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電子書籍

スカイ・クロラ みんなのレビュー

  • 森博嗣 著
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みんなのレビュー26件

みんなの評価4.2

評価内訳

26 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本スカイ・イクリプス

2010/09/02 08:31

綺麗な物語だった。とにかく綺麗だ。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「スカイ・クロラ」から始めて、「ナ・バ・テア」「ダウン・ツ・ヘヴン」「フラッタ・リンツ・ライフ」「クレィドゥ・ザ・スカイ」を2度ずつ読んできた。そして今、「スカイ・イクリプス」を初めて読了。
終わったな・・・。そんな気持ち。

本書の帯には「すべての謎を解く鍵がここに!」とある。
2度目の「クレィドゥ・ザ・スカイ」を読み終えたあと、この物語の謎には答えがない、それが答えだと思った。それでいいじゃないか、と。でも、やはり期待もあった。この本で謎が解けるのかもしれない。答えが見つかるのかもしれない。

これまではキルドレからの視点で描いてきた物語。この短編集は、そのそばで見ていた人たちの物語が綴られている。もちろん、キルドレの物語もあるけれど。他のシリーズ作が全て一人称「僕」で語られていたのに対して、全ての短編が三人称。少し新鮮。ササクラ、カイ、ティーチャ(恐らく)、クサナギ・ミズキ(恐らく)の物語は人間くさくていい。「僕」が語っていた物語は、やはり不安定だった。子供と大人が混ざり合って、どうしたらいいのかわからなくなって、自分を納得させるために思考が歪んでいったような(逆にピュアになっていったとも思える)、そんなイメージ。それに比べると、ササクラたちの物語は落ち着いている。自分たちに近いから、そう思うのかもしれない。

さて、このシリーズには本当にいろんな謎が残ったまま。この短編集を読んでも、ヒントは得られたけれど、謎が解けるわけじゃない。もう一度、シリーズを丹念に読み返してみようか。そんな気持ちがなくもない。でもね・・・。
最後の1話を読んだとき、「The End」の文字が見えた気がした。綺麗に幕が降りたなぁ。そんな感じがした。
いつかまた謎を解きたくなるんだろうなとは思うけれど、しばらくは綺麗に「The End」のままにしておきたいな。それくらい最後の物語は綺麗だったんだもの。

さようなら、クサナギ・スイト。いつかまたページをめくる日まで。

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紙の本スカイ・クロラ

2009/07/02 08:26

スカイ・クロラ

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あがさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書の舞台は、戦場?
主人公は戦闘機のパイロット。
時には人を殺し、冷静に上司に報告したあと、その手で食事をし、ボウリングもする。

本書の裏にはこんな文句が。
「戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供」
そう、大人にならない子供のパイロットの話だ。

「スカイ・クロラシリーズ」が参加しているSNSで話題になっているということと、著者のS&Mシリーズがちょい好みに合うということで、読み始めたものの、どんな世界なのかサッパリわからないというのが正直な感想。
でも、なぜか画像は頭に浮かんでくる。
近未来的な世界。恐らく舞台は日本。

prologue
episode 1:cowling
episode 2:canopy

サッパリわからない世界。謎だらけの世界。
いつになったら謎は解ける?
スカイ・クロラを読み終えれば解ける?
謎が多すぎるけれど、謎は謎のままでもいいんじゃないかとも思う。

スカイ・クロラから読むのは、順番としてはOKなのかな?
時系列ではスカイ・クロラが最後らしいけれど...?

