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電子書籍

乱視読者の新冒険 みんなのレビュー

  • 若島正 (著)
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みんなのレビュー3件

みんなの評価3.5

評価内訳

  • 星 5 (1件)
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  • 星 3 (1件)
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  • 星 1 (0件)
3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本乱視読者の新冒険

2004/12/21 22:30

LOVE・FOR・BOOK

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:脇博道 - この投稿者のレビュー一覧を見る

まさしく本(とりわけ小説)への愛に満ちあふれた本である。ナボコフ
を偏愛する若島氏の著書であるからして、取り上げられている作品も
一筋縄ではいかないものが多いのは自明ではあるにもかかわらず一気に
読めてしまうのも本書の魅力のひとつであるが350ページ強というボ
リュームは読了後の満足感を存分に味あわせて頂ける事うけあいである。
まずは、にゅるにゅるの話、という文章、これが本書を貫く通底音と
小生は感じた。いわく文学とは歯磨きのようなもので、先から出て来る
ストレートなものからだんだんチューブが破れてにゅるにゅるとはみだ
して出て来るやつ、これが文学そのものなのであるという記述、う〜ん
鋭い指摘である。この冒頭に近い文章にやられてしまった小生でありま
した。数学が神様のゲームであるならば文学は人間の遊びであるとも言
い換えるあたりは氏の独壇場であるし、両者(数学&文学)を優れて接
近させたのはイタロ・カルヴィーノの「見えない都市」であるという指
摘には私的に詩的に素敵に脱帽である。

さあ、氏の万華鏡的読みの素晴しさは全開である。戦後アメリカ小説の
百冊では、氏の読みの深さが存分に感じられるセレクトとなっている。
とりわけ、トルーマン・カポーティとノーマン・メイラーに関する記述
は小説の業の深さが感じられて、ぐっとくるものがある。カーヴァーに
ついて語るとき我々の語るべきこと、という文章は一読カーヴァーにつ
いてのいささか批判的な見解を語っているかのようだがどうも小生には
こういった希有の文体でミニマルな作品を書き続けたカーヴァーへのオ
マージュを氏独自の文体で書かれたように思えるのである。X氏を探し
て、という文章にはX氏が偏愛した競馬、都市などのキーワードを布置
した謎解きエッセイとでもいうべき逸品である。X氏とは誰か? ぜひ本
書で確認して頂きたいと思う。書評の文体練習は、エーコの文体練習が
取り上げられているがこれはクノーの文体練習の向こうを張った秀逸な
作品でありつつ若島氏の文体練習(これも秀逸!)でもあるわけで迷路
的な文体に心地よく酔わせて頂いたのも序の口、カム・カム・エヴリボ
ディなる文章においてフィネガンズ・ウエイクの最強の手口を開陳して
からゲブスタッターなる聞き慣れない作者の「金、銀、銅ー不滅の合金」
なる作品が登場してくるのであるが、ゲーデル・エッシャー・バッハが
架空の書物であったとは? はて遥か昔に同名の本を読んだ小生の記憶も
さながらウロ〜ボルヘスの記憶の環のようにぐるぐると回りだし、酔い
の深さも最高潮に達した次第。

まだまだ、ここまでで本書の3分の一程、大学の迷い猫、なるエスプリに
あふれた章が控えているし、タイムマシンの文学史なる章では、ものの見
事にタイムスリップさせて頂ける事必定! そして『ロリータ』の余白に、
なる章では余白に書くなど勿体なさすぎる程美しくそして氏のペダントリ
ー全開の文章が待ち受けているのだからたまらない! 本を味わい尽す思考
に至高の楽しみを感じる皆様にぜひおすすめの最高の一冊である。

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紙の本乱視読者の新冒険

2005/03/19 22:07

精読者は濫読者を馬鹿にする傾向がある。とくに、小説を書かない大学系の文学者にそれが多い。若島もその域を出ていない。読書の楽しみに上下はないのだが…

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

若島は1952年京都生まれで、1975年京大理学部卒業、1980年同文学部卒業、現在京大大学院文学研究科教授というから、途中、理学部→文学部という大転換こそあるけれど、一度として京都を出たことはないであろう、ある意味、京都生まれの人にとって王道を行くような人生を送っている(と傍目には見える)。著者略歴に載っている著作・翻訳の数はかなりなもの。

で、若島が転向?したことは第1部のなかの「にゅるにゅるの話」で早速「数学をやっていたころには、まわりの人間がみな天才に見えたし、事実ほんとうに凄い奴もいた。ところが文学研究ではそういう奴についぞお目にかからない。(中略)文学の世界では、頭のいいことが必ずしも喜ばしいことではないのである」といった不穏なことばで説明される。

