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百姓から見た戦国大名 みんなのレビュー

  • 黒田基樹 (著)
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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (3件)
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3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本百姓から見た戦国大名

2007/08/14 00:04

飢餓と戦争の時代のサバイバル戦術

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦国時代、というと支配階級である武将の話ばかりで、直接戦争に関わらない人たちがどのような暮らしを送っていたか、ということはあまり話題にならないしよくわからない。私は戦国武将についてあんまり興味がなくて(全然知らない)、むしろ当時の日常的な生活のあり方がどうだったのかを知りたかったので、百姓を視点に据えた本書の叙述は非常に興味深く読めた。

この本ではまず、戦国時代とは戦争と飢饉の時代であることを強調する。戦争と飢饉が慢性化し日常となった時代だという。そして、戦争と飢饉のなかで窮乏にあえぐ人々は、当然その改善を大名に要求するわけで、その世直しの声が大きくなって実際に大名の代替わりの契機とすらなることを史料から指摘してみせる。

つまり、大名とはいってもやはり生産者として国を支える農民、民衆の声を無視できるわけではない、という実に当たり前のことが指摘されるのだけれど、これがなかなか新鮮だったりする。やはり大名、戦国時代などには支配者である大名とその下で年貢の重圧に苛まれる農民、といったようなわりあい一面的なイメージがあったのだけれど、本書はそういった印象を具体的な事例に基づいて丁寧にかつ鮮やかにひっくり返して見せる。

なお、戦国時代の飢饉というのは江戸後期で大飢饉と呼ばれたようなものがほとんど日常となっていたほどのものだった。作物の収穫の端境期ではつねに人の死亡率が上昇し、日々生きるか死ぬかの瀬戸際にあった。そしてさらに、文字通り戦争がたびたび起こっていた内戦の時代でもあるのだけれど、戦争はどこか空中で行われるわけではなく、常にどこかで誰かの領地において戦われていたということを忘れてはならない。ひらたくいえば、どこかに攻め込むということは同時にその領地で破壊行為を行い、作物を奪取する略奪と表裏一体だったということだ。

では、人々はその過酷な時代をどうやって生き抜いていったのか。そこで注目されるのが村だ。村とは言っても、自然に形成された人々が集まり住んでいるところ、というものとは違い、領地の占有、構成員の認定、構成員に対する徴税、立法、警察等諸権力の行使を行い、私権を制限する一種の公権力として存在する政治的共同体として形成された村だ。さらには当時の人々は皆武器を持っており、対外的に武力を行使することもあった。そして、村の行動については構成員が全員参加する寄合によって決定される。

「不作が生じた場合には、相当分の年貢等の減免を要求するが、それが容易に認められない場合、実力で抗議した。村ぐるみで、山野などに逃げ込み、年貢の納入や耕作を放棄した。こうした実力行使を「逃散(ちょうさん)」といい、中世を通じて百姓の対領主闘争の基本的な方法であった」137頁

適切な対応をとらなければ農民はよそに移動したり、没落したりして、不作発生し、年貢などの収取が滞り、国は存立の危機に瀕する。国にとっても百姓たちの村の豊かさを維持することが重要であり、それなくして大名自身の安寧もなかった。そのような社会状況のなかでは、上記のごとき領主と村との契約はきわめて大きな意味を持っていたのだろう。


この本が面白いのは、この時代における具体的生存の困難さという前提から、生きるための即物的な必要性の点から、当時の社会のダイナミクスを見ていくという視点だ。飢えた農民の声によって代替わりを余儀なくされたり、飢餓の時期に他国へ略奪に行く戦国大名、生存のために大規模な紛争まで起こす武装した村々等、即物的な俗っぷりが興味深いことこの上ない。

詳細は以下
「壁の中」から

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紙の本百姓から見た戦国大名

2006/10/28 00:14

歴史の真の主導者は誰か?

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦国時代は、日本の歴史の中でも特に人気の高い分野である。それ故、この時代について書かれた書物はおびただしい数に達するが、その大半が武田信玄・上杉謙信・織田信長などの英雄を中心にして書かれている。その一方、戦国時代を底から支えた農民について解明した一般向けの歴史書はそれほど見当たらない。
本書は、これまで見過ごされがちであった戦国大名と農民の関係を平明に解き明かした注目の書である。戦国大名と農民については、従来、前者が圧倒的な武力で後者に対峙し、農民は戦国大名に押し使われる被害者であったという見方が一般的であった。ところが、最近、研究の進展により、こうした見方は必ずしも成り立たないことが明らかになった。それによると、当時は気候不順や天災が頻発して農作物の収穫が滞り、人々は慢性的な飢餓状態にあり、当時の農民にとって戦に参加することは敵対する村々から食料を奪うことで命を繋ぐシステムであり、また敵方から戦利品を奪い経済的な役得にありつける機会でもあったというのである。さらに、驚くべきことは、農民は参陣することで、敵国の人々を人質に取ったり人買い商人に売り渡すことで財貨を得ていたとされていることである。
このような見方は、当時の学会に大きな波紋を広げ、従来の農民=一方的な被害者という見解に大きな修正を迫るものとなった。
本書は、こうした見解をベースにして、著者の専門とする戦国東国史の事例を基にして歴史の深層に分け入っている。
本書の中で注目すべきことは、当時の村のあり方についての叙述である。本書によれば、当時の村は、土豪や地侍と呼ばれる層を中心にして、村民一同が結束しており、対外的には近隣の村々とも同盟関係を取り結び、経済的な利権が侵された場合は利益を侵害した敵を実力で排除し、紛争が大規模となると同盟している村々から援軍を得て、時には大規模な合戦に至り双方に多数の死傷者を出すこともあったという。
実際、当時の村々には大量の武器や武具が保有されており、中には付け城や逃げ城さえも備えている村もあったというのであるから驚かされる。
このような村のあり方は、比較的村の自立度が高いと言われる畿内ばかりではなく、領主権力が強いとされている東国の村々でも認められ、また当時の大名・領主同士の合戦と言われるものは、当初は村と村の争いに端を発することが多かったと著者は述べている。
村がこのように唯々諾々と従う勢力ではなかったので、戦国大名といえども、彼らの意向を無視しては領国の経営は不可能であり、検地の際にも双方の意見の調整が図られうえで年貢高が決められ、天候不順で凶作であった際には、彼らの年貢減免の主張が尊重されることも多かったという。
仮に、大名側が村人の意向を尊重せずに、一方的な利益を追求したり、隣国からの侵略に充分な保護を与えることが出来なかった場合には、村人たちはいくら過去に恩恵を受けても、ドライにも敵方の大名側に好を通じたり、逃散という方法で大名側に経済的なダメージを与えることも躊躇しなかったという。
このような村々のあり方は、秀吉による天下一統によって否定されるまで続いたというが、何ともタフな村人のあり方と言わざるを得ない。
本書は、中世村落に暮らす村人についての従来のイメージを一新する衝撃に満ちており、戦国時代を動かす真の主導者はビックネームの戦国大名などではなく、在地の人々であったことを明瞭に説き明かしている。

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紙の本百姓から見た戦国大名

2018/06/25 06:56

目線

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦国時代を民衆の視点から取り上げる作品は少ない。有名な武将だけだは分からない。生活の実態に迫ることはその時代の本質を得ることにもつながる。

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