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フリー <無料>からお金を生みだす新戦略 みんなのレビュー

  • クリス・アンダーソン (著), 小林弘人 (監修・解説), 高橋則明 (訳)
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みんなのレビュー7件

みんなの評価3.8

評価内訳

  • 星 5 (3件)
  • 星 4 (4件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
7 件中 1 件~ 7 件を表示

、「無料にすることによって売れる」という逆説が実は紛れもない現実なのである。

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『ロングテール』は僕が今までに読んだ Web 関連のマーケティング論の中では抜きん出て面白く説得力のある書物であった。そして、同じ著者によるこの本も、前作ほどのインパクトはないものの、論点はしっかりしており、真摯な調べ方をしているのが伝わってくるし、立ち位置も非常に好感が持てる。
 出版界の人間がこういう本を書くと往々にしてインターネットに対する偏見と憎悪だけが前面に出たものになりがちなのであるが、さすがに『ワイアード』編集長である。時流を正しく見抜いている。
 ここでは内容についてはあまり深く触れないでおく。要はロングテールの次はフリーなのだ。そして原題"FREE"には"THE FUTURE OF THE RADICAL PRICE"という副題がついている。そう、確かにフリー(無料)と言うよりも、急進的/過激な価格(の変動)と言った方が論旨が伝わるかも知れない。
 著者はフリーについては4つに分類しているが、その中でも特に強調しているのが「フリーミアム」である。どうやらこれはフリーとプレミアムの造語らしく、一般の利用者に対しては無料でソフトウェアやサービスを提供し、一部のコアな人たちにプレミアム・バージョンを販売することによって、その売上で全体を賄うという企業モデルである。
 そして、この本を読んでいて面白いのは、筆者がなかなか筆の立つ人であるからである。
 「インターネットとは、民主化された生産ツール(コンピュータ)と民主化された流通ツール(ネットワーク)が合体したもので」(231ページ)、「近年の傾向を見ると、テレビの視聴時間はすでにピークを過ぎている。人々は同じ画面でも、消費するだけでなく生産もできるコンピュータの画面を選ぶことが増えているのだ」(250-251ページ)等々、読んでいるとなるほどと頷いてしまう箇所も少なくない。
 ともかく、ここで展開されているのは、「無料にすることによって売れる」という逆説が実は紛れもない現実なのであるという主張である。しかし、彼はこう続ける:「フリーは魔法の弾丸ではない。無料で差し出すだけでは金持にはなれない。フリーによって得た評判や注目を、どのように金銭に変えるかを創造的に考えなければならない」(310-311ページ)と。
 そして、彼こそはそういうことを最初に創造的に考えた人物であると言って良いのではないだろうか。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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正直いってこの本は長すぎるのではないかと思うが、全部読むと社会現象としての FREE の背景まで理解できるので、ビジネスパーソン以外の一般人にも読むことをすすめたい

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本のなかでも説明されているように、英語の Free というコトバには、「無料」という意味だけでなく、「自由」という意味もある。後者の「自由」というのは、「~からの自由」という意味だ。これが価格についていわれるとき、「価格から自由」すなわち「無料」ということになる。

 最近よく目にする「無料」だが、現象自体は著者も詳細に説明しているように、けっして目新しいものではない。ラジオも民放TVも、そもそもの最初から視聴するのは「無料」だし、試供品(サンプル)は「無料」で配布されている。また、「無料」でご招待、というのもあるし、ボランティアのような、お金を介在させない「無償の行為」というものも存在してきた。とくに中国では蔓延している海賊版という、ただ乗りの「無料」もある。
 これだけでは当たり前すぎて面白くも何ともない。また、著者がいいたいのもこういうことではない。

 著者がいいたいのは、とくにグーグルなどのネット企業が主導する「無料」をベースにしたビジネスモデルのことだ。これを「フリーミアム」(Freemium)という。大多数の使用者には基本製品(またはサービス)を「無料」で使用させるが、高機能のプレミアム製品(またはサービス)を使用したい一部の顧客には課金するというビジネスモデルのことである。このモデルは、グーグルだけでなく、スカイプなども同様であり、いまだビジネスモデルが確立していないツイッターなども同様の方向を向いている。
 試供品や無料ご招待などは、著者の分類によれば「直接的内部相互補助」になる。携帯電話本体を「無料」で配布して回線使用料収入で儲けるビジネスモデルなどがそれに該当する。民放などのコンテンツの無料放送は「三者間市場」。視聴者は無料で視聴できるが、第三者であるスポンサー企業が CM という形で広告料を放送事業者に支払うモデル。アマゾンのブックレビューなど「無償の行為」は、金銭以外の動機付けによるもので、注目(traffic)や評判(link)などが報酬となる「非貨幣的市場」である。
 著者は「無料」モデルを以上の4つに分類して説明しており、読者のアタマの整理になる。

