夏の口紅 みんなのレビュー
- 樋口有介
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紙の本夏の口紅
2015/08/14 13:47
青春ミステリ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏という季節には、独特の感傷や五感を刺激する気候が人間の心理を刺激する。
父親の軌跡を追うことで、一人の大学生が少し成長していく・・・
読後の爽やかで暖かな感じが、この作家の本領発揮。
紙の本夏の口紅
2009/09/01 20:44
親の情愛というものは、その形はそれぞれでも、やはり深いものなのです。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
15年前に家を出た父親が死んだと知らされた主人公は、父が暮らしていた家にいく。そこには父が、彼と彼の知らない姉との二人に残した蝶の標本と、初めて会う従妹がいた。
女性の存在感がすごかった。
ケーキ研究家をしている主人公の母親は、元夫が死んだという知らせを聞いて「お祝い」だといい、残したものを引き取りにいくのを、息子に押し付けてしまう。いい意味でも悪い意味でも、純粋培養で育ったお嬢様。邪気も嫌味もなく、ふわふわと生きてる感じが、反対に妙にたくましく見える。
そして、父が再婚した相手の姉<見事に太ったおばさん>。竹を割ったようなと感じの潔さがある。
その、おばさんの娘、口をきかない、でもとっても綺麗な娘、季里子。
父が、母親と結婚する前に付き合っていた女性との間に生まれたという娘=姉を探して、主人公と季里子はお互いの存在を近づけていく。
という、ボーイミーツガールの物語かと思ったら、幻の姉を探すことは、父の足跡を追うことになり…。
子供は、絶対誰かの子供なのだ。そして子供は、親の背中を見ながら成長し、それを追い越していくものなのだろう。
すべては、親の離婚によって離れ離れになってしまった父親からの、最高のプレゼントだったのかもしれない、と思うと自然目頭が熱くなってしまうのであった。
とっても面白かった。
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