サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

最大50%OFFクーポン(~8/27)

修正:新規会員30%OFFクーポン(~7/31)

電子書籍

啓順 みんなのレビュー

  • 佐藤雅美 (著)
予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー3件

みんなの評価5.0

評価内訳

  • 星 5 (3件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本啓順純情旅

2011/04/06 16:47

医者として侠客として磨かれた男

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

もはや、聖天松五郎の配下に見つかるから、とか、追いつかれるから、とかの理由で迷惑がらず、医者としての良心と使命感に徹して生きる決心をした、啓順こと啓次郎。ところが皮肉なことに、伊勢で、そして富士川で、大きな出入りを手伝って、侠客として名を挙げてしまった。

富士川での喧嘩出入りのために、啓次郎は伊豆の大場の久八に呼び寄せられた。

この伊豆での侠客博徒たちと代官所とのやりとりで、うれしいことに、江川太郎左衛門と手代の柏木総蔵が登場した。何を隠そう、私は、中浜万次郎と江川太郎左衛門と川路聖謨の大ファンなのだ。

佐藤雅美は江川太郎左衛門が勘定奉行に提出した報告書を引用している。

>「私工夫のドンドル引提(ひっさ)げ、踏み込み……(無宿三人が)銘々二尺七、八寸の長刀を抜き放し、直(ただち)に切り懸り候間、右鉄砲をもつて、初太刀を前に外し、その余、左右へ相支へ候内、(無宿は)既に筒先に切り付け、(柏木総蔵らは)刀を抜き放し候間もこれなく、右筒取り直しも仕らず、そのまま腰だめにて打ち放し候ところ、たちまち一人を打ち倒し候折から……」

「ドンドル」銃の開発をはじめ、江川太郎左衛門英龍の業績については、多くの本も出版されているが、ウェブでは、江川英龍公とヘダ号建造というファイルで詳しく楽しく読むことができる。このファイルでは、江川太郎左衛門が品川に台場を築造するときに、大場の久八が人足集めをしたことも、述べられている。また、竹居安五郎との関わりについても、清水次郎長考というサイトで読むことができる。

啓次郎は、『啓順凶状旅』で、あらぬ思いを振り払いながら初めて女性の患者、それも絶世の美女を治療した。そのときの患者、おきよと、この『純情旅』で再会した。おきよは、夫の家庭内暴力から逃げてきていた。ふたりは結婚の約束をして、一旦分かれて喧嘩出入りの後で落ち合うことにする。

津向の文吉と竹居の安五郎との、大野山本遠寺の出入りというのは、巻末の解説によると、史実であるらしい。啓順こと啓次郎は助太刀を終えた後、おきよのもとへ急ぐ。ところが、おきよは夫に見つけ出されて連れ戻され、途中で逃げ出し、行方不明になっていた。

伊勢から伊豆へ、喧嘩出入りの助太刀に来るときは、船で一日で突っ切ることができた。それなのに、おきよが伊勢の親族のもとに身を寄せたことがわかって、啓次郎が会いに行こうとすると、なかなか、便船をつかまえられない。啓次郎は、陸路、西へ、西へと、船を捜しながら旅を続ける。

ここでまた、迷惑も顧みずに強引に頼みごとをする人物が現れる。いつもそうだ。『凶状旅』では、秩父の立場茶屋の女が、腰の印籠に目をつけて、薬を分けてくれ、夫の病を診てくれと、強引に頼み込んできた。そしてその女に懸想する男とのもめごとになり、聖天松の子分にも追いつかれてしまった。

『純情旅』では、だめな夫に苦労させられながら幼い男の子を育てている女から、息子の病気を診てくれと頼まれ、どうやら貧困と父親の虐待のせいで心身症になっているらしいので、世話を焼くうちに情が移ってしまう。少年は勘太といい、なかなか賢いから医者にしてやりたい、などと考えているうちに、聖天松の子分に追われて逃げ出す。ところがまた一膳飯屋の親爺に、腰の矢立に目を着けられて、役所に出す文書の代筆を頼まれ、役所にまで同行を求められ、更に面倒なことに巻き込まれていく。いくら何でも腰の矢立からここまで、強引すぎるやろ……。

それでも情けは人のためならずとかで、やっと、伊勢への船に乗れたが……。

悲しい恋の終わりの後、紆余曲折の末、啓順こと啓次郎は江戸で博徒の親分として聖天松と対決する。抗争は何年にも亘り、その間には、森立之が『医心方』を復刻刊行した史実に、裏で貢献する。啓順こと啓次郎にとっては、侠客になったことが結果的に医者としても修業を積むことにつながった……といってもいいのかもしれない。すべてに決着がつく頃、ペリーが浦賀にやってきた。史実では、(想像上の人物聖天松以外の)啓順が関わった博徒の親分たちは幕末の動乱に巻き込まれていく。啓順の物語はその前史だったともいえるだろう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本啓順凶状旅

