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電子書籍

ハイペリオン みんなのレビュー

  • ダン・シモンズ (著), 酒井昭伸 (訳)
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みんなのレビュー10件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (5件)
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  • 星 3 (2件)
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  • 星 1 (0件)
10 件中 1 件~ 10 件を表示

紙の本

ハイペリオン 上

紙の本ハイペリオン 上

2003/06/04 13:56

ハヤカワSF版「火の鳥」。銀河の果てまで巡礼の旅へ。

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:NEO - この投稿者のレビュー一覧を見る

断言しよう、これは今まで読んだなかで最高のSFである、と。


この本を読まれる前に、ひとつだけ警告させて欲しい。
本書と「ハイペリオンの没落」を一緒に買われる事を、強く強くお勧めする。
私は「ハイペリオン」を読み終わった後、続きがあることを知り
激しく!地団太を踏んだ。
早く続きが読みたい! 悔しい! 続きがあるなら先に言ってくれ!
…などなど。


ハヤカワSFのファンである自分は、
ハヤカワSFだけで200冊以上の蔵書を持ち
さらに学校や地域の図書館から、本を借りて読みまくってきました。

ダニールとジスカルドの健気さに泣かされたり…(アシモフ)
小さな少女と一緒に、黄金の帆をかけて暗闇の海を渡ったり…(スミス)
死者を代弁したり(カード)、頭の中の宝石が話しかけてきたり(ホーガン)
…それこそ、「ハヤカワSF」を読んで、いろんな体験をした。

その中でも本書「ハイペリオン」を読んだときの衝撃は、筆舌に尽くし難いものがある。
一言で言うならば、「出会った!」


あらすじを簡単に説明するとこうである。
世界は崩壊しかけていた。
その世界を救うために「シュライク教団」の聖地であるハイペリオンへ
それぞれの理由を抱えた巡礼たちが、世界を、そして自分自身を救うために旅立つ話。


無理矢理、「ハイペリオン」の構成を漫画に例えるならば「火の鳥」に近いのではないか。
一つひとつのストーリーが、深くて、濃くて、考えさせられる。
道中、巡礼たちの過去が語られるのだが、まさしく「火の鳥」!

バラバラの話が、どこかでひとつに繋がっていく…
「火の鳥」の場合はそれがだったと思う。
んが、ハイペリオンでは(そこはSFだから)
という異形の神(?)で繋がる。

全身に無数の棘があるって、何だよソレ!と激しく突っ込みたくなるが
そこはグッ!と我慢して、続きを読み進めるのが賢い方法である。


最後に勝手なことを言うが「ハイペリオン」シリーズで最高!におもしろいのは
「ハイペリオンの没落」までじゃなかろうか。
以降の作品をつまらんと斬って捨てたりしないが、やはり前2作の衝撃には叶わないのだ。

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紙の本

ハイペリオン 下

ハイペリオン 下

2010/01/06 23:38

謎が解明され、また新たな謎が生まれる

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る

 シュライク教団に選ばれた7人の男女は巡礼に参加した理由をそれぞれに語っていく。彼等にはどうしても〈時間の墓標〉に行かねばならぬ固有の事情が存在した。彼等が開陳する自らの波乱に満ちた哀切極まる物語を通じて、銀河連邦と〈テクノコア〉にまつわる恐るべき陰謀と権力闘争の一端が明らかになる。しかしアウスター、そしてシュライクに関する謎は深まるばかりなのであった……

 アウスターから送り込まれたスパイの正体は判明するも、彼等の巡礼の旅は続く・・・・・・


〈学者の物語〉時間逆行SFと言えばディックの『逆まわりの世界』などが有名だが、喩えようのない喪失感は『アルジャーノンに花束を』に通じるものがある。涙無しでは読めない。

〈探偵の物語〉副題の「ロング・グッバイ」はレイモンド・チャンドラーの傑作ハードボイルドから取ったもの。電脳ハードボイルド小説『重力が衰えるとき』を意識した体裁に加え、「ジョニイ」という登場人物や「ジャックイン」「氷(ICE)」「ギブスンってカウボーイ」という表現からはウィリアム・ギブスンへのオマージュが見て取れる。特に「高度にネットワーク化された社会を統べる神のごときAIと対峙するアウトサイダー」というモチーフはモロに『ニューロマンサー』からの本歌取りである。

〈領事の物語〉「船乗りと島の娘との束の間の恋」という古典的なロマンスを縦糸に、アメリカ合衆国によるハワイ王国併合の歴史を横糸にして編まれた、SF版『ロミオとジュリエット』。この悲恋を紹介した後、領事が暴露する連邦の「闇の歴史」はまさにショッキング。