でも、読み続けてみよう。
何かを掴むまで。

episode 3:fillet

さて、ここまでで約半分超ってとこかな。何となく話は見えてきた。
少しずつ少しずつ。薄皮をはぐように、実が見えてくる。
なかなかこういうのも悪くない。

この本だけでは完結しないと思っているせいか、心は2冊目に向かっている。
さて、まずはこれを読み終えねば。

episode 4:spinner

ちょっとずつ、ちょっとずつ、ホントにちょっとずつ緊張感が高まってくる。
触れてはいけないところに触れつつあるのかな?
残すはepisode 5 と epilogue だけ。
この話はどこで着地するのだろう。
興味がどんどん沸いてくる。
登場人物の背景もほとんどわからないまま最終章を向かおうとしている。
ちゃんと着地するんだろうか。

episode 5:spoiler、epilogue

終わった...という気持ち。
全編を通して、何とも言えない張り詰めた空気が漂う。誰かがプチッと穴を開けたら爆発しそうな緊張感。
いつかは爆発してしまうのだろうか。

彼らはなんのために飛んでいるのだろう。
彼らは自分の心に沸いてくる疑問を、矛盾を、どのように消化していくのだろう。

本書はシリーズ5冊のうちの1冊。
そして、時系列に並べると最後の物語になるらしい。

では踏みだそう。本来の始まりの世界「ナ・バ・テア」へ。

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紙の本スカイ・クロラ

2006/03/25 21:10

戦争を知らない私たちは

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kou - この投稿者のレビュー一覧を見る

二回の大戦のあとも世界から戦争は消えない。 戦闘機パイロット・カンナミは前線の基地に新たに配属される。そこでチームを組まされたトキノ、上司である女性・クサナギ、整備士のササクラ…
僕らは空を飛び、敵を撃墜する。 そこに理由はない。
音もなく、望みもなく、光もなく、目的もなく、僕たちはただ生きて、戦っている。

一面に広がる、吸い込まれそうに深い青い空と雲。ハードカバー版はそんな美しい装丁ですが、文庫版は青一色で仕上げられています。

舞台はおそらく現代、もしくはほんのちょっと先の近未来。ただしこの世界では2回の大戦後も世界中が戦争で満たされており、日本も例外ではありません。ここでは戦争は国家がするものではなく、戦争行為を売りものにする会社が複数あり、その会社に属する社員が兵隊として前線で戦い、一般の人々はその戦争をテレビや新聞でしか知ることはありません。
そしてここに、キルドレという言葉が登場します。
遺伝子操作の研究途上、偶然生まれた、ある一定年齢以上は年をとらない子ども達。何年も何十年も若い姿のまま生き続けるため、次第に記憶があいまいに、現実感は希薄に、感情は平板になり、自分が何者かすら明確ではなくなっていきます。そしてそのキルドレとして生まれた人間の多くは、前線で戦う兵士になるか、宗教法人(普通に言う宗教とはまたちょっと違うのですが)に属するかどちらかです。
そして前線で戦う戦闘機パイロットとして配属されたキルドレ・カンナミを中心に物語りは進んで行くわけです。

彼らが何故そんなふうなのかを説明するかもしれない“理由”は後半に出てきますが、それもどこまで真実なのか曖昧としている。けれどそんな理由がsあるにせよないにせよ、ここにあるような世界や彼らのような子どもたちをつくりあげるのは、私たちのような人間なのではないか、本来私たちが背負ってしかるべきものを彼らに背負わせてしまっているのではないか、というようなことを考えました。
そういう意味では、これは私たちへの警告なのかもしれません。
“戦争を知らない大人たちに捧げよう” という冒頭文が、読んでいる間中胸に響いていました。
でもそんなことを考えることすら、この作品には余計なことのような気もします。

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紙の本ナ・バ・テア

2019/02/27 00:46

草薙水素は乾いている

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:リンドウ - この投稿者のレビュー一覧を見る

シリーズの1作目「スカイ・クロラ」から続けての購入。

一人称が「僕」なので、語り部である主人公がカンナミだと勘違いして読み進めていくと、途中で「僕」がクサナギだと気付き驚いた。またしても、森博嗣の叙述トリックにしてやられたわけだ。

しかしながら、「ここではない、どこか」は現実世界よりもジェンダーへの理解度が進んでいるようであり、草薙水素が女性であるからと言って特別、差別されたり、その逆に優遇されるということはないようだ。そのためか、男性である私も、語り部・クサナギに感情移入しやすかった。

