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電子書籍

将軍家見聞役 元八郎 みんなのレビュー

  • 上田秀人
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みんなのレビュー6件

みんなの評価4.3

評価内訳

  • 星 5 (3件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本竜門の衛 新装版

2014/01/26 12:32

シリーズもの第1作の魅力

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作家に興味を持ちだした頃に、紹介を読み比べて、
この「三田村元八郎」シリーズが一番面白いのではないかと思った。
もちろん好みに合うかどうかというのが大きいのだが、
知っている4シリーズの中で、少なくとも1巻目を比べる限り、
やはりそのとおりだったと思っている。

デビュー作ではないにしても、これはシリーズものとしては最初の作品である。
しばしばデビュー作とか最初期の作品というのは、技術的には未完成だとしても
一番その作家らしさが出ていると感じられることが多くて興味深い。
この作品は、結末の書き方や題の付け方など考えると、
どうやらシリーズというのはまだ頭になかったようだが、
その分というべきか、いいものを書いてやろうという意欲が感じられて、
引き締まったいい作品になっていると思う。

およそ時代小説の魅力的な要素がオンパレードである。
今やこの作家のトレードマークである徳川裏面史とも言える政治的陰謀やもちろん、
剣の闘いにしても、剣豪やら忍びやら変わった武器やらも出てくるし、
主人公が同心なので江戸の話かと思えば後半は旅の道中になって京都まで行くし、
珍しく?軽いお色気まである。

なんといっても今回の魅力はしかし、構想と人物像ではないかと思った。
陰謀を扱うだけに構想にはいつも凝るだろうが、
本書はとくにプロットが綿密なものと感じられて、
思いがけない展開やら周到な伏線が楽しい。
また人物群も他のシリーズ以上に魅力的で、
元八郎が、ほかのもう一つ頼りない主人公に比べると大人なのも
個人的にはいいと思ったし、
なかなかのクセモノであるその父親、謎の女柄谷行伽羅、
元相撲取りの貞五郎、京都の店の丁稚正吉、公家の伏見宮など、
いずれも人間としての味があっていい。
強いて言えば悪役がやや食い足りないだろうか。

たぶんシリーズとして構想されてないため話としては完結しているが、
それをシリーズ化していく際にどう処理していくのか、
そのへんの手際にも注目して次を読みたい。

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紙の本孤狼剣 新装版

2016/09/19 06:59

吉宗時代はいろいろ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ほとんど積読 - この投稿者のレビュー一覧を見る

新装版の2巻目です。吉宗の時代の話はよく書かれていますが、将軍に就くあたりが勘定吟味役で、吉宗時代の終わりがこの元八郎シリーズです。

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紙の本竜門の衛 新装版

2016/09/19 06:50

また読んでます。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ほとんど積読 - この投稿者のレビュー一覧を見る

毎月、時代小説の新刊を購入していますが、読みたいものが無い時には、新装版を買ったり、既読のものを読んでいます。最近は、300ページ程度の書き下ろしが主で、物足りません。字が大きいのはうれしいですが、これくらいないと読み応えがいまいち。この本は、3度目ですが、やっぱり面白いです。新装版で最終巻まで読みます。

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紙の本風雅剣 新装版

2012/02/05 21:16

江戸城内、見てきたような描写見事

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 上田秀人の三田村元八郎シリーズの第5作である。三田村は時の将軍徳川家重に仕える御家人であるが、滅法腕が立つ。腕とは剣の腕である。となれば、用心棒といいたいところであるが、そうではない。家重に代わって全国の国情を調査するという重い役を担っている。当然、命を狙われることも度々なので、三田村のような剣の達人が選ばれたわけである。

 冒頭から江戸城城内の様子が詳しく描かれている。まるで見てきたように自信をもって描かれている。この角を右に曲がり、長い廊下を行き着くと、今度は左に折れて・・・などと記されている。上田の時代小説の特徴のひとつは、これである。あまりに詳細に描かれているので、妙に現実感がある。

 それは城内の間取りや構造だけでなく、職位やお役目なども詳細を極め、数冊読むとすっかり頭に入っている。上田は親切にも新しい読者のために繰り返し書いている。そのために上田の愛読者は、江戸時代の将軍と旗本、御家人の関係や、お役目と石高などについても詳しくなっているはずである。小普請組といえば、何やらお役目を担っているように聞こえるが、そうではなく窓際族のたまりなのである。しかも、給金をいただくのお役目ではなく、自腹を切って幕府に献金しなければならないという辛い役目でもある。こういう解説が始終現れるので、愛読者はすっかり詳しくなる。

 このシリーズではとくに朝廷との関係も描かれている。朝議の様子や宮家の暮らしぶり、公家と武家の橋渡し役など遺漏がない。上田の時代小説の面白さはこういう点にもある。ストーリーや剣劇の面白さだけではないのである。

 サービス精神旺盛な上田は剣劇のサービスも忘れてはいない。主人公は必ず何らかの流派の免許皆伝で、向かってくる敵をばったばったと切り倒す。時には負傷もするが、練成を重ねてより強くなるという具合である。

 この三田村元八郎シリーズもこれが第5話である。これ以上続くと登場する人間の種類も限界に達し、どのシリーズも似たようなものになりかねない。それかどうか次の第6話で終幕を迎えるようだ。将軍家見聞役とは気が利いたお役目で、描く方としては何でも描けるし、情報の入手も自由自在なので、書きやすいであろう。

