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紙の本

紙の本ボトムレス

2011/10/27 19:24

死ぬほど旨い料理を食べて死んだら本望?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

死ぬほど旨い料理が食べられるという都市伝説のような
噂のある「ホール」というレストラン。
その噂に引き寄せられて、さまざまな人が訪れます。

辛口批評が好評なグルメ評論家。
腕には自信があるものの、お客の入りが今ひとつのシェフ。
フードファイターとして自立したいフリーター。
ネタ探しに必死の週刊誌の編集者。
ロハスにこだわる主婦とOL。

「死ぬほど旨い料理」はメニューに載っておらず
ふらふらと現れる老ウエイターが噂を否定します。
そして「当店にございますのは、食べると、
死ぬかもしれない料理でございます」

お客に合わせて供される料理を食べ
グルメ評論家の上原洋一郎が死亡します。

そのアシスタントの武田奈美と
洋一郎がコラムを書いていた週刊誌の
担当編集者水木正弘が
そのレストランの謎に迫るミステリー。

もう一人、二十数年前にある犯罪を犯した
定年退職した葛西信之の謎も
ホールにかかわることで
こちらもホールの不気味さに迫ります。

グルメミステリー作家として、なにか剥けた雰囲気。
死ぬほど旨い料理や、それを食べた後の不気味さは
デビュー作『禁断のパンダ』のイヤーな感じを彷彿とさせつつも
その上をいく。怖いもの見たさで読んでしまう。
ホラーテイストの味付けも見事。

「食」という誰もが興味のある題材を
こんなふうに料理できるのか、と感心しました。

おいしい料理を供するだけではない
グルメミステリー作家をこれからも読んでいきたい。

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