新装版 カディスの赤い星 みんなのレビュー
- 逢坂剛
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2016/12/07 00:29
執筆前にしっかりと構成された人間関係の謎解きは、推理小説の醍醐味ですが、このように見事に種明しをされるとただただ感服でした。
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
下巻は舞台をスペインに移して速いテンポで独裁者フランコ暗殺計画へと進んでいく。
下巻の7割がたを占める独裁者フランコ暗殺計画は、著者得意の活劇部分であり、日本人爆弾テロ専門家を招聘したスペイン人テロ集団と、彼らと行動を共にするラモスの娘・フローラ、そしてフローラの後を名器“カディスの赤い星”持って追うパコ津川、それを追う漆田とそれらの周りを取り囲むスペイン秘密警察と極右過激武闘派集団とが混然として展開する追跡劇は適度な活劇を交えながら息詰まる追跡劇で一気に読ませてくれる。しかし、本作の真髄は、2週間という短期間ではあるが手に汗握るスペインでの事件が収斂して関係者達が帰国し、スペインでのどさくさに紛れてマノロ清水がかすめ取った名器“カディスの赤い星”を所在を追う第8章「サントスの光と影」である。ラモスの手から名器“カディスの赤い星”奪い日本に持ち去ったサントス=高野修三が何と太陽楽器取締役宣伝部長・大野顕介であったことを始め、アントニオ=佐伯や全日本消費者同盟書記長・槙村真紀子(アントニオの妻だったマリア)、オイワケといった面々が実は複雑な関係で繋がっていたことが明かされる謎解き部分なのだが、この創造力はフィクション作家の力量そのものですね。執筆前にしっかりと構成された人間関係の謎解きは、推理小説の醍醐味ですが、このように見事に種明しをされるとただただ感服でした。
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