 日本人は昔から「タダほど高いものはない」とクチにしていた。そう、世の中にはタダのものなど本来存在しないのである。誰かがどこかで、あなたのかわりにお金を払っているのである。ところが、タダ(無料)が当たり前の世の中になってきていることもまた、否定できない事実である。
 それは、実体経済から情報経済に移行しつつあるからだ。著者の表現を使えば事態経済はアトム(atom)の世界、情報経済とはビット(bit)の世界である。集積回路の価格が劇的に下がり、記憶容量は劇的に上がった結果、情報処理能力と記憶容量、通信帯域帯(bandwidth)の3つのテクノロジーのコストがそろって同時に下がってゆくことで、インターネット世界のコストは限りなくゼロに近づいているのである。いまだゼロから遠いのは電力コストだけだ。だからグーグルはスマートグリッド(smart grid)に熱心に取り組んでいるのだ。
 この現象をさして、かつてインターネットビジネスにおける「収穫逓増(ていぞう)の法則」という表現が経済学で使われたが、情報世界では、経済学用語を使えば「限界費用」(marginal cost)、すなわち複製という形で情報を一単位余分につくるのにかかる費用が、限りなくゼロに近くなっている、ということなのだ。これは実体世界としてのリアルの世界では依然としてありえないことである。これが、著者のいうアトムではなくビットの世界の実態なのである。
 そしてこの限りなくコストがゼロに「近づいている世界では、情報はあふれんばかりに潤沢に存在し、さらに日々増大している。かつての実体経済が中心だった頃の「希少財」という概念が、情報世界では成り立たなくなってきているのである。デジタルのものは遅かれ早かれ「無料」になって潤沢になる。「ポスト希少社会」、これは新しいパラダイムである。

 著者はこういったことを、日本語版の翻訳で300ページ以上にわたって、えんえんと書いているのだが、エッセンスだけ知りたいのであれば、「週刊ダイヤモンド」(2010年3月13日号)「特集 FREE の正体」を読むのが手っ取り早い。日本人識者のコメントも多数掲載されているので、むしろ解説としては読者にとってありがたいつくりになっている。あらたに「無料」ビジネスモデルを考えたい人や、自社の「無料」モデルの問題点を考えたいビジネスパーソンは、本書の巻末付録「フリーを利用した50のビジネスモデル」とウェブサイト(www.freemium.jp)、そして「週刊ダイヤモンドの特集」も手元においてリファレンスとして活用したい。

 しかし、背景も含めて FREE の意味を根本的に理解したいと思う人は、この日本語版を通読する意味はあると思う。この FREE というのは、ただ単にビジネスモデルも問題と捉えるべきではないし、またテクノロジーだけの問題でもないからだ。
 著者もいうように30歳を分水嶺として、「FREE が当たり前の30歳台以下の人たち」と、「FREE に対しては懐疑的な30歳台以上の人たち」に分離される。FREE がすでに当たり前のものとなって疑問をもたない「フリー世代」の人たちの存在は社会現象として考えるべきであり、30歳以上の人たちはその社会現象の意味を考えることが必要になってくる。30歳以下の世代がいずれマジョリティになるからだ。
 日本語版のタイトルが『フリー-<無料>からお金を生み出す新戦略-』となっているので、ビジネス書には関心のない人たちの関心からはずれてしまう恐れがある。英語の原題は、FREE: The Future of a Radical Price である。ゼロという概念は、古代インド人が発見したこと著者も触れているように、無料=ゼロとは1円でも10円でもなく、ゼロ円なのである。この「ラディカルな価格設定」が現在進行する世界においていかに大きな意味をもつかは、行動経済学者が実験をつうじて明らかにしてきていることでもある。