 繰り返しは飽きも産むが、定番として型が出来てくる。型ができるとそれを楽しみにする読者も出てくるのである。本書でも忍者だけでなく、いよいよ僧兵も登場してきたので、他のシリーズとさらに区別がつきにくくなってきた。仕える将軍の個性を出すというのも一つであるし、時代を全く変えるという手もある。いずれにしても今後の上田の時代劇の進展が楽しみである。

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紙の本竜門の衛 新装版

2011/08/07 21:33

新装の三田村元八郎シリーズ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は上田秀之が10年以上前に著した時代小説・三田村元八郎のシリーズであるが、新装版での再版である。上田の小説は登場人物の位階や身分によってその面白さが出てくる。筋立てはどれも大きな違いはない。つまり、将軍家の跡目相続の暗闘を描いている。今回もそれは共通している。というより、順序からいえば、これ以降の小説が本シリーズを踏襲しているという方が正確であろうか。

 三田村元八郎は江戸町奉行所(南町)の同心である。同心にも役目が色々あるのだが、三田村は定町廻り同心と言って区切られた区域を巡回し、警戒に当たる同心である。時代は徳川吉宗の時代であるが、問題はその後継者である。順当ならば吉宗の長男である家重であるが、家重には種々の問題があったとされている。

 そこで次男の御三卿である田安を後継にと画策する面々が登場する。上田の小説は登場人物に定番がある。将軍、老中及びそのグループ、幕府の旗本、御家人であまり知られていない要職に就くもの、将軍あるいは老中の配下の忍びの者、これには伊賀者、甲賀者、御庭番と多士済々である。

 とくに政治的なトップである将軍が行う政治に対して、事実上その実権を握っている幕閣である老中、若年寄などの官僚との確執は、現代まで続いている。政治的なトップは現代では間接的に選挙民に選ばれるという点で大きく違う。しかし、実際は総理大臣があまりにもリーダーシップに欠ける場合には、現在われわれの眼の前で繰り広げられている惨状が示す通り、当時とあまり変わらないと言えるであろう。

 今回のシリーズもこの例にもれず、登場人物は賑やかである。主役あるいはそのボディガードは相当な剣の使い手で、流派を持った武士である。徳川幕府を武力で倒そうという動きがなくなってきた時代に、剣の修行に励んでも実務上はほとんど役に立たない。武士の嗜みでしかないのだ。しかし、武士階級が腰に大刀、小刀をぶら下げている限り、刀を抜いての立ち回りは起こりうる。

 したがって、都合によっては命を狙われることもある。それを防ぐのは剣術しかないのである。この立ち回りシーンもふんだんに出てくるところが一つの読みどころとなっている。今回の主人公は江戸町奉行所の同心であるところで、要職とは言えず、さらに旗本でもないので、やや変化が付けられているのだが、結局そういう役目を負わされるので、同じことであろう。

 ワン・パターンとは思いながらも、ついつい引き込まれるのは、上田の発想と筆の力であろうか。

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紙の本無影剣 新装版

2011/09/18 21:37

異彩を放つ痛快時代劇三田村元八郎シリーズ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 三田村元八郎シリーズの竜門の衛、孤狼剣に続く第3弾である。タイトルに剣が付いているからと言って、剣豪に関するストーリーではない。竜門の衛では江戸町奉行所の同心、孤狼剣では大岡忠相の家臣、そして今回は吹上御所御庭者支配、そして勘定奉行配下支配勘定道中方という肩書である。

 このシリーズは、すでに完結しているものを改装して再出版しているものである。したがって、ストーリーそのものが大きく変わることはないが、多少加筆修正があるとのことである。

 毎回役が変わることが読者にとってはどうなのかである。上田のシリーズ作品では、通常は同じ役柄であるが、毎回違うのもなかなか面白いものだと思う。その方が活躍の幅が広がることは間違いない。今回もその特徴をよく生かした展開になっている。

 旗本六千石の板倉修理勝該が江戸城中で、刀を抜いて熊本城主である細川越中守宗孝を切り付けて死に至らしめたという大事件が勃発した。忠臣蔵でも有名であるが、城中で刀を抜くだけで厳罰、つまり切腹である。この両家はそもそも近い関係にあったが、なぜこのような刃傷沙汰が起きたのか、真相を探る必要が出てきた。

 そこで三田村元八郎の登場である。この事件の原因を調べに地方に出向くことになる。誰の指示で出向くことになったかといえば、九代将軍徳川家重である。京に寄れば、心強い味方である伏見宮親王がいる。さらに、桜町院にもお目通りをしたこともあり、元八郎の功績は認められている。こういうところはシリーズを最初から読んでいないと分からない。

 大御所である徳川吉宗も健在で、幕藩体制を守るためには何でもやるつもりである。家重のご政道だけではなく、大御所の意向もまだまだ通じる時代である。これらの要素が絡み合い、複雑ではあるが、なかなか楽しめる読み物仕立てになっている。

 上田の小説を読んでいくに従って、城中の刃傷沙汰や将軍と大御所の対立など、江戸時代300年の間には同じような事件が繰り返し起きているのが分かる。勿論、その原因は様々ではあるが、マスメディアなどはなかった時代に、人々はどのように天下の出来事を知るようになったのか、不思議である。瓦版ではその伝播力は多寡が知れているし、スピードも遅い。小説に書かれるような出来事を庶民が知るわけではない。

 それをあたかも庶民の眼で読者に知らせているように書かれているところが何とも面白い。歴史小説が描く時代の描写は時間軸と為政者と庶民の間の距離をかなり短縮していることに気付かされる。この関係は現代とは格段に違っているはずである。

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