捻りのない展開に設定が活かされていない

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投稿者：ＤＳＫ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

お嬢様女子高に令嬢言葉で話す（喘ぐ）ヒロインという設定に興味を惹かれたが、これを活かすストーリー展開や官能描写が乏しく、何とも物足りない内容になってしまっている。３人の女子校生ヒロインの中にお嬢様然とした雰囲気を醸すのが１人しかいないのはともかく、実際には成績下位で、勉強よりも運動というタイプの快活で奔放な女生徒が全体の旗振り役になっている。この女生徒が小悪魔的に主人公の先生を誘惑し、お嬢様や、もう１人の女生徒をも巻き込んで“保健実習”に持ち込むのは良いのだが、最後までこの関係と展開が変わらないのはあまり面白くない。せっかくの学園モノなのに屋上や階段の踊り場に保健室、そしてお約束の体育倉庫といった情交場所のバリエーションも乏しく、ヒロインの１人が抜け駆けして先生と密戯を交わすようなフックも無い。話をいかようにも膨らませられる設定なのに何故これを活かさないのか？ともどかしくなるのである。一番のご馳走をお預けされて、不味くはないがさほど美味しくもない惣菜を主食として用意されたような「？」を感じた。終始押されっ放しな先生にしても、ヘタレ主人公は誘惑系の基本ではあろうが、相手はハタチ前の娘っ子なんだから、最後くらいはもっと責め立てて屈服させるような逆転劇があっても良かったと思う。一応、そのような形にはなっているが弱い。官能小説本来の目的である「実用性」で何とか及第点だったのでこの評価となったが、場合によっては星２つ以下の作品である。学園モノのカテゴリーから、さらに“保健実習”方面への特化を狙ったのかもしれないが、少し的を外したような気がする。挿絵については、美麗ではあるが写真を加工したかのような緻密さが秀逸過ぎて、却って気味が悪いほどである。