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刀語 みんなのレビュー

  • 西尾維新, 竹
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みんなのレビュー32件

みんなの評価4.2

評価内訳

32 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本真庭語

2009/05/29 19:14

正直、本編よりこっちのほうが面白いんじゃないか、って思います。12冊vs.1冊で数が多いほうが負けるっていうのは、作品として本編はなんだ?っていうことなんですが、難しいこと考えずに今回の一冊を楽しみましょう。拾いものです。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

はっきり言います。『刀語』12巻束になったより、こっちの方が面白いかもしれない、って。予想外でした、二の舞じゃないかって危惧していたんです。だって、一年間、毎月、

これだけ?
ジョーダン?
嘘でしょ?
嘘だと言って!
次は凄い展開があるはず
絶対にある
あるに決まってんじゃん
あるよね
あって欲しい
あればいいな
もしかしてあったりして
これって最後?

とまあ、夢と希望がことごとく打ち破られた記憶が甦るんです。島田荘司だって第二部から持ち直したわけだし、12冊あれば何とかなる、だって西尾維新だもの(島田と西尾では出版が逆ですが)なんて時空を捻じ曲げて思っちゃう、それほどに酷かった、スカスカだった、山田風太郎が恋しかったわけです。

でね、今度は逆の意味で期待を裏切った。面白いんです。中身が濃い、っていうか『刀語』の後だと濃く見える。なにより、ミステリしてるんです。だって最初が密室ですよ、不可能犯罪の王者。で、次が WHAT です。何か、っていう謎。そして HOW って言っていいのかなあ、ちょっと分類怪しいけど。で、最後は本当にHOW、っていうか噴飯言葉遊び。

多彩ですけど、一つ一つの出来がいいんです。驚くくらいに。確かに解決篇は凄くはない。でも、小説としての面白さを考えると、実にバランスがいいわけです。しかも第四章、笑いました、っていうか感心した。ま、変に理屈が通っている部分があって、それについてはもっと羽目外せばいいのに、とは思いますが、それじゃあ滅茶苦茶になっちゃう。

ま、この手の冒険というか荒技には筒井康隆先生っていう虚人がいるわけですが、それを割り引いてもいい線いっているわけです。これなら維新ならずとも続編は出ないの?っていいたくなります。『化物語』シリーズは、そのまんま永遠に続けて欲しいんですが(シリーズ否定論者である私が祈っちゃう)、こちらもあと八人分は書いて欲しい、そう思います。

全体は四章構成で、登場人物紹介、アトガタリ、がつきます。全体を通しての語り手は真庭狂犬、まだ少女のような身なりで、全身に刺青を施した自称 里の観察者で、真庭忍軍の語り部です。年齢不詳で、少女とも女とも書けない、そういう女性です。で、その彼女がこの物語で四人の忍者を観察することになるわけですが、そのきっかけというのが選挙です。

選挙、っていうとちょっと違うんですが、とりあえずそう書いておきましょう。真庭忍軍の今の頭は神の鳳凰、と呼ばれる真庭鳳凰で、それで充分に機能しているのですが、その彼が頭領の数を現在の一人から十二人に増やすことを決めます。その理由は、これまたちょっと曖昧なんですが、あえて言えば民主化でしょうか。

で、候補者、といっても立候補しているわけではなくて衆目が一致するのが蝙蝠、喰鮫、蟷螂、海亀、狂犬たちですが、これでは十二人には到底及ばない。だから鳳凰が狂犬に、今分かっている候補者も含めて、人物を見極めることを依頼する。今回は四人。面白い相手ばかり。章とともに人物紹介をすれば

第一章 初代真庭蝙蝠:通称 無頼の蝙蝠。意思はあっても目的がないという、今時の人間風忍者で、使用忍法 骨肉細工。その蝙蝠が真庭春蝉の新忍法を探るお話。

第二章 初代真庭喰鮫:通称 涙の喰鮫。内面は慈愛に満ち、行動は情愛に満ち、目的は至愛に満ちる、愛に満ち満ちる平和主義者で、一殺千生(一人殺して千人救う)をモットーにする美女。 使用忍法 渦刀。捕虜の救出と敵の殲滅が今回のミッション。

第三章 初代真庭蝶々:通称 不遇の蝶々。誰もが見上げる巨体の、気持ちのいい男で、使用忍法 なし。敵対勢力・相生忍軍に追われる二人の運命やいかに。

第四章 初代真庭白鷺:通称 長槍の白鷺。忍者の限度を遥かに超えた言動や奇矯な振る舞いの持ち主で、語りの面白さは比類ない。ともかく周囲と噛み合わない忍者で、使用忍法 逆鱗探し。任務達成率10割の秘密を探れ!


最後はデータ篇。

画:竹
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L

口絵表/描きおろし
口絵裏/『真庭語 初代真庭蝙蝠特別絵巻』パンドラ2008SPRING Vol.1 SIDE-B掲載 画 竹

初出ですが 

「初代真庭蝙蝠」パンドラVol.1 SIDE-B 2008SPRING.2008年4月7日
「真庭語 初代真庭蝙蝠特別絵巻」を加筆訂正の上、改題
「初代真庭喰鮫」「初代真庭蝶々」「初代真庭白鷺」書き下ろし

となっています。

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紙の本刀語 第12話 炎刀・銃

2008/04/08 21:23

話の内容より、維新がこの本で披露する歴史観、それがいい。それだけで★五つは甘いか、でも予想外です、いいこと話してます、見直しちゃった・・・

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

いよいよ最終巻になりました。前巻のラストで意外な展開を見せたお話は、結局そのまま走ることになり、全体としての軽いという印象は決して変わることはありません。特に、第四章の家鳴将軍家御側人十一人衆との戦いは、いくらなんでも、これはないだろうという頁稼ぎ的なものではあります。

だって、その手の戦いは一人一巻ということで書かれちゃっているわけだし。ま、山田風太郎先生だったらもっと面白おかしい戦闘風景を描いただろうな、とはあらためて思います。ただし、全部が全部同じようなあっけなさで敗れ去っていく十一人を見れば、これも維新の予定通りの行動なのでしょう。

