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大前研一 新・経済原論 みんなのレビュー

  • 大前研一, 吉良直人
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みんなのレビュー1件

みんなの評価4.3

評価内訳

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非常識が新常識

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 英語版の日本語訳だが文章は非常に読みやすく、書いてあることも明快なので結構分量があるが一気に読み通せてしまう。原著の初版が2004年なので現状についてのコメントは若干古くなっているのかもしれないが、そこで挙げられる”思想”は決して古くなっていないと思う。
 新「経済原論」を謳っている本書では、現在の世界が旧来の世界とは経済構造において全く異なるものになってしまったと主張する。一つには、ケインズに端を発する経済理論”信仰”の崩壊。もう一つは、国民国家の崩壊である。これらは全て、技術革新による新たな経済プラットフォームの誕生に起因している、という。
 これまでは、地理的環境というものが経済発展の大きなポイントになっていた。資源があること、市場があることなどである。しかし、ネットワークの普及により、現代では地点間の距離がほとんど0になってしまったといって良い。逆に、時差の存在が24×7のサービスを実現し、そのことが利点になってしまうことすらままある。
 また、いかに活用できる資産を大量に自分で持っているかが競争優位性の一つのポイントであったが、豊かな地域が増えた結果、余剰資産をいかに自分の地域に投資させるかが経済発展の重大要素になった。これまでの経済理論では、金利を上げれば資金供給が減るというのが常識であったが、国内の資金供給が減る以上に、金利差による利益を求めて海外から資金が流入するのである。利益を得るチャンスがあれば資金が投下される。この成功例が中国である。
 中国は本来共産主義国であり、資本主義はなじまないはずであった。だが、賢明な指導者は、国土の広大さを利用して、資本主義地域を共産主義で統合するという政策を、多少の矛盾には目をつぶって実行した。おかげで、中国のいくつかの地域は未曾有の経済発展を遂げている。代わりに共産主義国家中国は、事実上消滅したといっても過言ではないだろう。
 直感的には理解できている経済観を言葉にした一冊。

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