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電子書籍

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 みんなのレビュー

  • ジョン・ル・カレ (著), 村上博基 (訳)
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みんなのレビュー1件

みんなの評価4.2

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紙の本

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ 新訳版

新訳が出たと聞き、このガチガチの筋金入りに挑戦してみたくなったのだ。この作品は「なにがなんだかよくわからない作品」といわれているからだ。

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん  - この投稿者のレビュー一覧を見る

登場人物は多数であり、それが苗字、名前、あだ名、コードネームが入り混じって、時と場所を違え、しかもあとでわかることなのだが全員が重要な役割を演じている。しかも著者が客観的に語る部分はわずかであり、それぞれの情景はそれぞれの人物の視点で語られる。読者にとってスマイリーだけはソ連の二重スパイ・Xではないと確信しているのだが、あとの人物はすべて怪しいのだ。
チェコでの作戦<テスティファイ作戦>、ソ連の情報源とされる<マーリン>とか<ウィッチクラフト>などのいかにも核心である言葉が説明のないままヒョイと顔をだし、読者には説明済みかのごとくに動き始める。

過去の事件で追放され、いまは引退しているスマイリーはXの探索を命じられるのだが、もともとXが存在するという情報自体が正しいのかどうか?もしかしたら、それが<サーカス>を混乱させるためのニセ情報かもしれないのだ。<サーカス>の幹部たちはXの存在など念頭にないので、ニセ情報だったとすれば探索というスマイリーの行動自体が裏切り行為となる。
スマイリーの敵カーラとXの浸透工作はあまりにも巧みなものだから、<サーカス>全体が彼等のために知らず知らずに汚染されている。英国情報局が正しいと確信する愛国行為が実はソ連の思う壺で英国民に対する裏切り行為であるとすれば………。カーラの企みは<サーカス>を機能不全にすることなのか?そうではないだろう。これだけヒトモノカネと時間を費やした大仕掛けである。採算にあうカーラの究極の企みとは?当時の国際情勢を思い浮かべれば、なるほどと単なるスパイ冒険小説では味わえないその迫真性のインパクトは期待通り確かなものだった。

全体構図はこうかと、物語の半分近くまですすんでようやくたどり着くことができた。枝葉末節を微細に象ること延々としてみえるが、実はどこにも隙がない完璧な伏線なのだ。その積み重ねでやがて森が見えてくることになる。タイトルの意味することが知らされる。これほど緻密な構成のミステリーは珍しい。

本格のハ-ドコアスパイ小説だった。情報機関をシステムとして浮き彫りにして、リアルに詳述している小説はほかにあるまい。システムの構成は幹部上級職と現場の工作員に分かれるが、ここは一般の会社組織と同様、忠誠と裏切り、確執と功名争いが混沌とするところだ。現場工作員は対象国内にそれぞれ独自の情報ネットワークを築き上げている。これが彼らの主要任務であり、彼らのパワーの根源である。情報ネットワークには対象国の要人が組み込まれている。当然、情報源は内部でも秘匿される。もしリストが敵の手に渡れば容赦なく抹殺される。そして工作員はシステムの一員でありながら、システムとは距離をおいた単独行動は、成功を前提にして暗黙のうちに認められている。大きな成果はそういう独自の判断からうまれるものだ。幹部上級グループは原則として現場の情報を集中させている。一方、工作員は上級幹部から指令を受け、忠実に実行する。ただ、何のための行動か、指令の目的は知らない。
要は、個性を捨象したところで機能するシステムでありながら、個性の働きに負うところが大きいという矛盾をもつのが情報機関である。システムの一員として沈着冷酷に任務を果たしながら、死地に向かっては自分の判断がすべてになる。ましてやシステムそのものへの猜疑心が芽生えれば、寄って立ってきた基盤が崩れ、自己喪失する。このギリギリの葛藤を一人一人の深層部までメスを入れて細やかに描いている。これがル・カレの魅力なのだ。

間違いなく読み通したことの醍醐味が味わえるだろう。

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