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ガラパゴスの箱舟 みんなのレビュー

  • カート・ヴォネガット (著), 浅倉久志 (訳)
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みんなのレビュー3件

みんなの評価3.8

評価内訳

  • 星 5 (2件)
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  • 星 1 (0件)
3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本

紙の本ガラパゴスの箱舟

2002/07/29 15:09

ダーウィンの進化論に関する教科書

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もぐらもち - この投稿者のレビュー一覧を見る

 皮肉屋が書いた次世代人間のアダムとイブの話。物語は100万年前の1986年を振り返り、どんなに情けない人物がアダムとなり、どんな醜い方法で新人類の祖先が繁殖したのかを描きます。
 
「ダーウィンの世界における歴史をテーマとした小説である。私ならば、科学コースの学生に、偶発性の意味を理解するための手引書としてこの小説を指定するだろうし、実際に指定している。」(スティーブン・ジェイ・グールド「ワンダフル・ライフ」より)

 自然淘汰を勝ち抜いて人間が存在するのは、人間が優秀だからではなく、ただの偶然なのかもしれないけれど、この本を教科書にするのはちょっと悪趣味のような気がします。

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紙の本

紙の本ガラパゴスの箱舟

2007/11/17 09:07

ヴォネガットさんは、なんだかんだ言っても、人間が好き!

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:りっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 皮肉満載。人間の巨大脳は無責任で、たよりにならず、おまけに恐ろしく危険で、まるっきり現実離れしている――つまりは、完全なできそこないだ、と繰り返し述べている。
1、いろんな謎で退屈しのぎをすることができた。例、長い距離を泳げない生物がどうしてこんなにたくさんガラパゴス諸島へたどり着くことができたのか?
2、結婚詐欺師ジェイムズ・ウェイトのような巧みな二枚舌を使えた。
3、単なる意見が、確かな証拠と同じように人間の行動を支配していたばかりか、とつじょとしてくるりと裏返ることもあった。例―ガラパゴス諸島が地獄のようだったり天国のようだったり、うすぎたない海港にすぎなかったダイヤキルが観光地としてにぎわっていたり、紙幣や株券や債券や抵当などの価値に対する人間の意見にとつぜんの逆転があったために、観光事業が壊滅したり・・・
4、紙切れでできた富にたいする自分たちの意見を変えただけで飢餓が発生した。
5、人間が自分自身やお互い同士に加えている暴行、ことのついでにいうならば、ほかのすべての生物に加えている暴行。・・・その惑星にたいする人々の意見が逆転しただけのことである。
6、メアリーは生徒たちに、人間の脳こそ進化の生みだした最もすばらしい生存の道具だ、とも教えた。しかし、今、そのメアリーの巨大脳は、彼女に自殺するよう誘いかけた。・・・彼女の脳は、彼女にこう教えた。「みんなはおまえのいないところでおまえのことを笑って、頭のおかしい、あわれな女だと思うわ。それにどのみち、おまえの人生は終わったのよ。夫をなくし、教師の仕事をなくし、子供はいないし、ほかになんの生きがいもない。」
7、わたしもしばしば自分の巨大脳から忠告を受けたが、その忠告は自分の生存という点からみて、いや、それをいうなら、人類の生存という点から見ても、いかがわしいという形容でさえ手ぬるいほどのしろものだった。たとえば――その忠告を真に受けて、私はアメリカ海兵隊に志願し、ベトナムで戦ったのだ。おおきにありがとさんよ、巨大脳め。
8、彼らの所持金の価値は架空のものだった。この宇宙そのものの性質と同じく、アメリカのドルと日本の円の魅力は、すべての人間の頭にあるだけだった。
9、百年前、できるだけたくさんの人間活動を機械に譲りわたそうとしたあの謎の熱狂について――これこそ人間が自分たちの脳はまったくのできそこないであると認めた、その証拠のひとつでなくてなんだろうか?
10、ロイの巨大脳は彼を説得してこう信じこませた。ダアヤキルと同じく赤道地帯にあるビキニ環礁で1946年に行われた合衆国の原爆実験に、自分は水兵として立ち合ったことがある。そこでロイは、自国の政府相手に何百ドルかの損害賠償の訴えを起こすつもりだ、といいだした。なぜなら、ビキニで浴びた放射線のために、まずメアリーとのあいだに子供が生まれなくなり、そして、こんどは脳にガンが発生したからだ。
11、ゼンジの巨大脳は、彼の国で一番の大金持ちである天皇と同じぐらい金持ちになる夢をもてあそびはじめた。
12、その当時の結婚がそれほど厄介なものだったのは、これまた、さまざまな悲嘆の扇動者、あの巨大脳のしわざである。
13、当時の人間の脳は、生命をどこまで粗末に扱えるかについて、ひどく口数の多い、無責任な発案者になっていたため、未来の世代の利益のために行動することまでが、ちょうど限られた範囲の愛好家が楽しむゲームのように扱われた――たとえば、ポーカーや、ポロや、証券市場や、SF小説の執筆のようなゲームのように。
14、当時の巨大脳は、残酷という以外の目的のない残酷な仕打ちができるだけではなかった。下等動物にはまったく感じられないさまざまな苦痛を感じることもできた。
15、当時の脳は恐ろしく巨大だったため、その持ち主をも欺くことができた。
16、わたしから見ると、この男が熱心な自然保護論者として自分を売り込んだのはお笑い草であるとしか思えない。彼が取締役になっている会社や、彼が大株主になっている会社の大多数は、悪名高い水や大気の汚染者であったからだ。しかし、何かを大切にするという能力を欠いてこの世に生まれてきた※マッキントッシュにとって、それはお笑い草ではなかった。そこで、この欠陥を隠すために、彼は名優となり、すべてのものを心から大切に思っているふりをして、自分自身をすら欺いたのだ。
・・・百年前に権力の座についていたおおぜいの病的人格者と同様、※マッキントッシュもたいていのことを、ほとんど何も感じないで、衝動的にやってのけた。その行動の論理的な説明は、ゆっくり創作されて、いつもあとでつけたされるのだった。
 いまをさかのぼる巨大脳の時代、こうした種類の行動がその歴史の要約にほかならなかったのは、わたしが光栄にも参加した戦争だった。それをベトナム戦争という。
17、この新式爆弾は、巨大脳を持った軍事科学者たちから、大きな恩恵とみなされていた。核兵器ではなく、通常の兵器を使って人びとを殺傷している限り、彼らは人道的な政治家と賞賛されるのだ。
18、そういえば、最近(百万年後のこと)あまり聞かなくなった巨大脳のアイデアがある――それは奴隷制度だ。