2011/04/03 18:08

美女も豪商も「お通じ」が命

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

『傷寒論』『金匱要略』など、私がNHKで見た韓国のドラマ「宮廷女官チャングムの誓い~大長今~」で覚えた医学書のなまえが出てくる。そう、これは、漢方医啓順の物語なのだ。と同時に、渡世人啓次郎の物語でもある。

秩父では、まるで西部劇の「シェーン」のように、土地の悪玉から難儀な目に遭わされている親子を助けてやり、追われるように旅立ち、甲斐では、まるでUSAのテレビドラマ「逃亡者」のように、追っ手をかわしながらかつ医者として患者を診ながら自分に着せられた殺人の濡れ衣の真相を探り、伊豆では、まるで川端康成の『伊豆の踊子』のように、旅芸人の一座と親しくなり……。

医者としての啓順は、腕はいいのだが、名医とまではいえず、いまだ、発展途上である。なんとなれば、江戸にいた頃は女の患者を診たことがなく、伊豆で若く美しい女性を診察することになったとき、つい、あらぬことを考えてしまいつつ、それをはねのけながら集中するのに苦労しつつ、触診するからである。診察される方だって、恥ずかしいのに……。それでも、ちゃんと診断して処方箋を出し、彼女が用を足した後を点検して治療が成功したのを確認する。こういうところはさすがに医者だ。ところがその後でまた、御礼はからだで……ということがないかなあ、と期待してしまう。幸か不幸かそこで追っ手に追いつかれそうになってあわてて逃げる。

なんか、山崎豊子の『白い巨塔』の里見脩二や、韓国ドラマ「ホジュン」のホジュンなどの、よくある小説やドラマの「善玉」の医者のイメージと、違う。彼らが聖人君子すぎるのか、啓順が人間らしすぎるのか。

ちなみに、秋山香乃の『漢方医有安』シリーズでも、この佐藤雅美の『啓順』でも、医者の仕事の半分は、患者に正常に大小便を出させることではないかと思わざるを得ない。甲斐の豪商の治療では、薬を飲ませた後、布団の上に油紙や襤褸を敷いて汚さないようにして、「ズボフトウ」を患者の尻の穴に仕掛けた後、内儀に世話をさせるのだが……。

啓順が親族たちと控えている部屋に、付添いの下女が走ってきて叫ぶ。

>「うんこです。うんこがでました。それも一杯」
>はしたないことを口にして叫ぶ声は、歓喜に満ち溢れている。
>「ですが、奥方様がお尻に当て物をなさろうとしていたときだったものですから、うんこは奥方様の肩にどぼっと。お顔にも一杯」

更に、だあーっと勢いよく小便が流れだし、それがいつ果てるともなく続き、豪商は糞まみれ小便まみれの中、うっとりと恍惚にひたる。おめでとう。

渡世人としての啓次郎は、喧嘩は強いが、剣の達人などではない。だから常に敵の人数や追っ手の来る道筋、追いつかれるまでの日数などを予想し計算し、刀を抜くより以上に、頭を使っている。

それにしても、啓順に治療を頼む人々が、皆、強引である。追われる身の上だから迷惑なのに、すがりつく。その代り、落ち延びられるように手助けもしてくれるが。なかには、わざと足止めするために仮病を使った者もいた。啓順はここでも頭を使って逃げ延びる。医者としての良心という弱みに付け込まれたので、お返しに、医者としての権威ある言葉で翻弄する。

>「これはあっちの方にもとても効くのです。危檣丸(ほばしらがん)って知ってますか」
>「ええ」
>男どもに有名な”帆柱”を立てる薬だ。
>「あれよりずっと効く。飲んでみますか」
>男はごくりと生唾を飲み込み、うわずった声でいった。
>「のっ、飲むだ」

啓次郎はもとは植木屋の息子だった。その彼を医者にしてくれた恩人の頼みで、殺人の容疑者になることを引き受けたところが、役人と、被害者の親族と、両方から追われる羽目になった。しかもその親族というのが、聖天松五郎という、やくざの親分で、役人以上にしつこくて情け知らずだ。啓次郎に無理な頼みをした恩人は死んでしまい、逃げ回るのも嫌になった啓次郎が聖天松と対決しようと考えた矢先、真犯人に殺されそうになる。すべては彼が仕組んだ罠だった。物語のラストでは、とうとう、啓次郎の無実を証明する人が誰もいなくなってしまう。啓次郎に明日はあるのか……?

