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電子書籍

ねじまき少女(上) みんなのレビュー

  • パオロ・バチガルピ (著), 田中一江 (訳), 金子浩 (訳)
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みんなのレビュー3件

みんなの評価4.0

評価内訳

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紙の本

ねじまき少女 上

紙の本ねじまき少女 上

2012/02/22 19:07

これで大きなSF賞総なめ、っていわれても今一つピンとこないのは私がSF読みではないせいかもしれません。なんていうか、環境パンク? 政治も経済もしっかり描かれているし、ネジマキ少女エミコの哀しみも分かるんですが、そんなに凄いかなあ、もしかしてアメリカ人の異国好みの琴線に触れたとか? それにしても中国系人間の厭らしさ・・・

10人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

どうもこのカバーの絵、ピンとこない。中央にいるエミコがちっとも美しくないし、第一彼女が和服を着ている場面なんて、小説にはなかった。彼女は男たちから逃れるとき、その走る速度は超人的になるけれど、和服じゃあ、走れるわけがない。それと彼女が横たわっているものが変。多分、排気口なんでしょうが、普通、排気口であれ吸気口であれ、その手のものは雨水の流入を避けるために立ち上がりをつけたうえで、横向きに設置される。

でも、ここに描かれるのはそういう常識を全く無視した絵で、しかもエミコが横たわるのはどう見ても鉄条網のようにみえるワイヤの上。ちょっと見では焼肉屋の金網の上に日本人形が捨てられているような感じ。で、そのワイヤがクロスに張られているのじゃあなくて、ただ平衡に走っている。先程書いたように、普通は縦向きになっていて、ガラリのピッチも狭いから、人が手を突っ込むこともないけれど、この絵によれば、そのワイヤのピッチはどう見ても10cm程度。

しかも地面と同レベルで、その直下にはファンらしきものが。普通、これじゃあワイヤ事態がたわむし、踏み外したら脚が下に落ちる。そうすると羽で足先が切断される。そんなバカなものを、いくらバンコクだからって、作るわけがない。こういう絵を書いちゃあいけません、イラストの価値がさがります、Cover Illustrationの鈴木康士さん。そして、そういうことはキチンと伝えましょう、Cover Designの岩郷重力+N.Sさん。

で、SFです。あまり得意なジャンルではありません。特に新しい傾向のものは、頭が受け付けないので気が向いたときだけ読みます。どのようなときに気が向くかといえば、昔は巨匠の作品でしたが、今はだれが巨匠なのかもわかりません。結果、有名賞受賞というのが基準になってしまう。

私の場合、ヒューゴー賞だけでは手を出しません。少なくともネビュラ賞もとっているのが条件。で、今回の『ねじまき少女』の売りは、〈主要SF賞を総なめにした鮮烈作〉。具体的にどの賞をとったかといえば、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンペル記念賞受賞だそうです。いや、確かに立派。日本でいえば直木賞、推理作家協会賞、泉鏡花賞、乱歩賞同時受賞、っていうくらいのインパクトでしょうか。

ただし、〈エコSF〉ってなんだろ? とは思います。遺伝子操作した動物を使ってエネルギーと取り出す工場がでてくるから? それとも、お話に環境省と通産省の対立があるから? 私にはどう読んでも、東南アジアの政情不安と対立、腐敗を描いた近未来、とういうか現代と時を同じくした並行世界の物語としか思えません。

で、お話ですが、大きく二つの流れから成り立っています。そして、この二つはさらに三つと二つ、つまり五つの流れに分けることができます。二つの流れから説明すると、レイクという工場経営者とネジマキ少女、エミコの話です。とはいえ、二人の間にあるはずの恋愛は一向に育つ気配を見せることはありませんし、読んでいる限り、いつまで経っても商品と客の関係を出ようとしません。ていうか、滅多に合わない。

もう一つの流れが環境省の検疫取締部隊、通称白シャツ隊の隊長で元ムエタイのチャンピオンであるジェイディー・ロジャナスクチャイを中心にしたものです。このジェイディー、熱狂的な支持者がいるものですからかなり強引なことでも平気で行います。しかし、部下の中にもそのことに危惧の念を抱くものがいる。

で、その二つの流れには、既に書いたように前者には、レイクとエミコのほかに、レイクの工場で働く中国系難民の老人タン・ホク・セがいます。この三人が、それぞれ独立した流れとなっているわけです。印象に残るのは、タイトルになっているネジマキ少女エミコよりも、このイエローカードのタンです。

