コンプリケーション みんなのレビュー
- アイザック・アダムスン (著), 清水由貴子 (訳)
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紙の本コンプリケーション
2016/02/28 15:17
もしかしたら文庫にならないかもしれない・・・。
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは早川書房メルマガの新刊案内でまずタイトルに惹かれ、のちに表紙を見て更にぐっと来る。 この歯車で、時計が関わっていることに気づいたから。
まず冒頭で、“コンプリケーション”の言葉が定義されている。
1. 複雑な[混乱した]状態あるいは出来事。
2. 込み入った(しばしば厄介な)種々の要素の結合。
3. ≪医・病理≫はじめの病気を悪化させる合併症、余病。
4. ≪時計≫(十六世紀初)通常の時・分・秒の表示以外にも様々な機能を持つ時計。
機構そのものと、それを含む時計の両方を指す。おもな機能に暦、月相、王道
十二宮、そのほか官能的、宗教的、あるいは奇抜な行為を見せる自動人形などが
ある。
5. 解決困難な問題。
1は辞書を引けばいちばん最初に書かれているだろう意味。 で、あたしは4のことだと思っていたのだが・・・結局1から5まですべてが関わっていた。
5年前に死んだ弟ポールの死が事故ではなかったらしいと知った兄のリーは、弟が死んだ土地・プラハに赴いて調査を始める。 が、正体不明の人物が次々に現れて、かつて“神の右手”と呼ばれた連続殺人犯が起こした事件が浮かび上がり、謎の時計“ルドルフ・コンプリケーション”の盗難に弟がかかわったのかもしれない可能性も出て、リーは古都プラハの姿に日々幻惑されていく。
まるで<現代版『死都ブルージュ』>のような、奇妙な浮遊感。
『HHhH -プラハ、1942年』もそうだったけど、プラハという町にはある種の人々を魅了してやまないなにかがあるに違いない、と確信してしまうほどだ(私は行ったことがないし、残念ながら多分行くこともないとは思うが)。
本格ミステリというよりはツイスト・サスペンスというジャンルに分類されるような気もするが、ラスト30ページの怒濤の展開(たたみかける謎と、回答が示されたかと思ったらそれがすぐに否定される可能性が出て、誰が本当のことを言っているのかがまったくわからない)には、ただただ唖然。 でもそれはあきれるということではなく、読者もまたすっかり幻惑されてしまっていたから。
プラハという街と、その街が生み出したこの物語に。
これが二段組みとはいえ300ページほどの長さしかないなんて・・・。
長さと奥行き・余韻は反比例することもある、という素晴らしい例でした。(2014年7月16日読了)
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