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プラテーロとわたし みんなのレビュー

  • J.R.ヒメーネス (作), 長南実 (訳)
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みんなのレビュー3件

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紙の本プラテーロとわたし

2011/12/10 08:19

幸せと懺悔の散文詩

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 長らく絶版になっていたヒメーネスの『プラテーロとわたし』が岩波文庫で復刊されました。
絶版、復刊を繰り返してきたこの珠玉の散文詩は、最初、中学生の時、岩波少年文庫で
『プラテーロとぼく』というタイトルで読んだのが最初です。

 『プラテーロとぼく』(Platero y yo~Elegia Andaluza)は、若い詩人だったころの
ヒメーネスが、ノイローゼになってしまい、生まれ故郷のアンダルシア地方のモゲールという
村で、静養をした7年間の思い出を138編の散文詩で謳いあげたものです。
副題に「アンダルシアのエレジー(哀歌)」とありますが、アンダルシア地方は
紺碧の空、真っ白に石灰を塗った家、果物がふんだんにとれる自然豊かな村であり、
素朴な人々、美しい花や木々、自由に遊ぶ子どもたちを、美しい白いロバ、
プラテーロと一緒に詩人である「ぼく」が、鳥の歌を聞き、松林の中を散策し、
ワインや果物を楽しみながら、人々と触れ合い、 美しい自然の中でその弱り切った神経が、静まっていく・・・
そんな様子が美しい、豊かな言葉で語られています。

 さすが詩人だけあって、大変短い散文でも、豊かさと英知を感じさせる言葉使いで、
スペイン語の原語だと、もっと響きを重視し、韻を踏んだ美しい音楽のような散文詩なのだと
思いますが、長南実さんの訳も大変美しく、何度読んでも、どこから、どこを読んでも
うっとりとするような響きを持っています。

 プラテーロというのはロバの名前ですが、スペイン語でプラータ(Plata)とは銀のことで
日本語にすれば、しろがね(白銀)という意味合いになります。

 第1章は「プラテーロ」となっていて、プラテーロの美しさを歌いあげています。

『プラテーロは小さくて、むくむく毛が生え、ふんわりしている。
見たところあまりやわらかいので、からだ全体が綿でできている、骨なんかない、とさえ
言えそうだ。真黒な瞳のきらめきだけが、まるで二匹の黒水晶のかぶと虫みたいにこちこちしている』

 プラテーロとぼくはいつでもどこでも一緒です。
動物を飼うというより、動物と暮らす、そんな喜びに満ちている様子が全体を貫いています。
ただ、スペイン語でロバといのは、愚か者という影の意味もあるそうで、詩人のぼくはそんなことにとても憤慨したりします。
美しいだけか、というと村の役人の威張った様子をひやかし、また、動物を擬人化している
寓話の愚かさを嘆き、プラテーロはロバであり他の何物でもない、といったことも書いています。
書いている、というより詩人はいつも一緒のプラテーロに語りかけています。
美しくて強いものを賛美するのではなく、美しくて弱きものに、優しいまなざしを向けています。

 最初、読んだ時は、長新太さんによる挿絵だったと思うのですが、
なんとなく、3年おきぐらいに読みたくなって、図書館で借りるを繰り返していました。
数年前、神保町の古本屋で、たまたま、岩波少年文庫の挿絵がラファエル・アルバレス・オルテガと
言うスペインの画家によるふんだんに挿絵の入った本を見つけ、購入しました。やっと手元に来たプラテーロ。

 日本では、やはり海外の詩や散文詩というのは伝わりにくいのか、絶版になったり
復刻されたりを繰り返していますが、スペインでは、有名でヒメーネスが後年を過ごした
アメリカでも人気で、'Platero y yo' または'Platero and I'で検索すると
ものすごい量の本が出版さてれており、今、スペインのモゲールにはプラテーロの銅像があります。

 ヒメーネスは、ノーベル文学賞を受賞したスペインの国民的詩人です。
クラッシック・ギターでも、やはりギターといえばスペイン、アンダルシアといえば
フラメンコなのですが、スペインでは2人の作曲家が、ギター組曲を作曲しています。

 マリオ・カステルヌォーヴォ・テデスコは、28編を選び、作曲していますが、
これは、原文の散文詩を朗読するBGMという条件のもとで作曲されています。
そして、もうひとりは、エドゥアルト・サインス・デ・ラ・マーサという人が、 音楽だけの『プラテーロと私』を
作曲しています。こちらは8編で中でも「散歩」は ギター曲としては有名です。

 私が、初めて生の演奏で、聞いたのは、どちらかというとマイナーなデ・ラ・マーサ版でしたが、
まさか、あの『プラテーロとぼく』が、ギター組曲になっていたことに驚き、
何年も何年もいつも、プラテーロと一緒にいた「ぼく」のように、読んでいた本が 音楽となって出てきたのに驚きました。

 一回読んで、面白かったと忘れてしまう本もあるのですが、何度も何度も、
繰り返して読む、日本で知名度が低くても、絶版になっても私のココロの中のとても大切な一冊です。

 音楽が好きな友人は、どんなジャンルであってもいい、と思った音楽を
聞いていると「懺悔している気持になるんだよね」と言っています。
私も、この『プラテーロとぼく』を読むと、美しくて、思わず、懺悔したくなります。
罪、というより、なんだか普段の生活で、なんとなく色あせてくすんでしまったような味気ない気持、
汚れちまった哀しみってやつを、懺悔して洗い流すような心持になります。

 そういう本が、一冊でもあることを幸福に思います。
絶版だったのが復刻になり本屋の店頭に並んでいるのを見るだけで幸せを感じました。
自分の中で死んでしまったものが生き返ったようです。


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紙の本プラテーロとわたし

2016/01/13 01:02

心が洗われる一冊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:砂漠の一輪の薔薇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

スペイン語講座で先生がこの本を原語で紹介してくれました。でも言葉がまだ分からず理解できませんでした。それで日本語訳を探して、この本に出合いました。日本語の訳がプラテーロトとわたしの交流を余すところなく伝えていると強く感じました。星の王子様とともに愛読書の一番にあげます。

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紙の本プラテーロとわたし

2001/07/10 10:58

なつかしいプラテーロとの再会

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:わに - この投稿者のレビュー一覧を見る

 珠玉の散文詩である。
 2月に本書を買って以来、アンダルシアのとろりとした空気につつまれて、銀色の驢馬プラテーロは私の中で幾度も輝いた生を生き、幾度も死に、幾度も思い出となった。
 と、思い入れたっぷりに書いてしまったが、それは私にとって本書との出会いが「幼いころ大好きだったおはなしとの再会」だったからである。新刊なので体裁は違うが、なつかしい言葉、なつかしい挿し絵と再会できたことは望外の喜びだった。
 138編の短い散文詩のすべてに、アンダルシアでの驢馬との穏やかな生活の中でヒメーネスが感じた、生の喜びと死の悲しみが同時に込められている。プラテーロへの優しい語りかけという形を取っているが、この本のなかで吐露されているのは実は激情であると言ってよいと思う。
 同じタイトルで理論社版(小学生向け、2分冊)が入手可能なので子供にはこれをすすめたい。この岩波文庫版は、細かい訳注が付いているが、個人的にはそれが邪魔にならなかった。注付きで泣ける岩波文庫、最近ではめったにない。

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