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個人教授 みんなのレビュー

  • 秀香穂里, やまかみ梨由
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紙の本

個人教授

紙の本個人教授

2007/12/03 09:51

もうちょっと「先」を読みたい終わり方…

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る

 秀香穂里作品には、半端でないレベルの人格障害キャラが出てくることがあります。なかでも目立つのは、身勝手に他人(作中ではもっぱら主人公)を蹂躙することによって自己評価を相対的に高めようとする最低の人種ですが、こうしたキャラが生み出す闇が、ドラマの舞台そのものになったり、主人公たちの心の動き運命を鮮明に引き立てて見せる装置にもなっていくので、存在のうとましさにげんなりする反面、闇が払われる道筋に期待する気持ちも高まります。勧善懲悪というのではありませんが、これまでの作品では、人の心の生み出した闇は闇の行き着くべき場所へと片付くことが多かったので、読後にまで理不尽さを残すことなく、物語を受け止めることができました。
 が、この作品の闇は、最後まで片付くことなく、登場人物たちを覆いつづけて終わりました。
 主人公の俊一は、高校時代に同級生の祐介に脅されて、無理矢理関係を持たされていました。祐介は俊一の成績の良さを妬み、暴力で屈辱的に服従させることで上に立とうとしたのですが、学校を卒業して社会人になっても、その支配関係の旨みを手放すことができず、一方的な「友人関係」を維持しようとしています。
 一流企業に就職した祐介は、予備校の講師となった俊一を見下すことで満たされるものがあるらしく、かつて暴力をふるったことなど忘却したかの如く、気安く俊一を呼び出しては仕事の愚痴や自慢話を聞かせていましたが、ある日、自分の弟である育美の家庭教師をするようにと、俊一の都合に構わず、一方的に命じてきます。
 冒頭の描写だけでも、この祐介という男の、いかにもステレオタイプなナルシストぶりに辟易させられるため、自分の兄と俊一の関係を知っていた育美が、俊一に対していかなる暴虐の限りを尽くそうとも、その奥底に純愛の気配が潜んでいることは容易に察せられるのですが、それと同時に、誰に何をされても易々と流されて飲まれていく俊一という人間の、奇妙な空虚さ、自分というものの希薄さに、何か不自然なものを感じさせられます。
 作品は「俺」という一人称で語られているため、地の文には、俊一が声に出さない内面の心情がたくさん出てくるのですが、それを読んでいても、俊一という人物の核になる部分がなかなか見えてこず、どこか物足りない印象が続きます。有り得ないほど情の濃いキャラクターが標準仕様であるところの秀香穂里作品で、こういう具合に「薄い」感じの主人公というのは珍しく、そういう意味でも変だ変だと思いながら、次第に深刻化し、抜き差しならなくなっていく三人の関係と、ある種の破局へと向かう話の流れを追っていくと……最後の最後で、「あっ」と驚くどんでん返しが待っていました。結局のところ、俊一を翻弄した挙げ句、社会的に破滅させて顧みない祐介も、人生をかけて俊一を守ろうとする育美も、最初から俊一の生み出した巨大な闇に飲み込まれていたのだということがわかり、さらに、その闇を生み出したのが、子供の存在を顧みない親と助愛の存在しない家庭であるという無惨な図式が強調され、なんとも言いようのない思いで読了しました。
 俊一は密閉状態の自分の闇をあたためることのできるものを手に入れることができ、それはそれで一つの幸福の形であるのかもしれませんが、闇は結局少しも晴れないままであり、闇を生み出した元凶も変わらず存在し続けているという、閉塞した状態のままお話が終わることについては、読者によって賛否の分かれるところではないかと思います。精神に大きな欠落を持った俊一ですが、愛するものに対してはねばり強い執念と生命力を見せるしたたかさを持っている人でもあるので、いずれは闇を払って、社会的に破綻した自分の立場をも再構築するような未来もあり得るのではないかと思います。できることなら、そこのところまで読みたかったというのが、読後の印象でした。
 蛇足ですが、同じ作者の作品である、「今宵、眼鏡クラブへ。」も、主人公たちを陥れる闇が完全には払われずに終わるお話でしたし、他の作品でも、邪悪な要素や、主人公たちの幸福に水を差しかねない要素が完全には抹消されないまま、物語世界のどこかで共存しつづけるような終わり方のものがいくつかあったように思います。小説は終わっても、物語の世界を完全には完結させない作風というのは、ありだとは思うのですが、できればいずれそういう作品全部の「続編」をまとめて出してもらって、すっかり読んで落ち着きたいと思うのは、読者のワガママでしょうか…。

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