この巻で特に書いておきたいことは、家鳴匡綱の存在感の薄さです。総じてこの物語、登場人物に魅力がないのが特徴ですが、やはり重要な地位に居る人間はそれなりのものであるべきか、とは思います。結局、誰が一番得をしたかといえば、途中登場の否定姫と左右田右衛門左衛門、それと話半ばで姿を消してしまった七実ではないでしょうか。

逆に、この最終巻で最も意外なのは、我が家の高二次女も言っていたのですが、維新が述べる歴史認識です。歴史というのは、学問的には文字で記されたものだけが真実とされるのですが、ではそれが全て事実かといえばそうではありません。勝者に都合のいいものだけが残される、とは昔から言われ続けられ、だから史料批判が必要になるわけです。

しかし、さらに進んで維新は、創り上げられ捏造されたものもじつは歴史であり、それが混在しているのが現実であるといいます。さらに、それは最近よく言われる「作られた記憶」のように、私たち一人一人の中で歪められ或は増幅され、殆ど人類の数だけの歴史があるとも(ま、維新はここまで極論は言っていませんが)。

諸外国と日本の歴史認識の違いはよく言われますが、それは拉致問題、領土問題、国境問題においても見られ、世界に緊張をもたらしています。維新が描くこのお話も、荒唐無稽ではありながらも、決して絵空事と片付けられないものである、と言えないこともない、そう読むことも可能です。いずれにしても、私はこのラスト(イラストもですが)、納得して読みました。これで『刀語』との一年が終った・・・

蛇足ですが、私は全12巻揃ったものの懸賞には応募しませんでした。だって、巻末とはいえ本の頁の一部を切って送れ!とはないでしょ。それって12冊全部を傷物にしろってことなんですよ。本は読むものではありますけど、愛でて楽しむものでもある。いくら応募者全員にくれるものがあるとはいえ、まちっと上手いシステムを考えてくださいよ、講談社さん!

最後にデータ篇

目次ですが

序章
一章 別離
二章 家鳴匡綱
三章 城攻
四章 家鳴将軍家御側人十一人衆
五章 鑢七花
終章
アトガタリ
 
となっています。基本の五章構成。そしてデザイン関係は

画:竹
筆:平田弘史
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L

竹さん、ご苦労様でした。貴方なくして『刀語』十二巻は語れません。むしろ竹さんの絵で救われたところも多かったと思います。栞、大切にします。

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紙の本刀語 第1話 絶刀・鉋

2007/03/27 19:32

スカスカじゃん、という意見はあります。忍者だって、風太郎に及ばないじゃん、というのも分かります。でも、まだ話始まったばかしだし・・・

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

このシリーズに対する出版社の力の入れ方は凄いものがありました。web上の案内文は
「虚刀流はよ、刀を使わないからこそ強いんだ」
伝説の刀鍛冶、四季崎記紀(しきざききき)がその人生を賭けて鍛えた12本の“刀”を求め、無刀の剣士・鑢七花(やすりしちか)と美貌の奇策士・とがめが征く!刀語(カタナガタリ)、第1話の対戦相手は真庭忍軍十二頭領が1人、真庭蝙蝠!
衝撃の12ヵ月連続刊行企画“大河ノベル”第1弾!
西尾維新が挑む時代活劇!こんな物語を待っていた!!
です。戯言シリーズの進行を知っている娘二人は「予定通り行かないんじゃないの」と醒めた目で見ていますが、とりあえず今年一杯はこの刀語が毎月書店の店頭を飾ることでしょう。で、今回はその第一話 絶刀・鉋。目次を写しておけば
序章
一章 不承島
二章 真庭忍軍
三章 奇策士
終章
うーん、なんだか横溝正史と早乙女貢、それに山田風太郎が並んだ感じだ・・・ちなみに、画はおなじみの竹、筆:平田弘史(あの平田さんでしょうか)、本及び箱装幀:ヴァイア。
主人公は無刀の剣士・鑢七花(やすりしちか)24歳で、彼の姉が虚弱体質の七実(ななみ)。で、二人が暮らしているのが丹後の深奏海岸から海を挟んだ、二十年前、彼ら一家が住むまでは無人の島であった不承島。で、家族の長であった父親は、一年前に亡くなっている。で、二人は一本の刃物すらないままにこの島に閉じ込められている。
で、父親というのが虚刀流六代目当主、鑢六枝(むつえ)で、虚刀流の起源は戦国の乱世まで遡る。開祖は鑢一根(かずね)。その名のとおり刀を用いない剣術で、その技を知る者は流派の人間か、敵対者以外にいない。
父亡き後、二人が平穏に暮らしている島に、凶事を連れてやってきたのが美貌の奇策士・とがめ。で、彼女が七代目当主となった鑢七花にもちかけたのが「そなた、天下が欲しくないか」ということで、その手段というのが伝説の刀鍛冶、四季崎記紀が作ったとされる1000本の刀、そのうち刀狩でも集められることの無かった、記紀がそのその人生を賭けて鍛えた十二本の「刀」を手に入れること。
ちなみにその12本は
絶刀・鉋
斬刀・鈍
千刀・鍛
薄刀・針
賊刀・鎧
双刀・鎚
悪刀・鐚
微刀・釵
王刀・鋸
誠刀・銓
毒刀・鍍
炎刀・銃
で、第1話の対戦相手は、真庭忍軍十二頭領が一人、真庭蝙蝠!ふむふむ、てえことは12本の刀は全部、真庭忍軍の手にある?変ですね。だって、そのうちの一本は剣客・錆白兵の手にあるんだし。正直、この話だけを読む限り、真庭蝙蝠は忍軍の代表選手としたほうが頭に入りやすい。だって、このまま12巻で12人の忍者と戦うんだったら、風太郎の忍法帖じゃん。
しかもですよ、今のところ奇想天外ぶりでは維新は山田風太郎の足許にも及ばないわけですよ。なんたって風太郎先生はエロス、OKだったし。なんていうか維新くん、風太郎の掌を一歩も出ていない。もっといえば自分の『化物語』にすら負けてる。例えば、本来もっと筆が割かれるべき七実は、なぜか途中で消えちゃう。
では、奇策士・とがめに魅力があるか?全然ない。『化物語』の少女たちの足首ほどのフェロモンすらない。小学生に負けてるわけです。無論、これはまだ第一巻。今のままで行くはずもないし、行かれたら困る。ちなみに我が家の高一次女曰く「維新の戯言シリーズっていうのは、それはまた沢山のキャラが出たけれど、それなりに魅力的だったわけ。で、『化物語』ではそれを絞り込んで凝縮した。だから理解しやすくて面白い。でも、この『刀語』は、今のところただただ薄い、っていう感じ」。
さふだ、さふだ。私もそう思うのです。維新、危機一髪!ま、竹さんの絵は可愛いです。

