光と影を映す みんなのレビュー
- 山田太一
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2016/03/15 07:24
3年前に戻って
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKBSでかつて放送された「100年インタビュー」を活字化したシリーズ本の一冊であるが、放送されたのが2013年2月で、この本の初版が2016年1月。実に3年近いタイムラグがある。
これは何を意味するのだろう。実に面白い現象だ。
もしかして、案外山田太一の再発見が巷で流行っているのかと勘繰りたくなるが、どうだろう。
大学を卒業後映画会社にはいって映画監督を目指していた山田がどういうきっかけでテレビの世界にはいっていったのかといったところからインタビューは始める。
山田がテレビの世界にはいったきっかけは木下恵介に誘われてというのは有名な話で、もし山田が木下の下にいなければ、人生は大きく変わっていたにちがいない。
このインタビューでは山田の代表作である「男たちの旅路」「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」「日本の面影」といった作品に沿って進められていく。
そして、最後には「老い」をテーマにした「ながらえば」「冬構え」といった作品へとなるわけであるが、そういう大きな潮流をみていくと、山田の長いテレビドラマの世界が彼自身の人生と重なり合うところが見えてくるのではないか
インタビューの最終章は「いま、テレビにできること」で、冒頭に書いたようにここでいう「いま」は2013年である。その点を割引ながら読むしかない。
インタビューは2011年に起こった東日本大震災を経験してドラマはどういうことを描いていかなければならないかを山田に問いかけていく。
山田は「ドキュメンタリーで「これは映せないよ」というものを、ドラマでは感じさせることができる」と答えている。
震災の記録を読んでいくとどうしても感動秘話のような「いい話」が多くなる。受け手側も「わるい話」よりは「いい話」を欲しているといっていい。そうした時、本当の真実が歪んでしまう。山田はそのバランスをちゃんと取るためには「ドラマ」が必要だと言っている。
2013年の「100年後へのメッセージ」の中で「時間というのは本当に立ちどまりません」と記した山田太一は、それから3年後の2016年ならどう記すのだろうか。
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