大列車強盗 みんなのレビュー
- マイクル・クライトン, 乾 信一郎
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紙の本大列車強盗
2003/05/29 15:53
手に汗握るスリリングな強盗劇
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きねたく - この投稿者のレビュー一覧を見る
医学部出身という変わった経歴をもつクライトン。そんな彼が生み出す小説の素材にはどれも完璧なリサーチがされていて、それが物語の一貫性や論理性にも貢献している。一見するとややインテリ風な感じもするのだが、読み出してハマってしまうと抜け出せない面白さがあるのも事実である。
そんなクライトンが得意なSFフィールドではなく、1850年代という一昔前の時代を取り上げたのが本作。彼が取り上げたのは実際に1855年5月のイギリスで起こった大列車強盗事件。この事件の資料を入念にリサーチをし、一度は捕まった強盗犯のリーダー謎の英国紳士ピアースの中心に、当時のクリミア戦争の資金として運搬されていた金塊一万二千ポンドを巡る強盗劇が展開されている。
もちろん当時の面影を残しているのは、裁判の記録、様々な人の伝承録、当時の新聞、警察の調査書くらいのものである。それにそれらも本当のことであるかどうかは疑わしい。それでもクライトンは事件のみならず、様々な当時の資料を掘り起こし、それをもとにスリルある小説として再現をしてくれた。本編でも、小説として使える素材を吟味してストーリーが組みあがっていることがよく分かる。最初はとっつきにくいかも知れないが、強盗の前後のシークエンスになると手に汗握ることは請け合い。英国紳士として、そして策士として世間を翻弄するピアースの行動には、犯罪者ながらの美学を感じずにはいられない。今をもって謎の多き事件の真相に迫るノンフィクションとしても、一流のエンタテイメント小説としても一流の作品であると思う。
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