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紙の本真庭語

2008/12/06 22:00

雑魚キャラ達の復権

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 既刊「刀語」において、雑魚キャラ、咬ませ犬と呼ばれ散々な扱いを受けた真庭忍軍の物語。時代的には、虚刀流初代の鑢一根が活躍していた頃。戦国乱世を生き残るための改革として、頭領を十二人とすることが真庭鳳凰により提案された。そこで、里のご意見番である真庭狂犬が、その候補となる忍びを検めて行くというようなお話。パンドラVol.1Bに掲載の初代真庭蝙蝠の物語に加えて、初代真庭喰鮫、初代真庭蝶々、初代真庭白鷺の物語が書き下ろされている。それぞれの忍びが、与えられた状況でどのように動くのかを通じて、それぞれのキャラクターを描いている。この時代では、異常な能力を持っている者はいたが、全てが全て人外という訳ではなく、以後の歴史で異常性が高められていったものと思われる。刀語に登場したそれぞれの名前を継ぐ人物との違いを見てみるのも面白いかもしれない。
 この作品では、真庭忍軍の忍び達は基本的に格好良く描かれており、七花に瞬殺された忍び達も少しは報われた思いをしているだろう。しかし、アニメ化されるのはあくまで刀語であり、そこでは雑魚キャラとして扱われるかと思うと、やはり哀れではある。

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紙の本刀語 第8話 微刀・釵

2007/11/14 19:54

話が大きな山を越えたしまったので、なんとなく気が抜けたのは読者もですが維新もそうかもしれません。でも、否定姫と左右田右衛門左衛門だけでもたせるなんて、えらい!

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

いいんですよ。この大河小説に波があっても。テンションの高いエピソードばかりだと、読むほうも疲れますから。でも、このシリーズの波の高低差はかなりのもんですよ。真庭海亀ならば、サーフィンしちゃうんじゃないか、っていうほどなんですよ。ま、今回は五巻ほどレベルダウンしていませんが、主人公が完全に引いちゃっています。

七花は何をやっているかというと、とがめといちゃついている。ま、それが少しも面白くない。とがめの魅力のなさというのは、巻を追って募ってくるんで、彼女が登場するたびに話の流れが淀み、弛緩する。で、逆に輝き始めたのが、監察所総監督・否定姫と、配下の元忍者・左右田右衛門左衛門(そうだえもんざえもん)ですね。

こればっかりは、もう後戻りができそうにありません。特に左右田右衛門左衛門ですね。そうか、170年積もった恨みか、なんて思います。ただし、海亀との戦いの描写の省略は、テクニックというのではなくてサボり、手抜きじゃないか、私はそう思います。それはこの巻全体を通じていえて、いくらとがめが「ちぇりお!」って叫んでも、空しいだけ。

ま、最大の山場である第七話をなんとなく越えちゃったので、気が抜けた、っていうのが分らないわけじゃないんですが。でも、ふむふむ、と唸るというか肯く場面があります。115頁から116頁にかけてある

しかしそれでも減ることはあっても増えることはなかった。
五十人は二十五人に。
二十五人は十三人に。
十三人は七人に。
七人は四人に。
四人は二人に。
そして――二人はひとりになった。
たったひとりだけになった。
百名が一名になるまで――百七十年。
百命が一命になるまで――百七十年。

というあたりですね。内容はないですけど、らしいな、って。何ていうか、郷ひろみがBSのコマーシャルでやってるでしょ「サンゼンマン、サンゼンマン」て。中身はゼロだけど、らしいな、っていうところが全く同じ。そしてどこか耳につく、っていうか頭ん中でガンガン響く。「江戸の奥地に広がる人外魔境の異界・不要湖」、その不要湖っていうのが。それから否定姫と左右田右衛門左衛門が。

転んでもただ起きない、っていうのかなあ。この二人がいる、それだけでこの巻を乗り切るんだから、ある意味、維新て偉いかも・・・

いか維新並のあっさりデータ篇。

まず目次

序章
一章 奇策屋敷
二章 否定屋敷
三章 真庭海亀
四章 日和号
五章 不要湖
終章

次がデザイン関係で、これは毎回コピペ。

画:竹
筆:平田弘史
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L

対戦相手のプロフィール、これはせっせとワープロ入力。

日和号
年齢 不詳、職業 番人、所属 無所属、身分 人形、所有刀 微刀・釵(かんざし)、身長 六尺八寸、体重 十七貫三斤、趣味 無趣味、必殺技 竜巻・旋風・春一番・突風・嵐・砂嵐・台風・鎌鼬・微風刀風。次回予告 対戦相手 汽口慙愧、蒐集対象 王刀・鋸、決戦舞台 出羽・将棋村

で、最後がwebの広告文、いやあ半分は他人の力だ、えいさっさ

西尾維新×竹が放つ、待ってました! の時代活劇絵巻!
人形 vs.無刀

「存在そのものが居ながらにして1本の日本刀――それがこのおれ、鑢七花だ」
姉・七実との死闘を経て、名実共に日本最強となった七花と、伝説の変体刀を7本まで蒐集した奇策士・とがめは江戸の奥地に広がる人外魔境の異界・不要湖へと足を踏み入れる。“敵”か、“味方”か!? ――とがめたちを揺さぶる監察所総監督・否定姫と、配下の元忍者・左右田右衛門左衛門(そうだえもんざえもん)! そして、残すところ4人! 真庭忍軍の次の一手とは――!? 刀語は後半戦に突入! 目まぐるしく動く因縁の物語! 刀語、第8話の対戦相手は、不要湖を守護する日和号!
衝撃の12ヵ月連続刊行企画“大河ノベル”第8弾!

西尾維新が挑む時代活劇! こんな物語を待っていた!!