草薙水素の心はいつも乾いている。地上にいるときも、飛んでいるときも、戦闘中でも。憧れの存在である男性「ティーチャ」のそばにいるときでさえ、いや、肉体関係を持ったときでさえ、そうだったのかも知れない。

散文的な短文が続くシーンでは、戦闘中の緊張感が伝わって来て、哲学的思考の短文が続くシーンでは、草薙水素というキルドレ、パイロットという存在が、いかに矛盾しているか、生と死が曖昧な存在なのかが伝わってきた。

「スカイ・クロラ」を再読するか、続編「ダウン・ツ・ヘヴン」へと読み進むか、悩ましいところである。

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紙の本スカイ・クロラ

2019/02/01 05:04

森博嗣作品と私の共通点

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:リンドウ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「スカイクロラ」シリーズは、S&Mシリーズに続いて読み出した、森博嗣作品シリーズとしては2シリーズ目。10年ほど前に押井守監督がアニメ化し、劇場で観たのを唐突に思い出し、読みたくなって購入しました。
・無類のコーヒー好きであること
・ヘビースモーカーであること
・毎日を淡々と生きていること
以上が森博嗣作品で登場する人物と私の共通点ですが、ただ今禁煙継続中なので、喫煙シーンがあるところは、若干の我慢が必要です。
S&Mシリーズよりも表現が簡潔で読みやすい印象を受けました。それでいて高度な哲学的メッセージが含まれており、読み応えがあります。
作品全体を通して漂う乾いた空気感も好きです。

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紙の本スカイ・イクリプス

2018/07/25 16:00

短編集

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:walkalone - この投稿者のレビュー一覧を見る

理系学生が好む森博嗣の代表作。

理系の友人に勧められて購入しましたが、ハマりました。
短編集もあったんだ。読んでみたいな。

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紙の本ナ・バ・テア

2018/07/25 15:58

シリーズ、2作目

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:walkalone - この投稿者のレビュー一覧を見る

理系学生が好む森博嗣の代表作。

理系の友人に勧められて購入しましたが、ハマりました。
飛行機が好きな人、理系的な話が好きな人だけでなく、もっとたくさんの人に読んで欲しいと思いました。

不思議な非日常感を感じて、感傷に浸れます。
たまに、何言ってんだ?となりますが^_^

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紙の本クレィドゥ・ザ・スカイ

2009/09/13 17:51

最後の爆弾!受け止めてやろうではないか!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あがさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

最後にやられた!って感じだ。

今まで、「スカイ・クロラ」「ナ・バ・テア」「ダウン・ツ・ヘヴン」「フラッタ・リンツ・ライフ」と読み進めてきて、これが一応シリーズ最後の一冊だった。
当然、ここで決着がつくものだと思ってた。

だけどこのシリーズは違う。
最後の一冊を読み終わったあとに、無性にシリーズの最初から読み直したくなる。最後の一冊が一番謎が多いからだ。
今まで自分が何気なく読み過ごしてきたところがあったのでは?、気にも留めずに読み流したところがあったのでは?、思いこみで読んでいたところがあったのでは?という疑問が胸の中で渦巻く。

まさか最後でこんなに悩まされるとは思わなかった。
まず、主人公(語り部)であるはずの「僕」が誰なのかわからないのだ。最初は、あいつだと思って読んでいた。しかし読み進めていくうち、そうだとするとつじつまの合わないところが出てくる。じゃ、あいつなのかと思うと、それも違う気がする。そういった風に、誰が語っているのかさえわからないのだ。

最後に読者に爆弾を投げた作者。
受け止めて解いてやろうじゃないの、その謎を。
しかし、その一方で解かなくてもいい謎なのかもしれないと思ったりする。
彼らキルドレにとって、自分が誰か、誰として扱われるのかなんて関係ないのだろうから。空を飛び、敵と美しい飛行ダンスを踊っていられれば、それに一番幸せを感じる彼らなのだろうから。
彼らに名前をつけたがるのは、周りの大人達だ。それと読んでいる私たちか。

