My Humanity みんなのレビュー
- 長谷敏司
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紙の本My Humanity
2017/12/26 22:55
理屈っぽい部分でとてもSFしている作品。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハヤカワ文庫の100冊2015秋で知り、手に取った。
もしフェアがなければ読んでいないので、深く感謝である。
そもそもSFは好きな方である。
しかし、こんなにも本があふれている現状では、手に取れる
作品数には限界がある。その結果、わたしの場合、
SFはどうしても有名作家に偏ってしまう。
ハードSFというジャンルはとても面白かったし、SF設定が
ゆるめで心に届く作品も好きである。
ディストピア小説も、価値観をぐらつかされ、考えさせられる
ところが好きだ。
こう考えてみると、やっぱりSFが好きなのである。
たまにSFの設定に酔ったような、自己満足の作品に
出会うこともある。ほかのジャンルにはあまり見られない
失敗の型であり、そんなところもSFらしいと思う。
さて、この作品についてである。
けっこう個性が強く、好きな部分と嫌いな部分がモザイクの
ように現れた。書誌情報に、ITPによる小児性愛者の矯正が
グロテスクな結末を導くallo,toi,toiなどという記載があり、
エロ・グロとホラーが嫌いなわたしは、実のところえいやーと
飛び込んだという感じだった。
確かにグロテスクな描写があった。
でもグロテスクな作品を書きたかったのではないことは明白である。
SFの特徴的な面として、設定にリアリティを持たせるため、
虚実を交えて書くときに、実の部分にコントラストが強い場合が
あるように思う。
つまりallo,toi,toiは、実の部分を強調しすぎただけである。
作品は、ナノマシンを用いて仮想現実を犯罪者の脳に発生させ、
更生させるというものであって、犯罪者の受ける感覚が
真に迫っていて非常に刺激を受けた。
だから書誌情報には違和感を覚えたのである。
My Humanityは四篇の短編集であり、それぞれ実験的な
取り組みが感じられ、限界を試している点が優れていると思う。
地には豊穣の、画一化と人間らしさのせめぎ合いも面白い。
Hollow visionの理屈っぽさは、好きな人にははまるだろう。
ハードボイルド的でもある。
父たちの時間は、原発事故に触発された作品で、
こちらも洞察の深さに瞠目する。
全般的に振れ幅の大きい作品が目についた。
それも含めて、実験的なあたりがSFらしくあり、知的好奇心を
おおいにそそられたのである。
なかなかよかった。ちょっと大人向きかな。
紙の本My Humanity
2017/05/28 12:15
分からなかったこと
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投稿者:hm - この投稿者のレビュー一覧を見る
『地には豊穣』について
ITP技術によって他者の経験を直接書き込めるようになった、ということは理解した(と思っている)。ただ、いざ書き込む際に、なぜそれが、『書き込みデータの文化』で『書き込まれる人の文化』が塗りつぶされる、ことにつながるのかが分からなかった。新たに書き込むだけなら、影響は受けることはあっても、その人の考え方そのものまで変わらないきがした。
以上が分からなかったこと。
そういう話じゃなかったら、だれか教えてください。
批判したいんじゃないんです。すっごい面白かったッスよ!人間版技マシンですよね!!
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