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紙の本刀語 第6話 双刀・鎚

2007/09/12 19:09

離れ技、っていうか、反則って言うか、そういう展開をするんですね。で、実際のヤマは次巻なんです。でもそのツナギとしては立派に働いています

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

前巻のあまりの内容の希薄さに、読者を失望させた感のあるこのシリーズですが、その陰にはこんな展開が待っていたんですねえ。いや、この巻もツナギ、といえば言えないこともない存在ではあるんですよ。だって、次回の対戦相手というのが、ねえ。ホント、幾ら巻末とはいえ書いちゃっていいんでしょうか・・・

ま、他の書評氏と同じく私もそこには触れませんけど。とりあえず、出版元のWebから謳い文句を書き写せば

「西尾維新×竹が放つ、待ってました! の時代活劇絵巻!
怪力 vs.無刀

「とがめはな――どんな苦境にあったって、自分の決断を後悔することだけはねえんだよ」
絶対凍土の地、蝦夷の踊山を彷徨う無刀の剣士・鑢七花と美貌の奇策士・とがめの前に姿を現したのは、天真爛漫な少女、凍空(いてぞら)こなゆき――! 吹きすさぶ豪雪と疾風のなか、七花が絶体絶命の危機に!! 追い詰められた真庭忍軍の切り札と、とがめを狙う謎の第三勢力の蠢動やいかに!? 前半戦、まさにここに極まれり!
衝撃の12ヵ月連続刊行企画“大河ノベル”第6弾!

西尾維新が挑む時代活劇! こんな物語を待っていた!!」

となります。今回の対戦相手というか、仲間というか、それが案内文にもある凍空(いてぞら)こなゆきで、年齢11歳。かわいい盛のお年頃です。巻末のデータ欄には、職業 狩人、所属 凍空一族、身分 村人、所有刀 双刀『鎚』、身長 四尺二寸、体重 八貫三斤、趣味 散歩、必殺技 狂犬発動、双刀之犬とあります。今頃言うのもなんですが、これまでの六巻を通じて、各人の趣味が小説の中で活きている印象がありません。私の読み落としでしょうか。でも、11歳の女の子が散歩、ってカワイイ・・・

それと、今回、敵が見せる技がいいです。これなら天才・山田風太郎だって肯くかもしれません。ま、ユーモアという点では、まだまだ山田に及びもつきませんが、西尾には若さと可愛さがあります。ある意味、これって最強の武器じゃないか、そう思いますね。こういう作風が許されるのは30代まででしょうから(森博嗣なんて、ちょっと気持ち悪くなってきたし)、今こそ旬ですよね。

それにしても絶対凍土の地、蝦夷の踊山で凍空(いてぞら)一族を壊滅させた謎の人物、っていうのは素適です。これが南国だと、なんだか血みどろ、っていう感じになっちゃうんですが、寒い場所だけに惨劇が、さほどスプラッターになりません。こういう舞台を用意できる維新ていうのは、やっぱり只者じゃないです。

ただし、主人公の七花ですが、巻を追うごとに影を薄くしている魅力のない奇策士・とがめに引き摺られているせいか、人間的成長に歪があります。だって、正しく成長しているなら、とがめに惚れるわけないんですから。むしろ、最近ではマニワニのほうが好ましいし。

そういう意味で、この捩れがいつか矯正されるんだろうな、なんて思います。ともかく、次回に期待させる一冊です。ご立派・・・

以下、データ篇。目次は

序章
一章 絶対凍土
二章 凍空一族
三章 否定姫
四章 真庭狂犬
五章 飛花落葉
終章

デザイン関係は、いつもと同じく

画:竹
筆:平田弘史
本及び箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝Pro L

です。ここだけは毎回使いまわしなので気が引ける、っちゃあ引けるんですが。

次回対戦相手 えへへ、書きませんよ

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紙の本刀語 第4話 薄刀・針

2007/06/29 17:28

「まにわに」に続いて、今回は「や、やんやんやん」で笑っていただきます。本筋は手抜き気味でも、ディテールで大技決めりゃ、いいってか?

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ええ、そんなぁ!!っていう展開を見せる巻で、口あんぐり状態。で、それを説明しちゃうと、この巻のキモみたいなところに触れざるを得なくて、それが結局、読者の興をそぐことになりそうなので、今回は殆どストーリーに触れずに行こうかと思うんですが、どうでしょうか。
で、とりあえず話は山口県東部周防の外れの村から始まりますが、目指すのは巌流島です。で、二人を迎え撃つのが日本最強の剣士・錆白兵。巻末の登場人物紹介によれば年齢二十歳、職業 堕剣士、所属 無所属、身分 浪人、所有刀 薄刀『針』、身長五尺三寸、体重十一貫五斤、趣味 剣法、必殺技が六つ。
とがめに言わせると
「見た目こそ、女と見まごうような総髪の美少年だがな。空に浮かぶ太陽ですら真っ二つにすることができるという触れ込みだ。・・・・・・生まれる時代を間違えた男だよ。もしも先の大乱に参加していれば・・・・・・いや。戦国の世に生まれていたとしても、なお頂点に立てていたであろう、生粋の剣士だ」
そうです。
話の筋に触れないということで、今回一番笑えた序章のやりとりを書いていきましょう。
「・・・・・・っていうか、鎖骨、鎖骨やばい。鎖骨弱い」
「?」
「だ、だから鎖骨から手を離せ。くてっとなる。くてっとなっちゃう。やめてやめてやめて。お願いだから」
「・・・・・・?そんなに強く握ってないぞ。むしろ優しく撫でているくらいの気持ちだ」
「それがむしろまずい・・・・・・・や、やんやんやん」
「やんやん?なんだそりゃ、大陸に生息する珍しい白黒動物の名前か?大丈夫かよ、なんだか怖いぞ」
「い、いいからおとなしく髪を持ってろというのだ。ほ、本当にやばい。ごめんごめんごめんごめん、謝るから」
どういう状況であるかは読んでもらうとして、背中触られるだけで降参してしまう私には、納得のあまり抱腹絶倒、思わず娘たちの鎖骨に手が伸びたほど。正直、このシリーズって、「まにわに」もですけど、本筋よりこういうエピソードだけが面白い。
ま、そういえば維新の小説って言うのは皆そうかもしれませんけど。最後に、目次を含めたデータを羅列。
序章
一章 真庭虫組
二章 拷問時間
三章 見稽古
四章 病魔一億
終章
以下は目次には書いてないけど
登場人物紹介
アトガタリ
画:竹
筆:平田弘史
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面校正:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L
超人的な剣士、錆白兵は年齢二十歳、職業 堕剣士、所属 無所属、身分 浪人、所有刀 薄刀『針』、身長五尺三寸、体重十一貫五斤、趣味 剣法、必殺技が六つ。
次回予告として、対戦相手 校倉必、蒐集対象 賊刀・鎧、決戦舞台 薩摩・濁音港、となってました。次はどんな笑いがあることやら・・・