今は迷っている。
次に「スカイ・イクリプス」を先に読むか、それともシリーズを読み直すか...。

解き甲斐のある謎が満載のシリーズであることは間違いない。
解いてみないとわからないが、恐らく疑問を解いたあとも満足させてくれる解答が待っているんだろう。
期待している。

しかし、謎は解けなくても、この物語なら許せる気がする。新しい世界へとのめり込ませてくれた久々のシリーズだった。

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紙の本スカイ・クロラ

2006/08/02 21:20

生きることも、殺すことも理由なんてない

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:永遠のかけら - この投稿者のレビュー一覧を見る

カンナミは、戦闘機に乗り、敵に遭遇すれば相手を殺す。
理由なんてない。誰かが憎いわけでも、誰かを守りたいわけでも。
それが仕事だから。殺すために存在しているキル・ドレだから…。
誰かに撃ち落されるその日まで、戦うだけ。
カンナミも、草薙水素も…。
淡々と描かれるカンナミの日常と感情と草薙水素の無言の憤りが
透明で、すごく痛々しい。
理由のないことの身軽さと、理由のないことの空しさは、
紙一重のような気がする。
章ごとに挟まれるサリンジャーの引用も印象的だった。

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紙の本ナ・バ・テア

2009/07/02 08:25

ナ・バ・テア

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あがさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「スカイ・クロラ」シリーズの2冊目。
ただし、このシリーズを時系列に並べたときには、一番最初にくるべきなのは本書だ。


episode 1:gride

確かにこれがこのシリーズの初めなんだ。
「スカイ・クロラ」での「僕」である「カンナミ」の上司であった「クサナギ」が「僕」として登場している。

「スカイ・クロラ」では、謎の多い人物であった「クサナギ」。
暗い過去を一人で背負っているような人物であった。
その理由が明らかにされていくのか、それはまだわからない。

ただ、2人の「僕」は似ている。
それも2人を関連づけて考えさせるファクターのひとつかも。
2人は、ただの上司と部下ではない。
それは前作を読んでそう感じた。
過去に何かがあったんだ。
それは一体なんだったのだろう。

ますます面白くなってきた。

episode 2:loop

新しい地へ赴任してからの初めての戦いらしい戦い。
それに乗り慣れた散香(戦闘機の機種名)で戦える。
クサナギは珍しく心が浮揚していたらしい。

クサナギは、地上にいると何だか苦しそうだな。まるで水からあがったペンギンが、ヨチヨチと歩きづらそうにしているように。水の中では、スイスイ泳げるのにね。
クサナギもそう。空に居るときはスイスイ思い通りに動ける。地上に帰ると、歩くことさえ、いや呼吸することさえ苦しそうだ。

戦闘機と一体になって、思うように動き回っているクサナギは、楽しそう。たぶん、敵に撃たれて墜ちたとしても、それを楽しんでいるような気がする。

整備士の笹倉以外、同じ基地の仲間たちと不自然なほど距離を取るクサナギ。「人間」が嫌いなのかな。自分も含めて。自分を完結させたいのにどうしたらいいのかわからない。そんな風に見えて仕方がない。

こんなクサナギを変えてしまう何かが今後起きるはずだ。
一体何がクサナギを変えてしまうのだろう。楽しみだ。

episode 3:stall

初めて「クリタ」の名が出た。
「スカイ・クロラ」で「カンナミ」の前任者の名だ。
ここでクサナギとクリタが出逢うのか...。

クサナギの疑問。
自分たちは普通じゃないのか?
クサナギいわく、自分たちは普通の大人にはなれないけれど、普通の子供であると。

「普通」があるから「普通じゃないもの」ができる。
じゃ、「普通」ってなんなんだってことになる。

自分たちが作り出した
「大人にならない子供たち」
「戦うために生み出した子供たち」
それを自分たちとは違うものとして特別視する。
考えてみれば、勝手な話だ。

チームの一人が戦いで死んでしまう。
このことが思いの外、クサナギに大きな影響を与えたようだ。
いつも冷静な、というより投げやりなクサナギが動揺している。
その結果...。