 「わたし」は1986年に運命の“ガラパゴスの箱舟”となった、バイア・デ・ダーウィン号にすむ幽霊。100万年後にこれを書いている。運良く、経済危機、飢餓、暴動、戦争から逃れ、サンタ・ロサリア島に漂着した男性ひとりと女性が9人。メアリー・ヘップバーンの生命をどこまでも存続させようとする意欲でもって人類は進化し生き残る。というのがお話の筋ですが・・・こんな調子で、巨大脳を持つ現代人(「わたし」からみると100万年前の人たち)を、徹底的に皮肉っているにもかかわらず、100万年後の人類たちのひとりひとりの記述はない。「男女を問わず、だれもが見かけどおりの人間なのだ」という程度。
1986年当時一番初めに登場するのが結婚詐欺師のジェイムズ・ウェイト。履歴や詐欺師としてのテクニック等が詳細に描かれている。そして、彼の死の前の、彼を善人と信じたメアリー・ヘップバーンとの船上の結婚式。自分の財産をメアリーに残すと約束して・・・
ヴォネガットさんは、なんだかんだ言っても、人間が好きだったのね。きっと。
そして、皮肉の中味には、経済危機や戦争、原爆、機械化、リストラ、差別、教育問題、少子化、夫婦関係、環境問題など、私たちが抱えている問題をすべて網羅しています。S・Fの読者が少ないことまでも。書ききれないや。自分で読んでこれらの皮肉をしみじみ味わって欲しい。
扉のアンネ・フランクの言葉
「いろんなことはありましたが、それでもわたしは
  だれもが心底は善人だと信じています。」
ヴォネガットさんもそうなんだろうなぁ。私も信じたいよ。

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紙の本

紙の本ガラパゴスの箱舟

2017/08/03 10:49

多分、それは希望

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者は人間の巨大脳が人類の大部分を滅ぼして、この惑星のどこかで人類が生き残るとしたら、その人たちは他の人より優れていたからではなく、ただ偶然が重なった結果であるだろうと言いたかったんじゃないかと思う。ガラパゴスの島々の不思議な生き物たちが、必ずしも生存優位性だけでは説明がつかない生態を持っているように。

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