 この本は、思想書とまではいわないが、いままさに進行しつつある社会現象を解読するための思索が書き込まれた本として読んでみてもいい。そう考えれば、ビジネスパーソン以外の、一般人も目を通す価値のある本であるとわかるはずだ。著者クリス・アンダーソンは、そもそもがビジネスマンではなく、サイエンスとテクノロジーの世界で長年ジャーナリストとして活躍してきた人である。現在はITの専門誌『ワイアード』(Wired)編集長である。サブカルチャーまでカバーするこの雑誌は、ウェブ版も印刷媒体もともに発行しており、この両者に編集長として関与して得た知見も本書には十分に反映されている。

 変化しつつある「21世紀型資本主義社会」を理解するためにも必読書といっていいだろう。ビジネスパーソンはもとより、広く一般にもすすめたい本である。          

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デジタルを見るとアナログ、ビットを見るとアトムを考えてしまう。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書を手にしたきっかけは、twitter上で行われる『第6回大人絵本会』(5月7日(金)22時、#ehonbc_06)の
テーマ図書が『ペーテルおじさん』で、
副読本として、本書の第12章を読んでおくとよいと紹介されたからだ。

ここでは、主に第12章について書いてみたいと思う。

第12章は、「非貨幣経済―金銭が支配しない場所では、何が支配するのか」がテーマである。

分析のベースにあるのは、マズローの欲求段階説である。

  1. 生理的欲求(physiological need)
  2. 安全の欲求(safety need)、
  3. 所属と愛の欲求(social need/love and belonging)
  4. 承認の欲求(esteem)
  5. 自己実現の欲求(self actualization)

これはピラミッドをイメージするとわかりやすい。

1が満たされれば2、2が満たされれば3という具合で、
下の欲求が満たされて上位の欲求を追求するようになるという考え方である。

第12章の核となるのは「贈与経済」である。

著者は、社会学者・ルイス・ハイドの『ギフト―エロスの交易』の贈り物についての考察を紹介している。

南太平洋の島などの土着の社会では、貨幣経済がない代わりに
贈り物の交換や儀式を通じで名声が築かれ、
その文化的通貨が貨幣の代役をしている。

そこは、食べ物や天然資源に恵まれていて、
基本的な物質的欲求は満たされていた。

贈り物は社会を結びつける役割を果たしていたのだと。

著者は、欲求段階説が情報にも当てはまると考え、
商品レビューやゲームプレーヤーが作ったゲームガイドなどを例に挙げ、
アマチュアの創作意欲を動機付けるのは、お金ではないところでは何であるかを問う。

「人々が無償で何かをするのはほとんどの場合、自分の中に理由があるからだ」
という言葉は、まぶしいくらいの潔さを感じる。

確かに、どんな行動だって究極のところでは自分の中に理由がある。

贈与経済を成り立たせている南太平洋の島の住民は、
たしかに、ハイドが観察し、著者が紹介するように、
強い利他主義者ではなかったのだろう。

でも、「アダム・スミスは正しかった。啓発された利己主義こそ、人間のもっとも強い力なのだ」
という言葉を見たときに、「啓発された利己主義」というのは、
利己と利他をアウフヘーベンしたところにあるのかなと思うのだが、
利己主義が「啓発される」レベルに来ることの大変さを思った。