なるほど、そういうことだったのか。
それともこれから先の展開でそうなるのか。

クリタとクサナギとの関係も気になる。
何があった?
何が起こった?
知りたい。

じゃ、次の章へ進んでみるしかないか。

episode 4:turn & epilogue

クサナギにとって、そしてその上司であるティーチャにとって、大きなターニングポイントだったのかもしれない出来事が起きた。
いや、すでに起きていた。
ただそれが発覚しただけ。それを確認しただけ。

「キルドレ」
戦うためだけに生み出された「子供」。大人にならない、老化しない、いつまでも「子供」。
それを興味深く、物珍しげに観る輩が居る。無神経な質問を「上品ぶって」投げかける輩が居る。
それに腹を立てるほど、クサナギは「子供」ではなかった。

一体なんのために戦っているのだろう。
何故、自然に生まれた子供ではいけなかったのだろう。何故、人工的に作り出されたモノではなくてはならなかったのだろう。

空にしか逃げ場所がない子供を作ってしまう。矛盾を抱えた子供を増やしてしまう。
それは大人たちのエゴではないのか。

矛盾を抱えたまま生きている子供は、きっと正常な心のバランスがとれなくなり、やがて自滅していくかもしれない。

全てが、クレイジーな世界だ。

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紙の本ダウン・ツ・ヘヴン

2009/07/02 08:23

ダウン・ツ・ヘヴン

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あがさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

prologue & episode 1:side slip

ここでも「僕」は「クサナギ」。
二機対五機の戦いで、不利かと思える戦いに、クサナギは交戦を選択。味方を一人失ったものの、相手の五機は全て墜とした。
しかし、最後に残った敵の一人はキルドレではなく大人のパイロットだったのだ。ここで、大人の執念を見せつけられた。自身も怪我を負う。

そこで、入院することになったクサナギ。
クサナギは入院は不要だと主張するも、これも「大人の事情」というヤツなのか、受け入れられなかった。

この病院でクサナギはカンナミと出逢う。
カンナミって、あのカンナミ?!
「スカイ・クロラ」で語り部となっていた「僕」=「カンナミ」。
これは意外。素直にそう受け取っていいのだろうか。

入院の原因となった戦いは、クサナギに対して大きなダメージを与えたようだ。身体的ダメージではなく、精神的ダメージ。
たばこを吸いながら思う。
けむりのように自由になれればいいな、と。
この世にとどまっていると、自由は得られない。
消えていくその瞬間に、ものは自由になる。

厭世的なクサナギの姿が見えるようだ。
小さなか細い身体で、大きなモノと戦わざるを得ないクサナギ。
結局は大人たちに何かを演じさせられてる訳で、それは操られていることと一緒。
それに満足できる?
クサナギも少しは大人になったのか?
いや、大人になったというより、面倒くさくなったのだろうな。反発することに。

episode 2:stall turn

クサナギが客寄せパンダになったように思えた。
記者会見でスポットライトを浴びせられ、いくつもの質問に応え、それに素直に従っていたクサナギ。
特に反発する気持ちも持っていないのだろう。だから厭世的だというのだ。

クサナギが以前失った仲間ヒガサワの弟が登場。これから何らかの関わりを持ってくるのかどうかは不明。ただ、ヒガサワの名を聞く度にクサナギの心が揺らぐのは仕方ないことだろう。過去の経緯を思えば。

そしてカンナミ。
パイロットたちの講習会にクサナギが講師として壇上に立つことになるのだが、その生徒の中にカンナミがいた。
やはりクサナギとカンナミ。ただの関係では終わりそうにない。