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紙の本刀語 第3話 千刀・【ツルギ】

2007/06/21 21:30

高2の次女に「あんた、とがめに似てる」って言ったら、「それって、すっごく不快」って斬り返されました。まさに一刀両断。たしかにこの本でのとがめには魅力はない

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

我が家の娘たちの心配というか予想をよそに、一月以来順調に毎月出版される西尾維新『刀語』シリーズ。私が読んだのは第三話ですが、GWには書店に第五話が平積みされている状態。配本は順風満帆でも、お話のほうはどうなんでしょう。第一話はスカスカ、第二話では「まにわに」という一言で読者を脱力。さて今回は・・・
まず講談社のお言葉
「西尾維新×竹が放つ、待ってました!の時代活劇絵巻!
千刀 vs.無刀!
「俺は刀だからな——。とがめ以外のためには、心も身体も、動かないさ」
無刀の剣士・鑢七花(やすりしちか)と野心を秘めた奇策士・とがめは、出雲の国は三途神社へ辿り着く!伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が完成させた“刀”は12本 ——残るは10本!“千本で一本”なる千刀(セントウ)・ツルギの秘密とは!?刀語、第3話の対戦相手は、三途神社を束ねる敦賀迷彩!
衝撃の12ヵ月連続刊行企画“大河ノベル”第3弾!
西尾維新が挑む時代活劇!こんな物語を待っていた!! 」
となっています。こんどの舞台は出雲、え、もしかしてこれって西村京太郎ばりのトラベル・ミステリ、ならぬトラベル・忍法帖?しかも“千本で一本”なる千刀(セントウ)・ツルギ、何だ、イッポンデモニンジン、てあれか?とまあ、思わずチャチャいれちゃう赤ズキンチャチャ・・・
巻末の登場人物紹介を利用してこの巻の中心人物・敦賀迷彩について書けば年齢は不詳ですが、とがめ・鑢七花の二人よりは年上らしい。でもイラストと文章を見る限り、若く見えるのは確か。職業は神職で、所属している三途神社での身分は巫女さんです。所有刀は千刀・ツルギ(漢字、出ません)、体重 13貫1斤(パン一斤、という感じ)で、趣味は飲酒です。必殺技一覧もついていますが、書きません。
で、今回のハイライトは、目的地である三途神社に至る、ほぼ一直線の千段の階段を登るシーン。で、運動神経というか体力・人情ゼロといっていいい奇策士とがめは、自分の刀である虚刀流七代目当主鑢七花にお姫さまだっこ状態。ま、二人はこれを自然と思っていますが、客観的にはナンダカナア、っていう感じで維新もそう書いています。
圧巻は、迷彩と七花の決闘シーンですが、疑問が一つ。私が迷彩だったら、一転して逃げ始めた七花を追わないなあ。決闘なんだから自分が圧倒的有利に立っている地歩を譲る必要性がない。動かないでいれば、七花は戻ってこざるを得ない、だって試合にならないから。おまけに迷彩、体力ないし。で、ここで見せる七花の非情さ、これが気になるなあ。とがめ、より迷彩のほうが魅力的だし・・・
面白かったのは、115頁にあらすじみたいなものをここで書くことについての言いわけじみた解説があって、その中で維新は「限られた紙幅、具体的には原稿用紙300枚以内という縛りの中で物語を綴る身としては」と言っています。そうか、きっと子供たちが買うことのできる値段、という大きな枠組みがあって、それがボリュームを決めているんだろうなあ、なんて一人納得。
その頁数の制約があれば、お話は凝縮するか拡散するかのどちらかしかなくて、12ヶ月続くことだけが主目的になっているとすれば、冗長化は避けられない。だって、山田風太郎の忍法帖ならば、12本の刀集めても原稿2000枚は使わない、だから向こうは中身が濃い。一体、どの巻あたりでこの話が凝集力を見せるのか、それともただただビッグバンするのか。
少なくとも、今回の「お姫さまだっこ」じゃあ、前巻に登場した「まにわに」には勝てない。でも相手はいい。前回の因幡砂漠に聳え立つ下酷城の城主・宇練銀閣に、三途神社を束ねる敦賀迷彩は十分伍す。むしろとがめ・七花コンビの心根の小ささが際立っちゃったりして・・・。だって、どう考えたって正義は、とがめたちにではなく銀閣・迷彩にあるんだもの

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紙の本刀語 第10話 誠刀・銓

2008/01/17 19:37

真庭人鳥の可愛いさがあるからいいものの、お話のほうは完結まであと2巻というのに盛り下がったまま。結局、TAKEさんに救われてる?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ええ、毎度バカバカしいお笑いを、ではありませんが、シリーズも九作目ともなれば、読者も慣れます。だから、目次を書き写すにしても自分の以前の書評からコピペ、なんて安易な方向に流れる。ところがです、今回は激震です。全12巻(予定)中、九話目にしてなぜか、今までの五章構成が六章になってしまった!目がテン、長女の目・・・」

とは全巻のコピペ。六章構成は今回も変わりません。ただし、先に書いておけばこれは次の巻で再び五章構成に戻ります。えーい、一体ポリシーはあるのか、西尾維新!と叫んだら、維新命の次女が「あんまり気にしていないと思うんだよね、そういうこと。いいキャラは簡単に殺しちゃうし」とあっさり斬り付ける。

「でも『化物語』は、登場人物、元気じゃん?」「あれはね、多分クランプの影響を受けたんだよね」とまあ、果たして論理的かどうかは不明ながら、取りあえずはフムフムくらい言わせる断定。とりあえず、目次とデータを書き写せば