ペーテルおじさんの書評でも触れたが、私はどうしてもここを見てしまう。

  現実の社会に照らしてみると、自分の価値をただにしてしまうと、
  価値を低く見られてしまうという悲しい現実を見なければならない。

  これは福祉サービスでは往々にしてあることだ。

  多くは女性が担ってきた家事労働、介護、情報保障。

  無償のボランティア活動となったとき、
  その活動の評価は残念ながら上がってこないのだ。

  その労働がただだからと言って誰でもできるわけではないし、
  お金がかかっていないわけでもない。

  そこには苦労や持ち出しがたくさんあるのだ。

  なのに、安いとその金額と同等の価値に見られてしまう。

  なんてことだろう。

  本書は、そんな問いに、回答のひとつを見せてくれてもいる。

  答えは子供たちの行動の中にある。

  金銭的価値を低く見積もると、
  その価値が低く見られるという問題は確かにある。

  だが、それは単純に今から有料にしましょうとか
  値上げしましょうだけが答えではない。

  金銭的価値をつけない行動に対しては、
  金銭的価値をつけない行動で応えることができるのだ。

生理的欲求が完全に満たされていて、
社会的欲求だけに生きられる状態の人というのは
どれほどいるのだろうか。

行為する側も受ける側もマズローの5にあたる優雅な状態はそうそうないのだ。

フリーがもたらすのは、その格差が一段とついた社会なのだろうか。

人はビットだけではできていない。

どうしようもなくアトムなんじゃないかと思う。

そのどうしようもなくアトムな部分を、
どうしようもなくマズローの5以前の部分を
正当な対価も正当な贈与も受けずに支えてきた人たちのことを思った。

ビットは格差をつけるために存在するのだろうか。

取り残してきた人たちをもう取り残さないために使われるものなのではないのか。

この問いへの答えは、もしかすると全てを読めば
もう少し解るのかもしれないのだが、
実は、私はこの時点で本書を読了できていないし、悩みながらこれを記している。

本書に掲載されている大量の情報とコラムは、
紙媒体の縦書きだと読みづらく、
横書きで行間を空けてコントラストをつけて、リンクをつけて、
ウェブ上にあった方が読みやすいように感じた。

ウェブコンテンツをプリントアウトして読むことがあるくらいなのに、
紙媒体をウェブで読みたかったと強烈に思ったのははじめてだった。

情報の種類によって、紙がいいかウェブがいいか考えるように
変わってきたのだと実感した。

本書は『フリー』というタイトルであるだけに、
機能が限定された小型軽量で安価のノートパソコンで、
無料のウェブブラウザ、OSを使い、twitterも無料で、
コーヒーショップでワイアレス・アクセスも無料で
という環境で書かれている。

そこにささやかなこだわりもあるようだ。

ウィキペディアからの引用が多く、参考文献リストを文末に持たない。

だが、ウェブに載っている情報だけで書かれたわけではなく、
マズローの欲求段階説や意外なところで、
キューブラー・ロスの死の受容のプロセスが
使われていたりもした。

著者は、過去に登場した有名な説を今起っていることに
当てはめて展開することへのセンスを感じさせる人である。

挙がっている文献がテキスト量に比して少ないからこそ、
きちんと文献情報がわかり、何度もあがってきているような、
例えば、ダン・アりエリーの『予想どおりに不合理』は
読んでみたいと思った。

私は、天邪鬼かもしれないが、デジタルを見るとアナログ、
ビットを見るとアトムを考えてしまう。

本質を見つめられる人でありたいと思うのだ。

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「無料の経済」に今後の何か重要なヒントが感じられる

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「<無料>からお金を生み出す」といっても、錬金術まがいの怪しげな本ではない。「ラクして儲けよう」というお気楽な本でもない。念のため。

 "There is no such thing as a free lunch."という言葉をご存知だろうか?普通に「タダのランチなんてものはない」と訳せばいいのだが、「タダのものには裏がある(から気をつけろ)」という格言でもあり、「タダのように見えてもどこかで対価を払っているのだ」という経済用語でもあるらしい。いずれにしても「Free(無料)」という価格には懐疑的な目が向けられている。
 そして本書は、タイトルの通りこの「無料」を正面から考察したものだ。結論から言えば「無料」をベースにしたビジネスモデルが、極めて控えめに見積もって現在世界で3000億ドル、今後はさらに急拡大する、というのだ。もちろん「無料」がどんなに積み重なっても1ドルにもならない。そこには、経済用語としての上の英文が示すようなカラクリがある。

 例えば「ゼロ円ケータイ」。本体は「無料」だけれど通信費等としてその費用を負担している。例えば「Google」。検索以外にもメール、ドキュメント、画像加工ソフトなど多くのサービスを「無料」で提供しているが、広告費やデータ提供で莫大な利益をあげている。例えば「ソフトの体験版」。機能や期限を制限したものを「無料」で提供し、有料版の購入を促すビジネスモデルだ。
 どれも既にありふれたもので、今さら「カラクリ」なんて秘密めいた言い方をしなくても良いようなものだ。しかし本書には「音楽CDがタダになる」「大学の授業がタダになる」「航空料金がタダになる」「車がタダになる」..というコラムが未来予想ではなく実際の事例としていくつも載っている。こうなると「ありふれた」とは言えない。
 また著者は、最後の「ソフトの体験版」モデルを「フリーミアム(Free、無料)+(Premium、割増)」と名付けて重要視している。実際、本書自体が発売に先立って、先着1万人に全編を無料公開するという実験がされている。現在(2010年3月14日11:00am)Amazonの本ランキング8位、実験の結果は上々だったようだ。

