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電子書籍

新装版 虚無への供物(上) みんなのレビュー

  • 中井英夫
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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (0件)
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  • 星 1 (0件)
4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本虚無への供物 新装版 上

2005/10/15 08:54

狭義の推理小説の範疇に収めておいてはいけない

15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yu-I - この投稿者のレビュー一覧を見る

ミステリファンの間では超がつくほど有名な作品だが、ミステリを読まない層にはどのていど認知されているのだろうか…と懸念して、昨年新装版が刊行されたことも鑑み紹介させていただく。
呪われた一族、密室殺人、自称探偵たちが一堂に会しての推理合戦…外形はあきらかに本格ミステリだ。それも過去のミステリの名作への敬愛に満ちあふれ、次々に展開されるロジックも高度で、ミステリファンに向けて書かれた濃密なミステリという印象である。
しかし、最後まで読めばこれがたんなる推理小説でないことがわかる。アンチミステリ——反推理小説と呼ばれるゆえんが、物語のラストにおいて燦然と現れる。まあ筆者としては、反推理小説というよりは超推理小説とでも呼びたいところなのだが、それはさておくとして。
本書で扱われる犯罪は、虚無への供物だ。
そしてそれをえがききったこの作品もまた、虚無へ捧げられた供物なのである。
ミステリへの深い愛とともにこの作品に詰め込まれているものは、この世界への激しい憤りだ。それを激情のままでなく、厭世的な失望感でもなく、娯楽性あふれる推理小説に昇華したところに高い文学的価値を感じる。
怒りを怒りのままに、失望を失望のままに書くことは難しくない。しかしその怒りを、失望を、それでもこの世界を愛したいという強い願いを、このような上質なミステリに仕上げてしまったということはほとんど奇跡のように思える。
この作品がはじめて刊行された1964年当時と現在、どちらに残酷な「虚無」が多くはびこっているのか、64年に未だ生まれていない筆者には判断がつかない。
しかし現在においても著者が憎んだ「虚無」は、さまざまな形で世に横溢している。筆者がミステリファン以外にもこの作品を是非読んでもらいたいと願うのは、それゆえである。
冒頭「サロメの夜」と同じ夜に著者が没して12年。だが本書は今も、「虚無への供物」としてその価値を保ち続けている。

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紙の本虚無への供物 新装版 上

2004/07/06 14:18

時代と犯罪の関係を意識しながら、美しく幻想的に、しかしいびつでバロックに提示された特別な存在感ある小説。

14人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 東京創元社から全集の形でも刊行されているが、ずっと分厚い1巻として出ていた講談社文庫版が2巻になって登場した。どこの文庫も、文字を大きくするための改版が進んでいるから、その流れに沿った改訂には違いないだろうが、この2004年という年は、どうやら作家・中井英夫にとって節目の年らしい。

 2月29日が『虚無への供物』刊行40周年の日であったそうだ。そして15年前の6月、中井英夫は終の棲家と考えていた世田谷区羽根木の地から離れざるを得なかった。私事で恐縮だが、羽根木は隣町。中井氏の散歩道だったところを私は始終うろついているらしい。
 50年前の1954年9月26日、青函連絡船「洞爺丸」が転覆した。1155名もの犠牲者が出た国鉄最大の事故であり、タイタニック号に次ぐ海難事故ということになる。ギュンター・グラスが『蟹の横歩き』で扱った大戦中のヴィルヘルム・グストロフ号転覆——ナチス・ドイツが伏せていたため9000人もの犠牲者を出したというのに知られざる事故だったから、それが史上最悪の海難として、洞爺丸は3番目の規模である。青函トンネル着工の直接の引き金となったこの事件を舞台に、水上勉が『飢餓海峡』を書いているが、『虚無への供物』もこの事故を背景としている。
「ザ・ヒヌマ・マーダー」と作中人物に名づけられる連続殺人事件が、ゴシックな屋敷のなかで展開していくわけだが、そもそも主要登場人物の氷沼蒼司・紅司兄弟の両親は、洞爺丸沈没事故で両親を失ったという設定である。その「ザ・ヒヌマ・マーダー」の幕が切って落とされる日付が1954年12月10日。黒天鵞絨(ビロード)のカーテンそよぐ下谷・竜泉寺のゲイ・バア「アラビク」から始まる。
 加えて言うなら、物語が始まったのと同じ日付の1993年に、中井英夫はみまかった。——ドラマティックなものに引き摺られてしまうのは、私だけではあるまい。
 
 アンチ・ミステリーという形をとって『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』とともに推理小説の3大奇書として挙げられる本書である。本格派推理小説にふさわしい複雑な謎解きを収斂させていくことではなく、逸脱させたり破綻させたりを平気でやってのける作品の魅力については多くの人が語っているので、ここでは触れることを遠慮する。
 注目したいのは、そのようにアンチ・ミステリーという形をとったことの根にあったものである。

 冒頭、バア「アラビク」の立地についての話を少し振ったあとにすぐ、作者は1954年という年の陰惨な事件の数々に触れている。連続殺人事件の物語を始めるに当たって、その年の殺人件数の異常な多さに触れ、さらに二重橋圧死、第五福竜丸、黄変米、そして洞爺丸の諸事件を挙げ、それをあっさり「新形式の殺人が次から次と案出された年だからでもある」(11P)と裁定している。 
 高度成長前夜の50年代は、松本清張が『日本の黒い霧』でも表わしたように、GHQの思想統制などにより、インテリ層にとっては何とも暗澹たる閉塞感に満ちた時代だったろう。それを『虚無への供物』という言葉ですくいあげ、全篇にその時代の空気を漂わせたこと——これは戦後日本文学のひとつの大きな収穫ではないか。

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紙の本虚無への供物 新装版 上

2015/03/26 11:59

割り切ってからは速い

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る

こういう本だと割り切ってからは速く読めた。事件が起こって推理して自分たちでその真相を否定しては場面転換というパターンの繰り返しなので、さすがに飽きるだろう。なぜ日本ミステリー三大奇書に選ばれているかは下巻で分かるんかな。

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期間限定価格

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コルダ - この投稿者のレビュー一覧を見る

期間限定価格ですごくお得に手に入れました!古い作品のようですが、軒並み評価が高いので楽しみにしています。

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