ちらりとだが、クサナギの幼少の頃のシーンが登場。
意外な母親のもとで育ったようだ。

普通の女の子として生きていけたら、クサナギはどんな少女になったんだろう。やはり、クラスの中で一人浮いている雰囲気を持った少女だっただろうか。優秀なくせに誰とも勝負をしようとしない。ただ、自分だけがいる世界に閉じこもっている。そんな少女になっただろうか。
そんな少女は、大人になったらどうなっていくのだろう。
やはり、キルドレであるという宿命が彼女をそういう性格に育て上げたんだろうか。
クサナギの上司、大人の女性であるカイは、普通の大人だ。競争心も持っているし、悔しさも知っている。

それにしても、文章をもってして空間を生み出す著者の力はすごい。その空間の持つ雰囲気を思う存分楽しめる。読んでいて映像が浮かんでくるのだ。具体的にではないけれど、何となく。

episode 3:snap roll

久々にかつての上司「ティーチャ」に出逢ったクサナギ。
周りから見て、それとわかるほど舞い上がっている彼女。
珍しいことではある。
しかも、一緒に空を飛べるというのだ。
これ以上に嬉しいことがあろうか。

しかしこの戦いは、政治的策略、あるいは企業の広報に利用するためのものだった。市街地の空の上で、腕の立つパイロットが乗った2機が踊るように戦う。驚くような話ではない。今までの戦いだってそうだったのだ。戦争のための戦争。
パイロットがキルドレだから、民間人は騒がないだけ。血を流すのは自分たちではないから。
戦いは退屈を紛らわすショーなのだ。

そうであってもクサナギは嬉しかった。
もう一度ティーチャと空で踊れる。
恐らくどちらかが倒れるまで踊り続けるのであろう。

しかし...。
クサナギたちが戦っている理由がそんなモノだったとは。
クサナギと話したジャーナリストの言葉を借りれば、
「一部の特別な人間だけに戦わせて、それによって民衆の捌け口を用意する。そうしたうえで、今の平和が築かれている。
戦うことに反発するエネルギィを、その一カ所に集める。しかも、それは政治の枠組みの外にある。
また、戦う者に感情移入させることで、反社会的な破壊行為への動機を抑制できる。」

そのために利用されているのがキルドレだ。
同じ人間だったら、民衆が黙っていないだろう。
キルドレならば、歳をとらない。老化しない。
平和に過ごせば、いつまでも死なないで居られる。

だからなんなんだ。だから殺し合いをさせてもいいのか?
政治に利用されたり、企業に利用されたりして殺されていいものか?
そんなことはないはずだ。

仕組まれた戦いの中でクサナギたちは生きている。
そして、彼らは空を飛ぶことを止められないのだ。止めるくらいなら死んでしまいたいというだろう。空を飛んでいるときだけ、自分自身でいられる。そういう風に作り上げられたのだ。

それはそうと、ティーチャとの戦いでも、クサナギは冷静でいられるだろうか。この戦いはいつもの高い空の空中戦とは異なる低空飛行で行われる戦いだ。民衆が見物しやすいように。より楽しませるために...。
やはり、納得いかない世界だ 。

episode 4: low pass & epilogue

いったい何だったんだ。
命を落としても構わないほどの覚悟をもって望んだティーチャとの戦い。クサナギの覚悟が裏切られた。
このとき、クサナギは初めてはっきりと大人たちの、人間の醜さ、狡さを感じただろう。
どこにぶつけて良いのかわからないほどの怒り。
ほおっておいたら自爆しそうなほどの怒り。
そして、それを静められたのは、ティーチャしかいなかった。

空中戦の緊張感は、さすが。
専門用語はわからないが、すごい技術戦であることが行間から読み取れる。著者の力のすごさだ。

クサナギとティーチャとの戦い。
永遠に続くのか。

本書の半分近くのページを占める章であったが、あっという間に読み終えた。クサナギとティーチャの戦いの展開が早すぎて、読み手であるこちらがページをめくる手もつられて早くなってしまうのだ。
今までで一番緊張感を感じた章であった。