豪商であったホク・センは、政情不安になったマレーシアで発生した中国人に対する虐殺で家族を失い、無一文になってただひとりタイに亡命してきている老人ですが、数字に強いことを見込まれて、アンダースン・レイクの改良型ゼンマイの開発をする西洋人(ファラン)工場で、現場と経理全般をみています。ところが、このタンには再び昔のような豪商に返り咲くことしか頭にありません。そのために、経理の立場を利用して横領はするは、帳簿を改竄するは好き放題。まさに現代の典型的な醜い中国人です。

二つの流れの後者には、ジェイディーのほかに、快活なジェイディーに対していつも無表情な女性、カニヤ・ティラワットがいます。物語後半では彼女の存在が大きくなりますが、それでもジェイディーの無茶ぶりがあまりに激しいため、霞みがちではあります。つまり、この小説にはその五人を主人公にした流れが、ある時は一つになり、ある時は分かれ、向きを変えながら展開していきます。

そのなかで、未来に自分を託そうとしているのがエミコでありタンです。個性や意志力では到底タンにかなわないエミコですが、タイトルになっていることもあるので、少し詳しく書いておきましょう。エミコは遺伝子工学によってつくりだされたアンドロイドですが、人間との区別がつくようにということから動きがギクシャクするように作られています。その動きが〈ネジマキ〉の由来です。

エミコは日本で作られた秘書兼愛玩用アンドロイドで、目的に合わせて肌を美しくするために毛穴が小さくつくられています。そのため、温度の低い地域や空調のある部屋などでは、十分な能力を発揮しますが、タイのような熱帯では簡単にオーバー・ヒートしてしまい、放置すれば〈死〉を迎えることになります。

そんなエミコがいるのが、彼女のようなアンドロイドの存在を違法とするタイです。日本人の金持ちが出張に際して愛玩用に連れてきましたが、その金持ちが帰国するときに捨てられてしまったのです。そして彼女は官憲の目を逃れて、娼館で好きでもないSMショーで自分の裸身をさらしながらひっそりと暮らしています。その彼女の耳に入ったのが、彼女のようなアンドロイドたちが安全にくらしている町がある、という噂でした。エミコは自由を求めて旅立つことを決心するのですが・・・

舞台がタイで、登場するのがタイ人、中華系マレーシア人、アメリカ人、日本人の姿をしたアンドロイドとあまり今までのSFにはないパターンであることは確かです。でも、そこに描かれるアジアの様子、権力構造、政情不安、国家内の対立、腐敗、女性の扱い、セックス、どれも未来というよりは現在そのものです。多分、アメリカの読者にはそのリアルさが新鮮に映ったのではないでしょうか。

SFテイストはありますが、どちらかといえばスパイ小説、あるいは冒険小説といったほうがふさわしい気がします。惜しむらくは、このての小説に不可欠な気持ちの良い行動をするヒーローなりヒロインが不在であること。時に、エミコがその片鱗を見せることはありますが、あまりに病的。これで大きなSF賞総なめですか。SF臭はありませんが、ドン・ウィンズロウ『サトリ』でもよかったような気が・・・

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紙の本

ねじまき少女 上

紙の本ねじまき少女 上

2015/11/14 03:37

弱者により語られる物語

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さぼてん - この投稿者のレビュー一覧を見る

よかった。近未来の熱気に包まれたタイを舞台に、様々な人種、遺伝子改造された生物たちがごちゃ混ぜになって、疫病の恐怖と隣り合わせになりながら生きている。
物語のほとんどは弱者によって語られる。彼らは自分たちの置かれた状況を半ば諦めつつも内から溢れる強く気高い声に動かされ、わずかな希望を頼りに安寧を手に入れようともがく。その姿勢が美しくて鮮烈。最初は性的描写やカタカナのルビ(タイ語?)に抵抗があったけれど読み進めるとそれも癖になる。

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紙の本

ねじまき少女 上

紙の本ねじまき少女 上

2017/04/30 10:56

エネルギー構造が変化した近未来を舞台にした、環境SF

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る

石油資源が枯渇し、エネルギー構造が変化した近未来。物語の中心地はバンコク。
短編集「第六ポンプ」に収録されている「カロリーマン」と「イエローカードマン」と世界観が共通しているので、それらを一度読んでいたほうが内容が理解しやすくなっていると思います。とは言いつつも、小難しい説明を避けて、登場人物の会話や情景描写から作品世界観が伝わってくるように工夫されています。

著者は環境雑誌の編集に携わりながら、小説を執筆しています。
おそらく、資源やエネルギーと地球環境との問題提起の意味も込めてこの作品を書いたのでしょう。また、様々な国籍や立場の人間の視点から物語を描写することで、政治学や経済学的な観点からも多角的に考察されています。
(小説の舞台をタイにした理由についてはわかりませんでしたが、著者が学生時代に東アジアについて研究していたことが関係しているのでしょう)。
(下巻とレビュー内容は同じ)

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