序章
一章 汽口慚愧(回想)
二章 百刑場
三章 真庭人鳥
四章 彼我木輪廻
五章 誠刀防衛
六章 飛騨鷹比等
終章

画:竹
筆:平田弘史
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L

です。巻末を見ると、彼我木輪廻は、年齢 自称三百歳、職業 聖者、所属 無所属、身分 仙人、所有刀 誠刀『銓』、身長 四尺二寸(と観測された)、体重八貫三斤(と観測された)、趣味 草笛、必殺技一覧 誠刀防衛(常時効果発生)とありますが、あまりピンときません。

で、今回は落ち着いて真庭忍軍12頭領がどうなったかとまとめることが出来ます。この時点では『神の鳳凰』・真庭鳳凰と『増殖の人鳥』・真庭人鳥の二人が存命しています。残り10人の行方というか身の振り方というか、死に様というかは以下の通り。

鑢七花と戦って死んだのが『伝染の狂犬』・真庭狂犬、『冥途の蝙蝠』・真庭蝙蝠の二人

鑢七実と戦って死んだのが『首狩りの蟷螂』・真庭蟷螂、『無重の喋々』・真庭喋々、『棘々の蜜蜂』・真庭蜜蜂の三人

左右田右衛門左衛門と戦って死んだのが『長寿の海亀』・真庭海亀、『巻戻しの鴛鴦』・真庭鴛鴦の二人

敦賀迷彩と戦って死んだのが『鎖縛の喰鮫』・真庭喰鮫

宇練銀閣と戦って死んだのが『逆さ喋りの白鷺』・真庭白鷺

真庭鳳凰の手に掛かって死んだのが『読み調べの川獺』・真庭川獺

ま、これだけで七実が強いとは言えないですね。何故かといえば、虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめが闘う相手は、蒐集する変体刀を持つ相手であって、真庭忍軍はその相手ではない。邪魔をされれば殺しますが、一応は七花・とがめとマニワニは不戦協定?を結んでいることもあって、あまり闘わないですから。

あと二巻を残すのみなので、当然かもしれませんが影の薄い印象の巻です。ただし、相変わらず真庭人鳥は可愛い。文章よりイラストがいいです。高二次女なんか、キャーキャー言ってます。そして話は人鳥から、次回対戦相手 真庭鳳凰(蒐集対象 毒刀・鍍)のいる決戦舞台 伊賀・新・真庭の里に繋いでいきます。嵐の前の静けさ、とでも言ったらいいのでしょうか・・・

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紙の本刀語 第7話 悪刀・鐚

2007/10/06 22:26

全てはこの巻のためにあった?キーワードは777、なんだか賭け事みたい。ま、最初からこれは維新の頭にあったんでしょう。でも寂しい、代わりにとがめが死ねばよかったのに・・・

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

このシリーズは、この第七巻のためにあった、と思いたくなる展開を見せたのが『第六話 双刀・鎚』でした。その巻の評では書きませんでしたが、今日は書いてもいいでしょう。第七話で、七実と七花が対決する、トリプル7ですね。ま、西尾のことですから最初から777という絵が頭にあったとは思うんですが。

で、内容は読んでもらう以外にありません。要するに

「お待たせしました姉弟対決!
鑢七花対するところの鑢七実!
現日本最強対するところの前日本最強!
虚刀流七代目当主は姉に勝てるのか!?
虚弱体質の天才は弟を打ち破るのか!?
ついに描かれる頂上決戦!
対戦格刀剣花絵巻!
感激感動時代劇!
刀語、七花と七実の第七巻♪

なんですから。それ以上の出版社の案内文などは最後に引用させてもらうとして、対決以外に個人的に楽しんだ部分を紹介しましょう。冒頭から思わずウネウネと字面を追ってしまうのは

「ひと月ほど前の話である。
 家鳴将軍家尾張幕府直轄預奉所軍所総監督奇策士とがめと虚刀流七代目当主鑢七花が日本海において、ようやく自分達の乗っている船が尾張行きではなく蝦夷行きであることに気付いた頃だった」

という文の「家鳴将軍家尾張幕府直轄預奉所軍所総監督奇策士」のところですね。ま、こういうのは私にだってできるし、これが最初、っていうほどのものじゃあないんですが、時代小説でこういう遊び、っていうのは無かったでしょうねえ。ツモジイが読んだら卒倒しちゃうかも・・・

で、舞台は土佐の鞘走山清涼院護剣寺です。おお、こんなところに隠れていたのか清涼院!てなもんですね、やっぱり同時進行で出版を続ける流水へのエールでしょうか。それとも、単なるお遊び?それはともかく、そこはいわずと知れた聖地で、西から東から、毎年数千人という規模の剣士が『清涼院参り』と言い、この寺を参拝するためにはるばる四国までやってくるといいます。

聖地としての象徴は刀大仏だそうです。この物語の発端でもある刀狩令によって集められた凡そ10万本の刀によって作られた、まさしく剣士の魂ともいうべき、見上げても見上げきれないほどの巨仏、っていうんですから、思わず想像して笑っちゃいます。そんなにデカかったら首落ちるだろ、なんて思ったりして。

で、そこで27歳の姉・鑢七実と24歳の弟・鑢七花の姉弟対決が行なわれというのが、今回のメインストリーム。七実を別格とすれば、七花はともかく、とがめの存在感はなし。いるだけウザイ。むしろ、チョイ役で印象的なのが、左右田右衛門左衛門でも真庭鳳凰でもなくて、富士山のふもとに広がる樹海を、鳳凰とおどおどと歩く真庭人鳥(ぺんぎん)です。

西尾維新大好き次女と話し合ったんですが、ま、語り口とか動作は普通なんですが姿が可愛い・・・。それと私は左右田の冷静と、「不可」とか「不備」とかいった「不」+「 」といった二文字で始る会話が好きですね。ついでに先走っておけば、彼の存在感は第八話でもっと大きくなっていきます。可哀想なのは七花ととがめ。もう出てくるな、っていう感じ。

