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軟弱者の戦争論 みんなのレビュー

  • 由紀草一
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みんなのレビュー2件

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評価内訳

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平和を守れるなら軟弱でもよろしい

16人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

改憲を語る本は真に過小に過ぎる中、本書は自称右でも左でもないという著者が護憲を喝破する本である。ただ、喝破というよりは淡々と平易に語りかけるような口調である。
 平和主義についての主張はまことにそのとおりであろう。そもそも日本の平和主義など世界から尊敬どころかバカにされていることを日本人は余り知らない。日本の平和主義などニセモノである。嫌なことは全て人任せの、無責任で卑怯な偽善に過ぎない。アフリカにおける暴力政権を押さえ込む事もできず、平和維持活動をする人たちを守ることもしない。これでは国際社会の一員とはいえまい。
 秩序が無ければ女性や子供はこの地球に生きることが出来ない。正直に言って、男性の暴力性の前に太刀打ちできない。その秩序を維持するためには警察が絶対に必要である。警察力無きところに「法」は余りに無力である。「法」に魔力があるわけではなく、法を守らせるのは警察力以外何物で無い。これを世界に置き換えてみればいい。もし、軍が無くなれば、法を守らせる装置は無くなり、世界は地獄である。
 欧州はそれが分かっているから例えば独伊などは戦争放棄条項を日本と同じように持っているが、軍隊放棄などというバカな条文は無い。
 著者は臆病者ゆえにという語り口だが、正しく著者の主張は正鵠を射ている。9条護持を訴えるだけの無思考人間は無鉄砲としか言いようが無い。故に、ちょっと考えれば臆病者や平均知能を持つ人は護憲の矛盾に気付くのであろう。
 私は、取り組んでいる学問の性質上、9条護持派と議論をしたりする事もある。この議論に勝つのは実に簡単である。多くの護憲論者は大体誤解に由来しているからそれをほどけば大体心は揺れるから。例えば、「じゃあ、あなたの子供が徴兵されてもいいの?」などいう者が実に多い。しかし、「憲法18条を変えると誰が言ったのですか」といえば終わりである。18条により徴兵制は違憲である。執行すれば最高裁の違憲判断が確実に下る。
 「侵略戦争を再び起こす。それでもいい?」これも、20万程度の軍隊でどうやって侵略するのか内訳を説明してくれといえば終わりであろう。アメリカと共同でという主張に対しては、それは一国の政治判断だし、国連決議があるのにそれでも出兵しないのなら単なる無責任国家となるのだから、むしろ行って何が悪いということになろう。
 アメリカは世界の希望であり、今後も世界の中枢にいてもらわなければ困る。中国が覇権を握れば恐ろしいことになる。現に、最近の資源の値上がりは中国の策謀であるし、ロシアは益々資源への管理を強め、もはや供出しなくなってくるだろう。これは間も無く、木材値上がりによる住宅高騰という実害となって日本に現れる。それを押さえるのはアメリカしかいない。WTO体制もなにもかもその権威は結局アメリカの権威だし、その背景には軍事力がある。そして概ね正しい力として行使されてきている。
 信じがたいかもしれないが、一部の共産党員や社民党などは我々の警察力である自衛隊を無くせと本気で行っている。これこそ暴走だし、平和ゴッコがしたいならどうぞ外国でやるべきで、市民を巻き込まないで頂きたい。結局、臆病者の戦争論とはそういうことである。
 かつて地裁で自衛隊違憲判断が出たように(最高裁で無論ひっくり返ったが)、9条からすれば自衛隊は100%違憲である。だから本当は自衛隊は解散で、丸腰になるのが正しい。しかし、そこで「軟弱モノ」の戦争論が出てくるわけだ。軍隊不所持は、物凄く無責任なウエに恐ろしい事である。例えばアメリカが軍隊を全部放棄しますといったら世界はどうなるだろう。答えは地獄である。中国のインドネシアへの所業だって背後にアメリカがいるからこそあの程度で収まっている。ならば何故日本だけが放棄していいことになろう。法が整備され、軍隊を抑えるルールが出来ている国こそ、ルールなしで軍隊を動かす国家を押さえなくてはならない。
 「憲法九条をめぐる長年の論争は、否定を許さない「平和主義」の理想にからめとられ、大切なことに目をつぶっている」この著者の主張は様々にある9条護憲論の誤りを指摘する重要な切り口である。
 日本の形式的平和主義では実質的平和は保てない。いつになったら日本人はこのことを思い出すのだろう。本当の平和主義とはどうやったら弱者が守られる世界にするか・・そこにあるのではないのか。自衛隊を放棄してそれが出来るのかそのウルトラマジックをじっくり聞きたいものである。今まで私が見た文献、議論・・一人として論証できたものはいない。
 

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人間の現実を直視する正気の言葉

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:不二 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 一気に読んだ。
 前作『団塊の世代とは何だったのか』(洋泉社新書y)では暗示的に提出されていた著者のモチーフ、「戦後思潮の批判的な見直し」が、ここでは全面的に展開されている。それを一言で言えば、「平和主義」の美名で隠蔽されてきた我々の欺瞞を摘出することである。
 例えば、1990年の湾岸戦争時、日本は総額130億ドルを多国籍軍のために醵出した。これは日本が戦争に参加したということだ、とこの頃の『朝まで生テレビ』で田原総一朗が言っていたのを覚えている。彼程度でもそんなことはわかっていたのだ。で、この「事実」と憲法第9条とのかねあいはどうなるのか? この重い問いかけに誰かが正面から答えたろうか? むしろ、日本人が戦死したわけではあるまいし、そう深刻に考えることもないだろ、とばかりに、あれからもなんとなく時を過ごしてしまった。イラクへの自衛隊派遣でも、同じことだ。遠い中東での出来事だから、という以上に、我々は「戦争」という世界の現実に、なんとなく現実感を持てないようになっている。それが証拠に、北朝鮮がミサイルを発射しても、一過性の騒ぎだけでなんとなく終わってしまったではないか。
 このように、憲法第9条の最大の効果は、日本人が世界の戦争の現実に背を向け、何より、その現実と無縁に生きているわけでは決してない我々の、都合の悪いところには目を瞑るような精神を形成したことだ。平和ボケとは、ここのところを言う。
 筆者は、トルストイのような超大物から始まって、高橋哲哉や内田樹らを筆頭とする現代日本の平和主義者=護憲論者の言説を俎上に乗せて、具に分析していく。言葉の調子は柔らかいが、我々と現実の間に張られた煙幕が徐々に、確実に晴れていくような爽快感が味わえる。
 ただし、この著者の立場を、単純に保守派のものと混同してはならない。小林よしのりのような、「戦争で死んだじっちゃんたちの名誉を守る」というような素朴なナショナリズムは遠慮がちに批判されているし、軍事の強大な危険性を熟知した上で再軍備せよ、とも主張されている。感傷的な左もいやだが、ファナティックな右も剣呑なのだ。それが、慎重な、悪く言えばあちこち迷っているかのような印象の文体を生む。
 私もまた、右も左もいやな人間なので、そして、左を斬ると自動的に右に絡めとられるような風潮が何よりもいやなので、この用心はよくわかる。しかし、小泉がよく口にした寸言に、わかりやすさと覚悟のようなものを感じて、もてはやす最近の風潮からすると、これは苛立たしく見えるかもしれない。願わくは、どうぞ頭を冷やして、このような正気の言説を味読してもらいたいものだ。

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