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みんなのレビュー5件

みんなの評価3.8

評価内訳

  • 星 5 (2件)
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  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
5 件中 1 件~ 5 件を表示

目からうろことはこのことだ。ヒトとしての出自を知るに最適の1冊。

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:悠々楽園 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 昔習った記憶では200~300万年前のアウストラロピテクスが最初の人類だったはずで、この本のタイトル「人類進化の700万年」には「えっ?そうなの」と驚いた。それでこの本を手にとったのだが、2000年前後から21世紀の最初の数年の間にヒトの起源を書き換えるような大きな発見や研究成果がいくつもあり、そうした成果を踏まえて700万年前にさかのぼる人類の歴史について書かれたのが本書である。現在最古の人類は2002年に報告されたサヘラントロプス・チャデンシス、愛称「トゥーマイ」(「生命の希望」の意)だそうだ。
 科学の世界では、1990年代から進歩のスピードがさらに一段も二段も加速しているように思える。人類史というと化石の発見ばかりに目が行ってしまうが、その化石がいつのものなのかを正確に測定できる科学技術がなければ、世紀の発見も意味をなさない。遺伝子の解読といった新たな手法も含めて、ヒトの起源を探るためのテクノロジーが急速に進展したばかりでなく、インターネットによって広範な人知をワールドワイドに共有し、膨大な情報を瞬時に検索・参照できる技術が、この間に確立したこともスピードアップに寄与しているのかもしれない。
 それにしても、こと科学の分野では20世紀に学校で学んだ事実や理論は、21世紀に入った今現在、多少大袈裟にいえば「間違っている」ことのほうが多いかもしれないと改めて思うほど、この本に紹介された人類の歴史をめぐる研究成果は驚きに満ちている。詳しく書く字数がないけれども、現生人類とは別の系統の、絶滅してしまった「頑丈型猿人」がいたとか、人間とチンパンジーの間の遺伝情報の違いはわずか1.23%しかないとか。また本書にはシラミやチンギス・ハーンも登場する。もちろん人類史のまじめな研究の1つとして、である。
 著者は科学分野を担当する新聞記者。この本を読んで改めて新聞記者の筆力・構成力に敬意を禁じ得ない。科学者が書いた本とは良くも悪くも一線を画す。この分野について私程度の知識しかない人間が、学者の書いた専門書を読まなくてはならなかったなら、この本によって知りえた情報にたどりつくのは相当骨の折れる仕事になるし、途中で挫折して結局何もわからなかったということになるのが関の山だったろう。事実関係をきちんと整理し、文系的な発想で幅広い視点から「事実」が意味するところを多角的に紹介してゆく。編集上も、できる限り一般的な言葉を選び、平易な表現による記述に心を砕き、写真・イラスト・チャートなども多用するなど一般読者の理解に資するための工夫が行き届いている。
 この本は2005年9月に発行されておりすでに3年が経過している。この間にまた新たな発見や研究成果が必ずやあったに違いない。いずれの日にかさらに新たな成果を踏まえた続編が編まれることを期待しています。

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概説書の読み解き方

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人類を定義づける「直立二足歩行」という「技」を身につけて早700万年。しかし、それも地球上の歴史からみるとほんのわずかな出来事に過ぎない。長い歴史を刻んできた地球のきまぐれとも言える環境や気象の変化などに翻弄されながらも、今や人類は地球上で主役の座にのぼりつめたといっていいだろう。それは他種にはなしえなかった広域拡散の達成という点でも首肯される。本書はそんな人類のささやかとも言える進化の歴史をまとめた概説書である。

 人類に限らず進化を論ずる際もしくは読む際には、その文章の言い回しに気を付けなければならない。本書55頁には以下のような具体例をあげて、そのことを注意喚起している。

 A 人類のオスは、メスへ食糧を運ぶために二足歩行に適した体に進化し、繁殖する機会を増やした。
 B 二足歩行ができるように進化した人類のオスは、メスに食糧を運ぶことで繁殖の機会を増やした。
 