で、データ的なことをまとめておきます。構成は

序章
一章 護剣寺
二章 左右田右衛門左衛門
三章 七花八裂
四章 鑢七実
五章 七花八裂(改)
終章

となっていて、それ以外は毎回同じ

画:竹
筆:平田弘史
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L

で、巻末を見れば例のごとく鑢七実のプロフィールが載っています。年齢 27歳、職業 無職、所属 巨刀流、身分 家長、所有刀 悪刀『鐚』、身長 四尺九寸、体重 七貫六斤、趣味 草むしり。必殺技は七つあげられていますが、最大の技「見稽古による見取り」は記載がありません。ま、技といえるかは疑問ですが。でも、趣味 草むしり、はカワイイ・・・

次回対戦予定は日和号、蒐集対象は微刀・かんざし、決戦舞台は江戸・不要湖。デ、今回、巻末で明かされた12ヶ月コンプリート読者プレゼントが凄い、欲しい。手作業で作られると言う特装版『刀語』全12冊、著者署名入り、ですぞ。一組、っていうのが淋しくて、10名くらいに、その次のレベルの賞品を出しなさい!

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紙の本刀語 第2話 斬刀・鈍

2007/04/28 22:23

まにわに、っていう言葉で遊んでる、そのセンスに震えますねえ。これで『化物語』のレベルに急接近。勿論、合格です

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ま、第二話になってリズムが出てきたな、とは思います。特に、冒頭であっさり真庭忍軍の一人通称『逆さ喋りの白鷺』が殺されてしまうあたりは、圧巻というか想定外というか。こういうキャラは、さすが山田風太郎も書かなかった。ま、バカバカしいと斬り捨てることは簡単ですが、面白い。
画・竹う
筆:平田弘史
本及び箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L
序章
一章 因幡砂漠
二章 宇練銀閣
三章 落花狼藉
終章
で、やはり維新の語り口がいいのですが、特に24頁
「て言うか・・・・・・とがめ、個性競争に限らず、その基準が何であっても、おれは個人的に、まにわにの連中と較べるのはやめて欲しいぞ」
まにわに。
暗殺専門集団真庭忍軍が、えらく萌え系の略称になってしまった。
むろん七花に自覚はないし、時代的にとがめもそれに気付かず、「まにわに。うん、なんだか呼びやすくていいな、それ」と、積極的に採用してしまう有様だった。
哀れなり。
それから、今回の巻で最も魅力的な存在、「秘剣、零閃」を使う、四季崎記紀の作りし変体刀千本のうち、その完成形12本の1本——斬刀『鈍』の持ち主で、因幡砂漠に聳え立つ下酷城・孤高の城主、宇練銀閣がいいです。冒頭の鑢七花ととがめの決め台詞問答がラストに繋がるのも、合格。
ま、「チェスト」が「チェリオ」になるのは愛嬌でしょう。ともかく、口癖になりそう、まにわに。うーん、維新くん、好きですよ、これなら先が楽しみです。

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紙の本刀語 第11話 毒刀・鍍

2008/03/06 19:14

いやはや遺すところあと一巻だというのに、お話のほうは盛り下がる一方。意外な展開はあっても、打開は難しい。本当に最終回逆転はある?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

いよいよ残すところ2巻となりました。今回の対戦相手は真庭鳳凰です。年齢 三十二、職業 忍者、所属 真庭忍軍、身分 十二頭領、所有刀 毒刀『鍍』、身長 五尺九寸四分、体重十六貫、趣味 気苦労、必殺技一覧 忍法断罪円、忍法記録辿り、猛毒刀与、三段突きと、プロフィールが出ています。今になって気付いたんですが、なんでスリーサイズが出ていないんでしょう。維新なら書いてもおかしくないのに・・・

それと目次を見ればわかりますが、九巻で突如六章構成となり、十巻もそのまま六章、で今回は再び五章構成になっています。全部五章構成で行けなかったんでしょうか。流れで書いてしまえば、各章のタイトルは

序章
一章 粗筋
二章 断罪円
三章 東海道
四章 柔術球
五章 四季崎記紀
終章

です。内容は講談社のwebを利用させてもらいます。

西尾維新×竹が放つ、待ってました!の時代活劇絵巻!
刀工 vs. 無刀

「おれの父親は――親父だけだよ」
伝説の刀蒐集完了まで残りあと2本!!毒刀『鍍(メッキ)』を手にした真庭鳳凰は触れるもの全てを斬殺する殺意の化身と化し、真庭忍軍の本拠地“新・真庭の里”に向かう。虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめも、鳳凰と刀を追い、伊賀の山中へ!血塗れた里にひとり佇む鳳凰から告げられる、“乱世”を貫く壮大な秘密とは――!?悲劇の“終局”まで待ったなし!刀語、第11話の対戦相手は、真庭忍軍十二頭領がひとり、真庭鳳凰!
衝撃の12ヵ月連続刊行企画“大河ノベル”第11弾!

西尾維新が挑む時代活劇!こんな物語を待っていた!!

これまた、終っちゃった、ていう感じです。手抜きで印象が薄いんじゃなくて、実際に中身がない。その原因が真庭鳳凰です。正直、途中登場の左右田右衛門左衛門に完全に喰われています。つおい、っていう感じもないし、ユーモアも感じられない。可愛くもないし。対戦相手が魅力ないと話もつまらないのは、探偵小説と一緒。結局、最終巻につなぐ意味しかないか・・・

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紙の本刀語 第9話 王刀・鋸

2007/12/01 18:06

なんだかサブキャラのほうがよくなって、そろそろ奇策士とがめさまにはご退場を願わねば、ってな雰囲気ですがいかがでしょう。ま、最初からドーでもいいかなとは思っていたんですが、維新物語史上最も魅力の無い主要キャラでした

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ええ、毎度バカバカしいお笑いを、ではありませんが、シリーズも九作目ともなれば、読者も慣れます。だから、目次を書き写すにしても自分の以前の書評からコピペ、なんて安易な方向に流れる。ところがです、今回は激震です。全12巻(予定)中、九話目にしてなぜか、今までの五章構成が六章になってしまった!目がテン、長女の目・・・

序章
一章 心王一鞘流
二章 汽口慚愧
三章 門下生
四章 真庭鴛鴦
五章 王刀楽土
六章 目隠将棋
終章
画:竹
筆:平田弘史
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L

