死者のあやまち みんなのレビュー
- アガサ・クリスティー (著), 田村隆一 (訳)
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紙の本死者のあやまち
2012/03/09 15:32
途中で投げ出さないでよかった
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
引き続きクリスティ。これはよかった。久々に「おぉ」と唸りました。こういうのが読みたかったんです。
まあ、ツッコミ所も多々ありますが。
●後期ポアロシリーズの秀作
大邸宅「ナス屋敷」の園遊会で開催された犯人探しゲーム。ゲストとして招かれたポアロと、ゲームのシナリオを書いた女流作家のオリヴァは、2人で死体役の少女を陣中見舞いに伺いました。ところが少女は本当に死体と化していたのです。その後、主催者であるスタップス卿の夫人も行方不明に・・・。驚愕のプロットが冴え渡る、後期ポアロシリーズの秀作。
作中に出てくる「阿房宮」。秦の始皇帝が建てた宮殿のことですよね。たしか阿呆の語源って説もあるとか。原題の「Dead Man's Folly」のFollyに引っ掛けてるのかな? と思いながら読んでいました。ちゃんと結末で回答が書かれていたのですね、なるほど。
●クリスティらしい王道パターン
全体的に地味な印象です。登場人物も無駄に多い。途中で何度もダルくなりました。ですが、解決編で一気に目が覚めました。愛憎渦巻く人間関係と、ひねりの効いたどんでん返し。クリスティらしい王道パターン、そして僕好みのトリックです。
スタップス夫人の設定に少々無理がある。というか、かなり荒っぽいですけどね。2つの殺人の動機が弱いのも気になりました。
真相と展開のバランスがちょっとちぐはく。読者に推理の条件を提示してくれないところは相変わらずですね。ポアロが解決に至る過程が唐突で、狐に摘まれたような感。女史の作品を読みなれた読者なら、おそらくカンで辿り付くのでしょうが。
●弾ける女流作家のオリヴァ夫人
ポアロも影が薄いです。年をとったせいでしょうか。全盛期の尊大さや精悍さがないですね。その反面、シリーズ後期の相棒であるオリヴァ夫人が弾けてます。常識人のヘイスティングスとは真逆の存在感。おそらく作者の投影でしょう。いいですね、こういう変人キャラ大好きです。
なんだかんだ言っても、トリックがいいと細かいことは帳消しになります。これが本格ミステリの醍醐味ですね。途中で投げ出さないでよかった。
やっとエンジンが掛ってきました。海外古典、次も行きます。
※「です・ます調」レビュー100本ノック。21本目。
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