ケンブリッジ・シックス みんなのレビュー
- チャールズ・カミング (著), 熊谷千寿 (訳)
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紙の本ケンブリッジ・シックス
2016/03/13 08:13
盛り上がるまでが長い(ノンフィクションとフィクションが混在)
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
調子に乗ってまたスパイ小説を読んでしまいました。
しかも<ケンブリッジ・ファイブ>という事実(ケンブリッジ大学の卒業生のうちでもかなりのエリート5人が、洗脳されソ連のスパイであったことが発覚した事件)がベース。
実はスパイは5人ではなくもう1人いたら?、というのが本作のメインストーリーである。
諜報業界(?)には「歴史にIFは通用しない」が通用しないから恐ろしい。
ソ連・ロシア史が専門の歴史学者サム・ギャディスはUCLの講師をしているが、離婚した元妻から幼い娘の養育費と教育費を請求されており、そのうえ税金も滞納していた。 早急に金が欲しい彼は、旧知のジャーナリストシャーロット・バーグが持ち込んだネタ(6人目のスパイ)で本を書くとエージェントに交渉。 出版の約束を取り付けるが、その矢先にシャーロットが心臓発作で突然死亡する。 仕方なくサムは一人でネタを追うことになるが、行く先々でおかしなことが起こり・・・もしやシャーロットはひそかに殺されたのでは、と気づいたときにはもう遅く、サムはSIS・FSBからしっかり監視されており・・・という話。
イギリスと旧ソ連(現ロシア)との長く続いている複雑な関係を丁寧に解説してもらって、「うわっ、ヨーロッパはやはりめんどくさい」としみじみする。 しかしサムの言動があまりにおバカすぎて(素人なんだからそれで普通、と言われたらそれまでですが)、なんだか心からハラハラできないのであった。 イギリス人ってもっと実直で融通がきかない人が多いんじゃなかったの?!、と言いたくなるくらい、魅力的な女性を見ればふらふらするサムは「イタリア人か!」というくらい情けない(多分、同じことしててもイタリア人男性のほうがもっとチャーミングに見えたりするんだろう)。
そんなわけですごく長く感じてしまった印象(550ページもないんですけどね、サムはダメな割にいろいろな面を間一髪の幸運ですり抜けたりするのがどうも取ってつけたようで、ノンフィクションばりに書き込まれた部分とのバランスがあまりよろしくない)。
いや、多分サムが最後まで好きになれなかったので、そのせいかも。
大変地味な作品ですが、その地味さ加減が逆によかった。
引退したスパイは扱いづらい、ということがとてもよくわかった・・・引退したスパイたちを集めて村をつくってそこで生活してもらう、というアイディアに信憑性を感じました(一人で事実上の軟禁状態にでもしてたら、ろくなことになりませんよ、ほんと)。
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