ね、突然、六章構成っていうのが驚きです。しかもです、前話もそうでしたが、主人公の一人だったはずの奇策士とがめ、ますます影が薄くなります。ま、もともと大したキャラではなくて、「チェリオ!」一本だけ(この「一本」ていうのがミソなんです)の女でしたから、沈没して当たり前ではあるんですが、この消滅振りの速さは秋の夕日です。

逆にサブキャラがますます良くなってくる。今回はやはり汽口慚愧でしょう。巻末の対戦相手プロフィール、今までも何度か引用してきましたが、今回始めて気付きました。sex の項目がない。げげ、なんていやらしい、っていうのは落語の前振り。海外に行く時の書類に sex とあったので、月1回、って書いたっていうオチのやつ。

いえいえ、私はそんなお下品な下ネタ葱みたいなことは言いません。単純に性別のこと。絵見りゃ分るだろ!って言う声もありますが、汽口慚愧、ってきたら先入観的には男でしょ、やっぱ。ま、第八話の日和号はどっちに分類すんだよ!おりゃおりゃ?なんて声も聞こえてくるんですが、人形だって性別あっておかしくないし・・・

で、汽口慚愧。女性です、多分(読み間違えていなければ・・・)年齢24歳、職業 剣士、所属 心王一鞘流、身分 当主、所有刀『鋸』、身長 五尺八分三寸、体重 十二貫、趣味 素振り、必殺技一覧は載っているけれど、五つとも分り難い。で、この人の印象は真人間。なんていうかとっても教育的な存在で、今まで登場した対戦相手中、鑢七花にもっともお似合いの女性。二人の問答がとってもいいです。

とはいえ、べた褒めとは行きません。尾張幕府直轄内部監察所総監督補佐左右田右衛門左衛門と真庭忍群との戦いが、メインの話と全く融合していないのです。無論、平行線ではなくて交わりはするんですが、殆ど別の流れ。で、お話としては家鳴将軍家直轄内部監察所総監督、本名不詳、経歴不明の否定姫と左右田右衛門左衛門のお話のほうが面白い。

これでいいのか?次回対戦相手は彼我木輪廻、蒐集対象 誠刀・銓、決戦舞台・百刑場なんだぞ、よく知らないけど・・・

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紙の本刀語 第5話 賊刀・鎧

2007/08/20 19:55

こんな話、待ってねぇよ、おいら!と思わず言いたくなる、なんにもない巻。でも、この巻で諦めちゃあいけない、実はこの後の6巻以降で持ち直す。ま、その前のご愛嬌、ってか?

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

はっきり言って、この巻は今までの中でもっとも弱いでしょう。まず人間が一人としてイキイキとしていません。七花も奇策士とがめも、勿論、相手の校倉必も。一応、及第点は真庭鳳凰ただ一人。でもって、この巻ならではの笑える会話がない。「ちぇりお」ではもうダーレも笑わない。「おれが守る」って叫んだところで、よくあるアニメじゃん、ちっとも格好よくないし。第一、とがめ、ますます魅力ないし、で終ります。

ま、維新にとってアニメ、って言ったところで、それで?で終っちゃうんだろうけれど、読者としてはこの巻みたいに、華もなけりゃ実もないような話を読まされるのは、あまりに辛い。我が家の次女に言わせれば「維新、最近、手抜き気味なんだよね」でバッサリなんだけれど、このレベルの話じゃ、お金を溝に捨てるような気分になってしまう。本当にこのまま、進むんでしょうか。

こんな話、待ってねぇよ、おいら!

ちなみに、講談社はwebで

西尾維新×竹が放つ、待ってました!の時代活劇絵巻!
甲冑 vs.無刀

「おれはとがめに惚れてるんだからよ――裏切るわけがねえだろうが」
薩摩の港町を一手に仕切り、賊刀『鎧』を所有する鎧海賊団船長・校倉必(あぜくらかなら)。“日本最強”を襲名した無刀の剣士・鑢七花と、変体刀を蒐集する美貌の奇策士・とがめは、“あるもの”を賭けての勝負を校倉から挑まれる――! “愛”に戸惑い、苦悩し鈍る七花の剣先――!? 刀語、第5話の対戦相手は、絶対の防御力を誇る鎧海賊団船長、校倉必!
衝撃の12ヵ月連続刊行企画“大河ノベル”第5弾!

西尾維新が挑む時代活劇! こんな物語を待っていた!!」

と書いてはいるんですが、ホント、こんなスカスカ話、おいらたちは待ってないって。『化物語』書いた人は同名異人ですか?もう、無理矢理六巻に期待して、とりあえず目次。

序章
一章 鎧海賊団
二章 校倉必
三章 真庭鳳凰
四章 柳緑花紅
終章

以下は目次には書いてないけど
登場人物紹介
アトガタリ

ここはいつも同じデータ

画:竹
筆:平田弘史
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面校正:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L

とりあえず、登場人物紹介でお茶を濁せば、校倉必は年齢38歳(そうは思えないけど)、職業は海賊、所属は鎧海賊団、身分は船長、所有する刀は賊刀『鎧』。身長7尺5寸、ていうことは2.3mくらい?。趣味は釣り、そんな場面あったかしら。得意技は六つらしいけれど、要するに守るんです、攻めながら。

で、仕方ないから書いちゃえば、次回は凍空(いてぞら)こなゆき、っていう人が対戦相手で、その人の持っている刀は、双刀・鎚。舞台は蝦夷・踊山だそうです。こんな場所、本当にあるんでしょうか。そして、何より、話はもっと面白くなるんでしょうか。だって、これなら5巻全部合わせたって、山田風太郎の忍法帖一冊にも及ばないんだもの、維新、危うし!

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紙の本刀語 第1話 絶刀・鉋

2007/07/16 10:51

土台的プロローグ編

3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る

基本に忠実なライトノベルという感じ
個性をべったり貼り付けられたキャラクターによる異能バトル
自らを茶化したような現代的で読みやすい文章
プロローグとしての扱いなので大分説明が多いですが、バトルや展開の形式を見せ先の読める感じにしつつ、それを引っくり返そうとする意図が見え隠れ
ちょっと迫力は物足りないですが、後はこれから出るキャラクター次第でしょうか

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