 一見、同じ意味合いに聞こえるが、進化という観点からするとAは大きな誤りである。進化はあくまで偶然の積み重ねである。繁殖や食糧獲得なり特定の目的を持って実現されたものではない。偶然獲得した性質が子孫の繁栄に繋がらない場合、あるいは自己の生命維持に繋がらない場合、そういった場合には、そういう性質を獲得した個体は速やかに消滅する。自然淘汰である。人類が二足歩行を獲得した契機を論ずることは、限りある可能性をいくつも提示することはできても、具体的な解答を示すことは不可能であろう。唯一できる答えは、偶然の産物といったところであろうか。

 人類のスタート地点に位置付けられる700万年前のサヘラントロプス・チャデンシス。この化石人類が発見されたのは、2002年のこと。つまり21世紀に入ってからだ。20世紀には500万年前が人類のスタート地点だったという。1点の化石人骨は、人類のスタートを一気に早める力を持つ。しかし、それは同時に化石人骨から人類の歴史を紐解く学問の危うさを示していると言えよう。

 700万年前とされたサヘラントロプス・チャデンシス。この資料についても学会全体として完全に受け入れられているわけではないとのこと。この資料は頭骨が見つかっているため、直立二足歩行を完全に証明するような四肢骨の具体像は分かっていないという。頭骨に対して脊椎がどのような位置関係にくるかを直立二足歩行の証拠として提示しているが、それが完全とは言い切れないという議論が1つ。

 さらに、年代観についても、化石そのものから判断できるわけではないところに難しさがあるようだ。化石人骨の年代については、堆積層の年代分析を応用する。しかし、それもうまい条件が残されているとは限らない。土が堆積した年代と化石人骨がそこに含まれた年代と齟齬を考慮に入れなければならないし、それを追究しきれないことだってある。

 結果、年代の推定については慎重派と積極派の二極が見られるとのこと。同じ資料を用いて、同じ分野の研究でも人によって判断が異なってくるというのだ。もっとも、このことはどの学問分野にも当てはまることだし、ビジネスの世界においても同様だろう。判断基準は人それぞれにある。同じデータを用いて分析を試みても、異なる方向性が導き出され、結論が出される。ビジネスの世界においては、「数字」という具体的な結論が判断の修正を迫ってくる。しかし、学問の場合は様々な意見の台頭を是とするため、ややもすれば仮設乱立の状況に陥ることもしばしばだ。

 一般向けに書かれた概説書では、仮設の1つを学会の総意のような書き方で提示されることもある。このことは知識無く概説書を楽しむ際の思わぬ落とし穴と言える。そこで、最初に示したように書き方に留意して読み進める姿勢が必要となるのだ。どの分野でも概説書は一般向けに書かれるため、詳細な状況説明は省かれることが多い。そのため、読者自身で内容の吟味を行わなければならない。文章の書き方というのは内容吟味のヒントの1つとして大いに役立つ。本書は人類の進化の過程をまとめたのみならず、科学系の概説書を読む際の留意点を随所に散りばめている。人類進化の歴史に興味を持つ方以外の多くの方にも参考になることは間違いない。ぜひ一読をお薦めしたい良書である。

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人類学の平易な概説

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

読売新聞の科学部の記者である著者が、人類の進化にかんする最新の学説を平易にまとめた人類学入門。

もろもろの学説を中立なスタンスでまとめた、というもので、教科書や漠然とした知識として持っている人類史にかんして、いまではいろいろなアップデートがなされているということがわかり、小さな発見が満載されている。とくに、遺伝学から見た人類進化の足取りにかんする終章は全編トリビアの嵐、といった感じで興味深く読めた。

様々な仮説がいまだ定説とはなり得ていないものとして紹介されているので、印象がぼやける感じもするのだけれど、ある程度分かっていることと、まだまだわかっていないこと、これだけはほぼ確定している、ということが混在する人類学の面白さというのが表れていると見るべきだろう。