この第1部でいいなあ、と思ったのは、わが国では死と共に忘れ去られたかの感が強いけれど、現代イギリス文学を語る上で欠かせない作家グレアム・グリーンへの言及「物語との旅」「グリーンの演劇的瞬間」で、思わず私も『叔母との旅』をもう一度読み直したくなったほど。

第2部では、「小春姐さんへの手紙」だろうか。いかにも、若い人の美しい女性に寄せる思いが伝わって心地よい。さすが京都だと思う。そして、第4部への伏線となる「教壇に死す」だろうか。わたしはナボコフを殆ど読んでいない為、ここにその名前が出てきて、ほー、と思ってしまう。

第3部は、いかにも元数学者らしい、といえるけれど、冒頭「失われた町」で語られるジャック・フィニィ、その限界といった部分は、彼の作品を読んでなんとももどかしい思いを抱いたことがあるだけに、思わず肯く。そして、ジョイスとの比較。こう書かれたら『ユリシーズ』を避けていることができなくなる。

第4部は、『ロリータ』あるいはナボコフ論とでもいえばいいのだろう。ここで、私と若島、或いは一読者と学者の本の読み方の差がはっきりとする。若島は『ロリータ』を繰り返し読むことで、発見を積み重ね、その世界の虜となり、一読して筋だけを追ってしまった人間に、読む楽しみをしらないかのようにマニアックな読み方の楽しさを教える。まさに学者の文章である。

世の中には深く読むことではなく広く読むことで得られる悦びがあろうとはご存知ないらしい。どちらが上ではない。ただ、若島の文を読みながら、併行して読んでいる瀬名秀明『科学の最前線で研究者は何をみているのか』のなかの信州大学助教授である菊池聡との対談「人はなぜ「あんなこと」を信じてしまうのか」の中の一文「もともと人間の心には、関係のないところに関係を見つけ出してしまうという心理的なメカニズムがあるのです」がやけに気になる。

ナボコフの一文一文に関係を持たせ、伏線を韜晦を見出す。見出せない人間は、読書の素人であるかのようにいう。評論にそのような一面があることは否定しない。しかし、それはそうすることを飯の種にする御仁に任せよう。その気になれば関係なんてそこにだって見出せる、ちょうどノストラダスムのように。しかし、それに囚われない人間もいて、その気軽さ(気楽さ、ではない)も極めて重要なのだ。

最後の「リチャード・カウパーのために」にも、そういった学者らしい若島の発見が披瀝されるが、いままでその論法に慣れ親しんでしまった私には、そうか、でも荒俣宏のほうがもっと楽しく出会いを描くのになあ、と思うだけである。ちなみに、若島があげるSF作家としてのカウパー、多分夫の書斎のどこかにサンリオSF文庫の一冊としてしまわれてはいるのだろうけれど私には初めてきく名前。まして父上の名前など英文学の専門でもない人間にはチンプンカンプンだろう。

いずれにしても、学者らしい文章で、特に『ロリータ』を様々に検索する部分などは、まさに理学系出身の研究者でなければ思いつかない、あるいはやろうとはしない試みだろう。

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紙の本乱視読者の新冒険

2004/11/08 18:41

目次

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:研究社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

第I部 乱雑な本棚
蛾の思想——『アンナ・カレーニナ』を読む
にゅるにゅるの話
音の粒
鉛筆が一本
穴の記憶、記憶の穴
青春の短篇小説あるいは短篇小説の青春
物語との旅——グレアム・グリーン追悼
グリーンと演劇的瞬間——『叔母との旅』公演に寄せて
ブラウン神父の犯罪——井上ひさし編『「ブラウン神父」ブック』
クリスティと麻雀の夕べ
戦後アメリカ小説の百冊
カーヴァーについて語るとき我々の語るべきこと
銀幕の裏側——ハリウッド小説の背信
幻想文学を読み解く十冊
世界の果てとハルキ・ワンダーランド
X氏を探して
書評の文体練習——ウンベルト・エーコ『エーコの文体練習』
カム・カム・エブリボディ——『フィネガンズ・ウェイク』を巡って
カメのための音楽

第II部 大学の迷い猫
書物の森のなかへ
小春姐さんへの手紙
二十年後
新しい人よ眼ざめよ
教壇に死す
わたしの知ったこと

第III部 タイム・マシン文学史
失われた町
未来の言語
見えない小説
不完全な機械
読みすぎた男
ゼロ時間へ
流れる歴史
消滅する部屋

第IV部 『ロリータ』の余白に
失われた父ナボコフを求めて
デニス・ポッターと秘密の部屋
レム、ボルヘス、ナボコフ
ノーパンとナボコフ
ナボコフと「ループ」
トランス−ナボコフ
ナボコフと探偵小説——往復書簡集裏話
ナボコフと英語辞書
虹を架ける——『フィネガンズ・ウェイク』と『ロリータ』
電子テキストと『ロリータ』

リチャード・カウパーのために

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