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熟妻女教師・三十九歳 みんなのレビュー

  • 弓月誠
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紙の本

紙の本熟妻女教師・三十九歳

2016/02/09 22:27

個人教師に名を借りた交わり三昧の日々

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルから1人ヒロインをイメージしがちだが実際は2人。主人公の母親の友人で、かつては教師をしていたという【智子】39歳と、主人公が引きこもりに陥ってしまった時の担任【美雪】27歳である。この引きこもりからの脱却と高校への復学、さらには大学への進学を目指す個人教授という形なので女教師と言うより家庭教師である。卒業までという比較的長いスパンで描かれるが、後半は割と駆け足で進む。智子から話は始まるが、中盤からは美雪の存在感も増してくるのでダブルヒロインと言える。そして、一応は勉強もしているようだが実情は家庭教師に名を借りた交わり三昧な日々である。その意味では無節操な作風なのだが、それだけに官能描写がてんこ盛りに盛り込まれた作品でもある。

淑やかで凛とした智子の登場時がややドジっ娘っぽかったのは蛇足だったように思うが、子供の頃から知る主人公の成長した姿と学校に馴染めない現状を母性的に包み込もうとする良さはあった。そして、主人公のご立派なムスコを目にしては勉強第一としながらも求めには応じてしまう女の部分もしっかり描かれている。ただ、主人公の家族も描かれず、智子もまた友人の息子と関係を結ぶ背徳や夫へのうしろめたさといった憂いが(あるにはあるが)希薄なため、そういった醍醐味はあまり感じられなかった。その意味では単に年下の少年と交わる熟女の構図に陥っているのだが、それはそれでいやらしさが抜群なので相殺といったところか。

元担任として主人公を救えなかった思いを抱く美雪だが、智子の存在が発奮の糧となる。なかなか突飛な形を演出して主人公との距離を縮めようと努めたり、途中では即席ヨガ教室になったりもしているが、作品の色合いとしては若干空回りしている印象。進行が平穏というか、起承転結の「転」がないまま進むので何かと変化をつけたかったのかもしれないが、お互いに嫉妬心は抱くも挑発することもない中では致し方ないアイデアだったのであろう。むしろ智子より若い三十路前の女性として情交時の違いをもう少し感じたかったところである。

最後は嫉妬を超えて解り合った2人の百合成分も加えたプレイがさらに興奮を誘うが、ここに至ってようやく2人のヒロインが人妻であることの意味が出てくる。更生を果たし、これからは自らの足で歩んでいく主人公を描くための「けじめ」ということだが、あれだけの濃密さで長きに渡る「不倫」を続け、相当な愛情を捧げていたヒロインにしてはあっさりしていたようでもあり、逆に「元の生活に戻れるのか?」といった余計な心配をしてしまうところである。

全編これ官能場面という描写ついては弓月作品らしさが全開で充分にいやらしいのだが、今回は女教師だったこともあって淫語の連発にはやや慎みに欠けるようにも写った。

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