進化にかんするメカニズムについても遺伝の面から説明を加えている。突然変異はある確率で起こるのだけれど、それによって変異する性質が、たとえば生存環境にたいして有利に働くと、その遺伝子を持つ個体が繁殖に成功することになり、結果として自然淘汰を生き延びる。対して、変異しても特に問題ない性質もある。ビタミンCを体内で生成する遺伝子は人間では働かないが、これは森などで果実を獲ることができるため、変異が不利に働かなかったからだと考えられる。しかし、この性質は、船舶などでの乗組員が壊血病にかかる原因となっている。変異は変異だけれど、それが環境に対して有利に働くき繁栄するか、不利に働き淘汰されるか、中立な変異であるか、それはある意味環境、運次第だということだろう。

人類が言語を獲得したのはおよそ七万五千年前と言われ、言語能力にかんする遺伝子の変異が可能性として指摘されている。そして、七万五千年前といまの人類とでは能力は同じ(つまり、当時の人類を赤ん坊の状態で今につれてくれば現代人として問題ないということだろう)だという。しかし、心、というか自意識というか、そうしたものが生まれたのは果たして同時期なのかどうか。言語の有無が意識の発生とどう関連するのか。ここらへんの研究というのはどうなっているのだろう。それは本書では追求されていない。まあ、それは本書の範囲外だろう。

明らかな本書での不満は参考文献やこの本を読んでから興味を持った人が何を読めばいいのかの指針がないことだ。入門書の最低条件だと思うのだけれど、案外これを蔑ろにしている本は多い。そこはマイナス。それ以外はよくまとまった平易な解説書として良いのでは。

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人類の進化

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る

人類の進化の過程が化石や遺伝情報からわかりやすく書いていて読みやすい。ただし、刊行が古いので最新の研究で覆される前の記述もあるので注意(ネアンデルタール人と現生人類の混血など)

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人類の進化は、「猿人」→「原人」→「旧人」→「新人」という単線ではなく、複数の人類種が生まれては消え、現生人類は生き残った一つに過ぎない。……なんてこと、学校で習わなかったぞ!

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人類と類人猿を分ける特徴「直立二足歩行」と「犬歯の縮小」が見られるのは、およそ700万年前のこと。人類学では、ここを人類の起源と見なしている。およそ250万年前には脳の大型化が認められ、人間らしくなってくる。言葉を使用し始めたのが7万5000年前、3万5000年前頃には芸術が広がり、農業を始めたのは1万年ほど前だ。
 人類の歴史700万年を一年のカレンダーに見立ててみると、現生人類の登場は12月21日だと言うから、その進化スピードの不均一性に驚きを禁じえない。直立二足歩行から脳の大型化までの間に横たわる400万年の停滞。現生人類が生まれたとされる「20万〜15万年前」という年代と、言語が使用されたとされる「7万5000年前」という年代の時間差。そこに、どんな謎が隠されているのだろう。環境の急激な変化? 遺伝子の突然変異?
 本書は、人類史の入門書として、お勧めの一冊だ。人類進化の歩みをわかりやすく纏めている他、年代測定法の仕組みや、近年著しく進歩した遺伝子を利用した研究に話は進む。特に人類の進化を遺伝子から探ろうという第6章は読みごたえがあった。人類と類人猿の遺伝情報の違いを比較すると、チンパンジーと現生人類の遺伝情報の違いは、わずか1.24パーセント。チンパンジーとゴリラの違いは1.63パーセントということだから、チンパンジーはゴリラよりも人類と近しい存在なのだ。「人類は特別」という考え方は、遺伝子によって否定される。
 10年一昔とは言うものの、学生の頃、世界史や生物やで教わったことが、今ではとんでもない大嘘だったとなると、何を信じればいいのやらという気分になって来る。だが肩の力を抜いて、素直に新しい知識を吸収しようと、ページをめくると、スルスルと視界が開けてきた。
 筆者は人類学の専門家ではないが、それだけに中立で広い視野に立ち、偏りなく様々な学説を紹介してくれる。「人類はいかにして直立二足歩行をするようになったのか?」一つをとっても、呆れるほど沢山の学説があって、どれも帯に短し襷に長し、未だに結論は出ていない。私が気に入った説は「重力に逆らって太陽の方へと成長する樹木の遺伝子(ウィルス)が人類の祖先に入り込んだ」というもの。おっと、ここでも、遺伝子か。

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