次作へと引き継がれた物語。
展開が楽しみだ。

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紙の本スカイ・クロラ

2008/07/27 21:50

気持ちよく流れていく、透明で冷たく乾いた空気。音楽や映像など他ジャンルとの相性が良さそうな小説だけに、押井守監督によるアニメ化に大いに期待。

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 うちの愚息がお世話になった少年サッカーのチームには多士済々、ファンキーなチャラ男系から理論派のインテリ系までさまざまなタイプのコーチがいた。そのなかに、武道の指導者を彷彿させる、男気あふれるびしっとした硬派な人がいて、たまたまそのコーチが試合監督をする1つ上の学年チームにヘタっぴの息子が合流したとき、彼が発する指示でとても印象に残った言葉があったそうだ。

――感じろよ!

「感性を働かせなさい」という指導ではあるのだが、感性ではなく頭を使わないと、この指示の意図は十分に汲み取れない。
 サッカーの試合であるから、攻撃の局面で言われたならば、「どのスペースに走り込めばチャンスが作れるか」「相手のどの裏をかいてパスを出せば、点をたたき出せるか」を感じ取ることであろうし、守備の局面で言われたならば、「どの選手がゴール前に飛び出そうとしているのか」「どこで相手の攻撃の流れをぶった切らなくてはならないか」を感じ取ることであろう。
 もしかすると、「もたもたやっているお前たちを見てイライラしている自分やこうるさい保護者たちの身にもなってみろ」という意味なのではあるまいね。
 それはそれとして、この不思議な小説を読んでいると、視界の悪い霧のなか、どこがゴールか分からないまま、やみくもにドリブルで走り続けていて、「感じろよ!」を連発されている気分になるのであった。いや、それは決して気分の悪い経験ではなく、かといって逆に爽快かと言えば、そうでもなく、やはり不思議としか表現のしようがない。

 この小説には、コクトー『恐るべき子供たち』ゴールディング『蝿の王』ヒューズ『ジャマイカの烈風』、そしてカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』などの「モンスター系」子どもたちの文学の香りをかぎつけることができる。
 そういった小説に限らず、一個の作品として立つものは、ごちゃごちゃした言い訳めいた表現で自らの正当性を説明するような真似はしない。作者が構築した人間観・世界観が「感じろよ!」とばかりに系を閉じてしまっていても、「それで上等じゃねぇか」と思える者だけが作品鑑賞者としてついて行けば良いだけの話なのである。
 とある時代のとある場所に、これこれこういう設定の人たちが暮していて――『スカイ・クロラ』シリーズはどうもそのような親切で分かりやすい説明を省いたところに展開するシューティング・ゲームじみた物語だ。解釈の多義が許される「ゆるい」とも言える設定に、シリーズ累計1000万部と言われるファンがついていることを、何百万通りの「感じ方」があったとして素直に受け止めて良いのかどうかは疑問である。
 なぜならば、私には「何かいいんじゃない」という感じはあったものの、そう受け止めている自分の感覚に、どうも自信が持てないまま読み終わり、そして読後もその状態がつづいているからだ。

 感じはするさ。
 戦闘機で人を殺すのが仕事だという主人公が、舞台となる基地に赴任してくる前の記憶がなかったり、なぞめいた女性上司と不器用なコミュニケーションを交わしたり、戦闘機乗りたちが死んでいっても、それが淡白に語られたり、終盤で、そういう状況を納得させる設定がようやくにつまびらかにされたりするのだから……。
 つまり、物語の解体までは行われておらず、破綻だってなく(でも、生まれて20年ほどにしかならないキルドレが子どもを生んでいるというような設定には、キルドレにどういう生物的特徴を与えているのかと思わず考え込んでしまった)、そういう意味では、小説としての体裁は十分に取られているのだから……。
 けれども、透明で冷たく乾いた空気を肌に感じ取っても、情を交わし合えないようなキャラクターたちの孤独感めいたものを理解しても、彼らが口にする冴えた言葉のいくつかにはっとさせられても、そうした部分部分が一体となって、何か大きなものを気(け)取らせようとする感じはないんだな。
「上等じゃねぇか」と言わせしめるためには「核」がほしい。その核は小説解体のような「実験」、つまり大いなるたくらみであろうと構わない。
 ところが、どうもこの『スカイ・クロラ』は環境音楽的で、気持ちよく流れていくだけだ。読者に「読める」「読めない」という差異をもたらさないことが、小説的なるものへの挑戦なのかもしれないとも推測するが……。
 流れているだけ。だからこそ音楽や映像との相性がとても良いのだろうと想像がつく。
 あるいは、そういった他ジャンルとの融合で完成されていくスタイルというものもまた、小説的なるものへの挑戦なのだとも推測できなくはない。

