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電子書籍

キメラ 満洲国の肖像 [増補版] みんなのレビュー

  • 著:山室信一
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みんなのレビュー5件

みんなの評価4.8

評価内訳

  • 星 5 (2件)
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2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本キメラ 満洲国の肖像 増補版

2005/01/21 19:04

建国のロマンと挫折

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:後藤和智 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 他国、あるいはその一部を侵略して新たな国家を捏造する、ということには一種のロマンが付きまとうものらしい。もちろんこういう言い方は、被侵略国にとっては迷惑千万でしかないのだが、侵略国の視点からすれば、他国を侵略することによってそこを「独立国」と装いながらも、事実上の傀儡国家として、自らの理想をその「国家」に委託して全うさせようとする、という欲望はありうることだろう。
 さて、敗戦後60年は、満洲国崩壊後60年でもある。また、再来年は、満洲国誕生75年を迎えるわけだが、1932年に中国東北部に突然生まれ、そして唐突に消えた「満洲国」は、いかなる論理で持って建国され、いかなる現実に直面し、そしていかにして消えたか。そして満洲国は、その崩壊後はわが国を含むアジア諸国にいかなる影を落としているか。本書は、それを克明に追った記録である。
 戦時日本の中心人物、なかんずく板垣征四郎や石原莞爾が満洲国の建国理念として唱えていたのが「日本の活くる唯一の途」「在満蒙各民族の楽土たらしむ」「世界政治の規範となさんとす」であった(これは本書の第1〜3章のタイトルでもある)。また、特に石原莞爾においては、世界はまもなく最終戦争を迎えるだろうという認識があり(最終戦争論)、その発端となるのが日米の衝突で、米国と戦ってわが国が生き抜くために満洲国の占領を何よりも優先すべきである、と石原は考えていた。
 建国後の満洲国は、当初は中国式の法制度を手本としていた。しかし、後に制定された満洲国の憲法(満洲帝国組織法)は、わが国の明治憲法の法制度に極めて酷似したものとなってしまった。板垣や石原などが建国理念として唱えていた「王道」国家とは極めてかけ離れた姿になってしまった、いわば「王道」が「皇道」となったのである。満洲国の皇帝として招かれた中国人も、満蒙の民族から厳しい非難にあい、さらには自らが望んだ日本における天皇と同等の地位もついには得られなかった。反満洲国運動は激化し、満洲に移住してくる日本人は反満洲運動と満洲の気候に次々と倒れていった。満洲国には「国民」が存在しなかったのである。
 こうして満洲国は崩壊した。しかし、満洲国の失敗が、アジア諸国、とりわけ中国と朝鮮半島にもたらした影響は否定できない。例えば、戦後の中国や韓国を主導した人物の中には、満洲出身のものも少ないながらも存在するし、岸信介氏や大平正芳氏、福田赳夫氏なども戦時中に中国や満洲国の体験があり、それが戦後のある時期までの対アジア外交に少なからず影響を及ぼしている。北朝鮮という、抗日パルチザン運動をその存続の正当性とする国家もあり、これも満洲国とは無関係ではないだろう。
 翻って現在。米国のジョージ・W・ブッシュが、ある「崇高な理念」(この「理念」については我々は何度も聞かされているから、今更表記するまでもないだろう)に基づいて、イラクを占領し、「民主的な」イラクをつくろうと鼻息を荒げている。本書を読んで、石原莞爾にとっての満洲国はブッシュにとってのイラクではないか、と思ってしまった。占領政策の失敗からテロや外国人の人質事件が頻発する現在、ブッシュの目にはいかなる風景が映っているのだろうか。そしてブッシュは、どのようなロマンを抱いて、イラク戦争を遂行したのか。本書を閉じて、それを考えずにはいられなくなった、敗戦後60年目の冬であった。

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紙の本キメラ 満洲国の肖像 増補版

2006/02/05 22:51

いささか論理的飛躍がみられる箇所があるが、著者の真摯な態度を評価

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アラン - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者が本書を表す30年前、竹内好氏の「日本国家は満州国の葬式を出していない。口をぬぐって知らん顔をしている。これは歴史および理性に対する背信行為だ。」という言葉を聞き、満洲国とは何であったかという問いに一生かけて答えねばならないという想いにとらわれ続け、ついに出版に至ったというものである。
膨大な資料やインタビューに基づき、満洲国の姿を描き出していく。簡単に要点をまとめると、「民族協和・王道楽土」という理念はあったものの、傀儡国家に他ならなかったということであろう。対ソ戦略拠点にする、自給自足圏を形成する、赤化遮断といった目的のため、当初は満蒙を領有するつもりが、独立国家建設に転回した経緯を示すことで明らかにする。また、日本人が長官職を独占する総務庁が中心に政策が決定していく様子を示すことでも明らかにする。
一方、個々の記述には疑問点が多々ある。帝制を採用した際、「溥儀は尊厳不可侵の地位と引き換えに政治的実権を法的にも失った。」とあるが、「実質的に失った」というなら分かるが、「法的に失った」というのは解せない。また「満洲という国号を創り出したという市村瑞次郎の偽作説が有力でした。そのため、・・・満洲国をもって、女真族のマンジュニグル(満洲国)の復興などと考えた人は皆無であったと思われます」とあるが、“満洲”という名称が偽作であることと、民族国家が復興することを混同しているのではないか。さらに、日満関係を示す語が、手を隋師に借り→善隣→友邦→盟邦→親邦(“親”とはシンではなくオヤのこと)と変遷したことを示し、「呼称が改まるごとに対等な関係から非対等な上下関係」となり」とあるが、呼称が非対等になったのは“親邦”からであり、「改まるごとに」という表現は適切でない。
このようにいささか論理的に飛躍している箇所が散見され、全体の論理構成への信頼性が失われている恐れがある。しかし著者自身が「本書において、私が満洲国の歴史的意義についての評価をしていることにつきましては、その当否を含めて強い御批判があることも承知している」とある。真摯な態度で探求していく姿に経緯を表したいと思う。

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