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あなたに似た人 みんなのレビュー

  • ロアルド・ダール (著), 田村隆一 (訳)
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みんなのレビュー2件

みんなの評価4.2

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紙の本あなたに似た人

2010/03/26 17:53

あなたにもある「狂気」

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐吉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ダールは、『チョコレート工場の秘密』などの児童文学作品でつとに有名だが、同時に、しばしば「奇妙な味」と評される、独特のブラック・ユーモアに満ちた短編小説でも知られる鬼才である。『あなたに似た人』は、1953年に発表されたダールの初期の短編集であり、巷間ではこの作品をもって、彼の代表作、最高傑作とする声も高い。

ダールの作品世界については、作家都築道夫の言が的確である。本書の訳者あとがきで田村が引用しているので、ここに孫引きしておこう。

『ダールは大ざっぱに言って、ふたつのテーマしかあつかわない。賭博に打ちこむ人間たちの心の恐しさ。それと人間の想像力の恐しさ、つまり、実際にはなんの現象もないところでも、人間があつまるとその想像力から、こんな恐しいことも起るのですよ、という恐しさ。このふたつのテーマである』

都築はまた、本書に収録された『南から来た男』を「前(者)のテーマの傑作であり、本書随一の傑作」と評する。ちなみにこの作品は、鶴見俊輔、安野光雅、森毅、井上ひさし、池内紀編「新・ちくま文学の森」にも採られており(第9巻『たたかいの記憶』、1995)、またミステリ・マガジン2007年3月号(早川書房)では、作家・評論家・翻訳家らへのアンケート調査によるミステリ小説オールタイム・ベストの短編部門1位に選ばれている。

収録されている短編は全部で15編。殺人の絡む話も二、三あるが、おおむねどの作品においても、さほど大きな事件は起こらない。表面上は何も起こらない話さえ少なくない。プロット自体はかならずしも奇を衒ったものではない。

しかし読み進めていくうちに、いつの間にか狂気のスイッチが音もなく入れられている。気づいたときには、読者はすでにジェットコースターのシートに括りつけられ、コースターはゆっくりと坂をのぼりはじめている。徐々に緊張が増してゆき、ダールの深遠な黒い世界が目の前に迫ってくる。けれどもはや、引き返すことはおろか、そこから目を逸らすことさえできない。

なんでもない日常の一場面が、人間の想像力というフィルターを通した途端、異様で奇怪な光景へと変貌する。それは、ときにおぞましく、ときに禍々しく、ときに愚かしく、ときにユーモラスである。ダールは、人間の内奥に潜む狂気を、読者にまざまざと見せつける。

しかもその様は、まるでポケットからコインでも取り出すかのようにさりげない。そしてそのことが何にも増して怖い。なぜなら、それによって否応なく、自分のポケットにも同じものが入っているのではないかと思わされるからだ。そう、それぞれの物語の主人公はみな、「あなたに似た人」なのである。

いくつかの作品については、それによく似た構えで、なおかつもっと仕掛けに凝った他の作家の作品を、過去に読んだことがあるような気がする。しかし、おそらくそれは、ダールの作品に触発されたのちの時代の多くの作家たちによって、彼の作品が模倣されたということの証左にほかならないだろう。発表からすでに半世紀が経っているが、一つひとつの短編が放つ異彩は、今もまったく色褪せていない。

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紙の本あなたに似た人

2009/12/01 08:51

奇妙な人物たちのミステリアスな話

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:風紋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 奇妙な人物の話ばかり15編集めた短編集である。
 奇妙とはいえ、こんな人物なら誰しも一度くらい出くわしたことがありそうだ。あなただって、奇妙な人物と思われているかもしれない。ということで、総タイトルは「あなたに似た人」。
 たとえば、『味』。

 男は、金持ちの友人マイク・スコウフィールド一家の晩餐に招かれた。株式仲買人のマイクは自宅に貯蔵するワインを鼻にかけている。同席した美食家プラットは、マイクの虚栄心に乗じて賭に誘いこんだ。マイクが自慢するワインの産地をあてたらマイクの娘をいただく、負けたら2軒の別荘を提供しよう、と。
 珍しいワインだから、あたりっこない、とマイク。
 万が一もある、と彼の妻と娘はやきもきする。
 マイクの倨傲、その家族の抵抗と欲。
 そして、一見紳士的なプラットのしたたかぶり。
 プラットはひと口ごとに正確に産地を特定していく。
 食卓だけを舞台にサスペンスがじょじょに高まっていく。

 賭けに憑かれた人々の狂気めいた執念、賭けがもたらす緊張が、賭になじみのない読者にも伝わってくる。読者を軽く戦慄させる小さなどんでん返しがあって、最後にドカンと大きなどんでん返しが読者を待ち受けている。
 省略のきいた文章だ。その先を知るのは怖い、こわいけれども知りたい、知らなくても想像できる・・・・そんな場面はあっさりと読者の想像に委ねてしまうのだ。

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