マルドゥック・フラグメンツ みんなのレビュー
- 冲方丁 (著)
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2011/06/06 20:20
マルドゥック・スケッチズ
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:峰形 五介 - この投稿者のレビュー一覧を見る
冲方丁のマルドゥック・シリーズの短編集である。収録内容は以下の通り。
1 マルドゥック・スクランブル“104”
2 マルドゥック・スクランブル“-200”
3 Preface of マルドゥック・スクランブル
4 マルドゥック・ヴェロシティ Prologue & Epilogue
5 マルドゥック・アノニマス“ウォーバード”
6 Preface of マルドゥック・アノニマス
7 古典化を阻止するための試み
8 事件屋稼業(抜粋)
1と2はウフコックとボイルドがまだコンビを組んでいた頃のエピソード。つまり、『マルドゥック・ヴェロシティ』の時代の物語ということになるのだが、ウフコックとボイルドの関係は『ヴェロシティ』本編のそれとは違って少しばかり険悪なものになっている(どちらの短編も『ヴェロシティ』の構想が固まる前に書かれたからだろう)。番外編や外伝ではなく、パラレル・ワールドの物語として読むべきなのかもしれない。
3は『マルドゥック・スクランブル』の前日譚。『スクランブル』や『ヴェロシティ』では見られなかったウフコックの単独行動(ターン能力を活かした潜入捜査)が描かれている。
4は『ヴェロシティ』の台詞や情景を切り張りしたコラージュめいた予告編。本編より先に書かれたものなので、実際の内容とは少しばかり異なるところがある(シザーズが09に加わっていたり、あるキャラの死に際の台詞が違っていたり……)。
5は本書唯一の書き下ろし。次回作『マルドゥック・アノニマス』に繋がる短編。
6は『アノニマス』の予告編。ウフコックによる『アノニマス』の登場人物紹介といったところ。もっとも、『アノニマス』はまだ完成していないだろうから、4と同様に実際の内容とは少し異なるところが出てくるかもしれない。
7は冲方のインタヴュー。本気か冗談かは判らないが、冲方は「次の改訂はまた十年後にやりましょう」と発言している。しかし、個人的には改訂はこれっきりにしてほしい。作品が古典化してしまうことを危惧する気持ちは判らなくもないが、定期的な改訂というものに対して、どうしても不安を抱いてしまうのだ。次の改定が今回の改稿のように成功に終わるとは限らないから。
8は『スクランブル』の初期原稿の抜粋。これは収録する必要があったのだろうか? なんだか、水増し感が……。
短編集ではあるものの、純粋に短編小説と呼べるのは1と2と3と5の四本だけなので、いまいち食い足りないというのが正直なところ。各作品に解説等が付いていなかったのも残念。
5と6には『アノニマス』のネタバレ……とまではいかないが、09の新メンバーの能力や敵の顔ぶれなどの情報が記されているので、真っ白な状態で『アノニマス』に挑みたい人は読まないほうがいいかもしれない。
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