容な視線が注がれていて、語り手のくぐり抜けて来た戦いの厳しさを感じさせます。

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紙の本ペスト 改版

2015/08/23 16:31

自分だけの言葉を見つけてください

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しろくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

これほど深い感動を味わった小説はありません。カミュを独特の難解さというものはありますが、不条理といかに戦うべきか、その術を身をもって教えてくれます。それは戦い続けるカミュ自身に重なっても見えます。決してはぐらかすことはせず、正々堂々、正面突破。カミュの肉声が詰まっている、そんな印象を受けます。
「異邦人」よりも本作を薦めたほうがファンが増えると思うのですが…。もっとカミュの長編を読んでみたかった。

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紙の本ペスト 改版

2010/11/25 11:40

2、3日「放置」して、後半は一気に

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る

辺見庸さんが推薦したのを目にしたので読んでみた。
アルジェリアのオランという市がペストに見舞われる話。
正直に言って、途中までなかなか読み進めるのに苦労した。
文章は多くが報告の文体になっていて、書き手は最後に明かされるのだが、そのために、なかなか読みづらい文章になっていると思う。
それから翻訳が若干古くなっている部分もあると個人的には感じた。

だが、2、3日、読まずに放っておいて、
「さて、腰を据えて読むか」
と残り半分を開いたら、一気に読んでしまった。

この小説はペストという病疫に閉ざされた町において、
人びとがどんなふうに変わったのか、あるいは変わらなかったのかという物語だ。
で僕としては登場人物が変わっていく方に心を動かされ、
そして、ある登場人物の長い独白などに心を揺り動かされた。

つまり、ペストが町を覆い、人々に変化をもたらしてから、
物語に吸い込まれていったという感じだった。

この小説が発表されたとき、
人びとの頭にあったのは対ナチスの闘いだったようだ。

たしかに読みやすい文体ではないのだが、
読了後には深い充実感をもたらした小説だった。

カミュは哲学論文も書いていて、
僕にはそれはさっぱりよくわからないのだが、
そういう形而上学的な部分がこの小説にも出ていると思う。

でもそれだけでなく人間模様も描かれているので、
興味のある人は読んでみることをおすすめする。

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紙の本ペスト 改版

2019/02/12 17:25

人は無力だ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストが猛威を振るうアルジェリア郊外、オラン市。そこに居合わせた新聞記者のランベール、医師のリウー、作家志望のグラン。閉鎖された街の中、彼らはそれぞれに静かにペストと闘っていく。ペストは好き放題に街中を暴れまくり、どこかにさっていった。人は無力だ

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紙の本ペスト 改版

2018/07/30 19:16

圧倒的な理不尽

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストという抗い難い、突然の災難に対し人々はどう対抗し、または受け入れ、生き延びようとするのか。
その理不尽さは現代でも他の病気であったり、戦争であったり、そう言った物に通じる物が有ると思う。
理不尽の中生きる登場人物達の様々な行動は、自分がどの様な信念を持つかを考えるのにヒントを与えてくれるかも知れない。

深く考えずに読み物として読むのも勿論お勧めだけども、とにかくテーマが重いので気軽の読むのは難しいと思う。

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紙の本ペスト 改版

2019/01/12 20:21

淡々と

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストに襲われた町の様子をたんたんと描いているところが逆にリアルでした。
日常が崩壊しても、いつかはその崩壊に慣れていくのでしょうね。

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紙の本ペスト 改版

2011/03/21 21:54

破滅と人間

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストの流行に見舞われてしまったアルジェリアの都市。ヨーロッパと同じではないにしろ現代医学の恩恵を受けてはいるが、しかし毎日100人が死んで行く。町は閉鎖され、出ることも入ることも叶わず、市民たちはじっと息をひそめて耐えるしかない。中世のようなパニックに取り憑かれることはなく、その惨禍が科学と組織の力で収まることは期待できる。たしかに「ペスト」という言葉に我々は原初的な恐怖を感じはするし、親しい者の死、いとおしい人たちの死といったものが避けられるわけではないが、この世の終わりではない。
そんな中で人々が実感したこととは、暮らしていく中では、時に自由を謳歌し、愛を得ることもあれば、また自由を失ったり、愛を失ったりする。時には他人の自由を奪い、愛を奪う。そうして最後に何を得られるでも、ただ記憶が積み重なっていって、そしてすべてを失う。
そのことを自覚してしまった上で、これから生きていけるのだろうかと思う。耐えられるのかもしれないし、耐えられないのかもしれない。空虚な抜け殻になるになるのかもしれない。
そうした空虚への恐怖は、天変地異でも、日常の些細な事件でも予感されるだろう。
もっと直接的には、ナチス支配下のフランスの閉塞感が、作者にも、当時の読者にもイメージされていたろうと思う。
オランの町とパリを結びつけられるように、たぶん時代や場所を問わない読者にも同じ痛みが伝わる。
物語を形作る人々、客観的第三者となろうとする者、危機に立ち向かう者、共感して集まる同志、逃走を企てる者、傍観してやり過ごそうとする者、初めから埒外に置かれている者、徐々に立場が変わっていく人達、そういう類型には日常的なリアリティを越えて、鮮烈な印象を持つ。
「ペスト」という言葉は、懐古的でもありファンタスティックでもある。その意味が持つ恐怖を今では誰も知らないのだから。自然の反乱に人類が勝てるかどうかといった世界的視点である必要は無いが、人生の中で出会う障壁としては絶望的に巨大なもので、しかしたぶんナチスよりは等身大に近いものだろう。この規模感は作者の意図なのかかどうか。そして経済活動は徐々に縮小してゆく。
自分を投影するのは勇気ある英雄か、おびえの中でラジオ放送に一喜一憂する一市民か、諦観する人か。いずれ恐怖の中にいることは変わらないし、襲ってくる悲しみもそんなに違うわけではなく、ただそれに対処するための、自分の持つ行動パターンやこだわりの性質だけが異なっているだけのような気がする。そして違う道を辿ったとしても、やってくる喪失感もまた共通なことを確認することが、人間を共同体として結びつけるのではないだろうか。

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