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本啓順地獄旅

2011/04/05 11:50

受難の旅から覚醒、そして、精進の道へと……続くか?!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

啓順が関わりを持つ人々は、彼の迷惑も顧みずに強引に診察を頼み込んだり、渡世人で凶状持ちという弱みを利用しようとする連中ばっかりだ!

前作『啓順凶状旅』も最初から最後までそうだった。秩父の立場茶屋の女なんか、食事を持ってきて、啓順が箸をとったかとらないうちに、腰の印籠の薬を分けてくれ、などと頼み始めた。せめて食べ終わるまで待て、それでも客商売か!と私は腹が立ったものだ。一事が万事その調子で、この女とその幼い息子は散々啓順に世話をかけて命の危険にまで到らせた。

今度の『地獄旅』でもそうだ。八王子にいる啓順のもとに、幼い女の子を連れた後家さんがやってきて、長男を大八木長庵に弟子入りさせるために、親子三人揃って江戸まで連れて行ってくれ、と頼み込む。大八木長庵の屋敷は聖天松五郎の子分に見張られていて、行けば捕えられてなぶり殺しにされる。啓順がためらっていると、きいていただけないのですか、と「気色ばみ」(!)、幼い娘まで土下座する。なんといやらしくずうずうしくあつかましい親子だ!本来、何も啓順が引き受けなければならない義理はないのに、あれこれと理屈を立て、断ると怒り恨み憎んでやるという態度で責め脅し泣き落とす!

大八木長庵の屋敷になんとか無事にたどりつくと、彼は啓順に、京の半井家が隠している『医心方』を見つけてこい、という。盗んでこい、とは言わないが。

大八木長庵はいつもいばりくさって啓順に命令する。ちょうど、『物書き同心居眠り紋蔵』で、いつも紋蔵に無理難題を押し付ける年番与力の安藤覚左衛門や沢田六平のような人物だ。

長庵は船を使って無事に京まで行かせてやる、と言ったが、手順に不手際があって啓順は浦賀で船をおりざるをえなくなった。似たようなことが『凶状旅』にもあった。伊豆大島で病人を診た後、土地の有力者の手配で江戸へ行く船に乗ったはずが、手違いで石巻まで連れて行かれてしまったのだ。

『地獄旅』では、浦賀から陸路に変更するが、沼津で兄弟子に出会って仮病の女を押し付けられたうえに、その女が死ぬと、殺人の罪まで着せられる。やっとの思いで虎口を脱すると、長庵は啓順をお払い箱にしたうえに、八王子から連れてきた親子の養育費として大金を取り上げた。

啓順は、竹居の安五郎と津向の文吉との喧嘩出入りに巻き込まれ、かえって名を挙げたが、甲府でとうとう文無しになる。医者稼業をすればまた聖天松の子分にかぎつけられるし、というわけで、按摩稼業を始めた。

私はこの小説で初めて知ったのだが、本道(内科)や外科などの医者は、按摩はしないのだった。漠然と、漢方の医者は鍼灸と按摩もできるかのように考えていた。鍼灸はともかく、按摩は、やらなかったのだ。また、鍼灸と按摩は学んでも薬について学んでいないので漢方医にならなかった人もいたし、鍼灸も按摩も習ったことがなくても、薬屋から漢方医になった人もいた。

ただ、優れた医者になった人のなかには、按摩の経験がある人が、結構いたらしい。按摩は、人体の解剖学的知識を得るのに非常に役立ったそうだ。そして、イギリスの医者とほぼ同時期にだが、世界最初に、胎児は頭を下にしている、ということを発見した、賀川玄悦も、初めは鍼灸と按摩をしていたのだという。

こういう知識が得られるのが、『啓順』シリーズの楽しみの一つである。

啓順も按摩の経験を医術の修業に生かそうと思って工夫を重ねるうちに腕を上げていったが、もともとその町にいた目の見えない人の稼ぎを奪っていることを指摘され、二度と按摩はしないと誓ってすごすごと出ていく。

その後、川下りの船中で急に産気づいた女性を救ったが、やむなく胎児を殺さねばならなかった。

ここから、啓順が変わり始める。まるで、山崎豊子の『白い巨塔』の里見脩二や、韓国ドラマ「ホジュン」のホジュンのように、それらしくなってくる。もはや、聖天松の子分にかぎつけられるとかいって迷惑がることをやめたのだ。

だけど、ああ……京へ、そして、丹波へと、流れ流れて、やっと医者として落ちつける場所を見つけのに……。長くは続かなかった。「三界に家なし」という言葉どおりに、またも、逃亡の旅へ。啓順の受難はいつまで続くのか……。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

3 件中 1 件~ 3 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。