 著者はこの「無料の経済」について「これまではキチンと研究されてこなかった」と言う。それは「無料」を伝統的な経済学が捉えられなかったからだ。本書でも言及されているダン・アリエリーの著書「予想どおりに不合理」で、「無料」が持つ力が実験で証明されているが、これには行動経済学という分野の成立まで待たなくてはならなかった。
 また「ネットの発達で様相がガラリと変わっている」とも言う。著者は「ビット経済」と呼んでいるが、商品がデータ(ビット)化されると、再生産と流通のコストが事実上ゼロになる。従来型商品では無料サンプルもコストがかかるので配る数には制限があった。しかし「ビット商品」なら無制限に配布できる。
 「ビット商品」には負の面もある。海賊版も無制限に配布できる、ということだ。これへの対抗策としてコメディユニットのモンティ・パイソンのメンバーが、YOUTUBE上の大量の著作権侵害に打ち勝った方法が紹介されている。
 本の冒頭のプロローグにこの話は載っていて、「無料の経済」に今後の何か重要なヒントがあることが感じられ、続きが読みたくなる。もしかしたらこれも、「無料(立ち読み)」+「割増(本の購入)」という「フリーミアム」モデルなのかもしれない。

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ビーケーワンでレビューを書く身として感じ入った箇所がある

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 ワイアード誌の編集長がネット経済の進展によってフリー=無料の経済がどう展開していくかについて論じた書。先月のNHK「週刊ブックレビュー」で紹介されていたので、読んでみました。

 前半は目新しさに欠けて退屈な読書になったというのが率直な感想です。
 フリー経済の歴史を振り返ってみて、例えばセカンドライフを運営するリンデン・ラボ社がいかにして利益をあげているかを述べた箇所などは、今さらの感が強く、中途で読書をやめようかと思ったほどです。

 しかし後半、本書は一見フリーに見える経済活動が別の手段で利潤を獲得するスキームを巧妙に持っているという現状を見せてくれる一方、実はフリー経済はその過程で私たちが必ずしも金銭的な報酬を受け取るためだけに人生を営んでいるわけではないことを垣間見せてくれるようになると俄然興味が増していきました。
 著者は行為を無償で提供しあう経済活動の存在に触れ、それを贈与経済という言葉のもとに解説しています。一過性でとらえどころのない贈与経済ですが、星の数ほど現れたブロガー、そして私も参加しているこのビーケーワンの商品レビューがまさにそれにあたります。
 「人々は創造的になり、何かに貢献をし、影響力を持ち、何らかの達人であると認められ、そのことで幸せを感じる。こうした非貨幣的な生産経済が生まれる可能性は数世紀前から社会に存在していて、社会システムとツールによって完全に実現される日を待っていた。ウェブがそれらのツールを提供すると、突然に無料で交換される市場が生まれたのである。」(251頁)
 
 実のところ本書の要諦はこうした贈与経済云々にはないようで、無料経済によって利潤を得るにはどういう方策がありそうか、という思考の糧を与えるのが目的なのだとは思います。
 それでも私は、何か自分のことが書かれているような気がした上述箇所に面映ゆく感じながらも、奇妙に心が添う思いがしたのです。

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多数の実例から読者も自分の戦略がみつけられる ?!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る

「もっとも強力なマーケティング手法のひとつ」 つまり 「あるものをタダであげることで,別のものの需要をつくりだす」 のが 「フリー」 である. それは 19 世紀のおわりに誕生し,デジタル・メディアの登場でひろがった. Microsoft 対 Linux,Yahoo 対 Google など,この本ではさまざまな具体例をあげて,なぜタダにしてももうかるのかを説明している. この本のなかには 10 数個のかこみ記事があり,そこでさらにおおくの具体例をとりあげている. これらを読んでいくことで,読者も具体的な戦略をみつけることができるかもしれない.

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フリーの生み出す価値

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る

Wired誌を見つけ、毎日拝読中。 フリーの生み出す価値は、フリー以外のものよりもずっと多いのかもしれない。 フリーの象徴でもあるネットの重要さにも、改めて気付かされる。

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