北条綱成 みんなのレビュー
- 江宮隆之
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2008/09/07 21:30
戦国時代の関東における勢力分布がよく理解できる
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦国時代の関東での戦乱はあまり知られていない。戦国時代というと、織田、上杉、武田、今川、徳川などしか名が出てこない。これらの武将は中部から甲信越地方を地盤としている。
一方、関東といえば、後北条、上杉、武田、里見、足利、太田などの武将が登場してくる。実際、現在の埼玉、千葉、東京、神奈川では盛んに陣取り合戦が繰り広げられていた。後北条とは、有名な北条早雲を祖とする北条家であるが、鎌倉時代の執権北条家とは何の関係もない。
後北条家といえば、早雲、氏綱、氏康、氏政と代が引き継がれていくが、綱成という武将がいた。この綱成は、北条氏一門というわけではないが、北条を名乗っている。本来、駿河の武将である今川家と姻戚関係にある一門である福島(くしま)家の者であった。
滅法戦いに強く、勇敢な武将で戦いには頼りにされていた。ところが、時代は戦国時代である。福島家は群雄割拠の今川と武田の間で惨敗を喫して、今川陣営でも冷遇される。そこからがこのストーリーの面白いところでもあるし、戦国時代らしく合従連衡、遠交近攻など策謀が続くのである。
織田や今川、徳川らの戦いも面白いが、もうそろそろ飽いてきた。しかし、戦国時代でも場所を変えた関東の戦いも同じく興味深い。河越城での攻防、国府台の戦いなど歴史に名を残す戦記を交えた小説も希少なだけに大いに楽しめた。
関東は頼朝の御家人であった武士達が勃興した地でもある。戦国時代の当初は、鎌倉公方や古河公方などの足利勢がまだ健在であった。貴族化した武家から戦いを日常とする武家への転換期でもあった。
本書を読んでみると、戦国期の関東における時代の変遷も味わえるし、各地方の勢力分布がよく理解できる。ただし、目まぐるしく移り変わるので、分布といってもいっときのことではあるが。
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