 とまあ、五里霧中の状態のまま、いろいろ考えてはみたけれども、このシリーズ1巻めでは「感じること」だけが求められていて、5巻が完結したとき、もしくは番外篇のなかで、霧がさあーっと晴れてきて、突如私のような読者が「読める人」の仲間入りを果たすことができるようになるのかもしれないという期待もある。霧の向こうに、「核」と呼ぶべき、大きなものが鎮座している可能性だってある。
「なかなか面白いよ」という中坊の息子の続篇の感想を聞きながら、機会あれば続きも読んでみることになるかもしれない。
 それにしても、キルドレは「キリシタン」みたいなもので、childrenを和風に発音しながら、killを掛けた造語なのだろうか。そんなことも気になるし、恒久的な平和が実現した世界なんて、絶対にあり得ない設定がけろっとされているのが面白いし、イケてるカンナミくんのことも、もうちっと知りたい気もするし、ね。

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紙の本スカイ・イクリプス

2019/04/28 00:08

食後のデザート?いえ、森博嗣作品と言えば苦いコーヒーだ。

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「スカイ・クロラ」シリーズ唯一の短編集。
一人称視点ではない書き方もこれが唯一になるのか。
ある人にとっては、「あー、スッキリした」となるけれど、またある人にとっては「やっぱり苦いのだけれど・・・」となる作品のような気がする。まるで、森博嗣作品の登場人物の大好物、コーヒーのよう。
「スカイ・クロラ」シリーズを全部読んだのに、これだけ読んでいない人はもったいない。是非読んで欲しい。
押井守監督のアニメーション映画「スカイ・クロラ」を観ると、少しこの「コーヒー」に砂糖とミルクが入るかも知れない。

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紙の本クレィドゥ・ザ・スカイ

2019/04/17 04:09

最終巻にして最大の謎

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「スカイ・クロラ」シリーズ、短編集を除けば、一応の最終巻。

最終巻にして、森博嗣氏、ものすごい作品をぶち込んで来たなという印象を受けた。

主人公である一人称の「僕」が誰か分からないのだ。読み進めたら分かるだろうと思いつつ、遂に最後まで分からなかった。いや、正確に言えば、クリタである可能性もあるし、カンナミの可能性でもある、そしてクサナギの可能性もあるということだ。

もしかしたら、短編集「スカイ・イクリプス」を読めば謎が解けるかも知れないし、シリーズを読み返せば解けるかも知れない。でも、それは野暮のような気もする。なぜなら、キルドレとはどこまでも自由な存在であり、自分が誰であるかなど気にしない、一番大事なのは「それを飛べるか」ということだからだ。

またも、森博嗣叙述トリックにやられてしまった。

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紙の本フラッタ・リンツ・ライフ

2019/03/29 15:09

クリタ・ジンロウ

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森博嗣「スカイ・クロラ」シリーズ、4作目。

一人称「僕」が初めてクリタ・ジンロウになる作品。
また、草薙水素が指揮官となって初めて文章化された作品でもある。

まず、一体彼は誰なのか、気になる。カンナミと同一人物という線もあるが、読んでみてその可能性は薄くなった。

相良の登場によって、クサナギとキルドレの関係が進展するシリーズにとって重要な巻だと思う。早く、次巻、「クレイドゥ・ザ・スカイ」を読みたい。

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