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紙の本

ハイペリオン 下

ハイペリオン 下

2001/01/17 18:12

物語のダイナミズムが約束する至福の時間。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:螺旋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 28世紀。人類は「テクノ・コア」と呼ばれるAIを擁し、200からなる星間を「転移ゲート」で繋いだ銀河連邦「ワ-ルド・ウエッブ」を形成、繁栄を謳歌していた。折りしも、辺境の惑星ハイペリオンでは、時間が遡行する禁断の遺跡<時間の墓標>のゲ−トが開き始め、「破壊神シュライク」の解放という脅威が目前のものとなる。事態を憂慮した連邦は<時間の墓標>に縁のある7人の男女を招集し、ハイペリオンへと送り込む。7人はそれぞれの思惑を胸に聖地への巡礼に旅立つが、かねてより連邦に敵対する蛮族「アウスタ−」も、時間遡行の謎を求め、宇宙の覇権を賭してハイペリオンへと侵攻を開始する。

 世評高い「ハイペリオン」、なるほどワクワクドキドキ感もたっぷりで期待を裏切らない面白さだ。盆とか正月とかの長い休みにはSFが気分だが、「ハイペリオン」は世紀を跨ぐこの年末年始にぴったりの堂々たる風格。
「20世紀SFの集大成」と帯に謳われている通り、「ハイペリオン」にはSF的な目新しさや革新性といったものは無いが、まさに集大成と言うに相応しいSF的な設定や道具立ては入念に行われ、SFの魅力は横溢している。

 物語的には、銀河連邦の興亡という危機的状況を背景に、呉越同舟の男女7人が続ける巡礼の過程で明らかにされる6つの物語で全体を構成するという連作中編の体裁。
 「テクノコア」「ワ-ルド・ウエッブ」等のストレ−トな造語で28世紀のデジタルな世界観を示す一方で、多彩にちりばめられた「聖樹船」「風莢船」「大叢海」といった翻訳者の苦労が忍ばれるアナログなイメ-ジが実に効果的で、新しさとある種の懐かしさを混在させたSF用語の数々に、物語のリアリティ-や幻想性が大いに盛り上がる。

 ゴシック・ロマンな雰囲気も濃厚に、「グランド・ホテル」型と言うより、運命共同体に乗り合わせた人たちを描く「駅馬車」形式で展開する<司祭、兵士、詩人、学者、探偵、領事>からなる巡礼達の物語は、彼等に相応しい趣向が凝らされ、多彩で謎めいていてスリリングで、センス・オブ・ワンダ-に溢れ、どのエピソ-ドも、SF魂を漲らせた面白さを持って迫ってくる。
 にもかかわらず、この本の最大の魅力は、と言えば、全編に色濃く漂う彼等の喪失感の大きさと哀切さにこそあるだろう。その傾向は下巻に行くほど顕著になっていくが、銀河連邦の興亡を背景に、巡礼達が彼等の愛と喪失を豊かな詩情を以て語り出せば、6つのミクロは、マクロな謎の1点に収斂していく物語のダイナミズムをもって、至福の時間を約束してくれる。

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紙の本

ハイペリオン 上

紙の本ハイペリオン 上

2001/03/21 22:51

物語のあらゆる要素を盛り込んだ、壮大なSF叙事詩の幕開け

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ハイペリオン・シリーズ四部作の第一作目として知られ、数多あるSF作品の中でも指折りに数えられる本作。文庫化を期に読むことができたわけだが、期待に違わぬ壮大なストーリィにあらゆる要素が盛り込まれ、読書の楽しみを存分に味わえる作品だった。旅歌は感想を書く際に、5点満点で便宜的な点数を打っているが、文句なしの5点満点であるばかりでなく、これが5点なら過去の満点作品のうちいくつかは格下げしなくてはならないとの衝動に襲われた。『ハイペリオン』以後は、評点が辛くなりそうな予感がする。自分にとっては、それほどの衝撃を与える作品だったのである。

 SF小説は嫌いではないが、好んで読む方ではないから現代のSFはまったく知らない。耽溺していた時期もあるが、それとて遥か20年前。これ以前に何を読んだか、記憶を手繰っても思い出せないくらいだ。あ、梅原克文さんのアレはSFではないんだよね…(^^;;;。そんな旅歌をこれだけ耽溺させえたのは、SF小説というよりも冒険小説的要素が濃く、そこらへんがものの見事に旅歌の琴線を直撃する内容だったからだろう。これぞ、雑食本読みの本分。題材や看板が何であれ、おもしろいものはおもしろいのだ。SFだからと敬遠している向きにはこれを機会に是非オススメしたい。

 物語の舞台は28世紀。作者は現代からここに至るまでの、歴史、文化、社会、政治、経済、科学技術、その他の社会構成因子を完全に構築済みだ。だから、冒頭から未知の単語が執拗に、怒涛のごとく氾濫する。SF小説になじみの無い読者は、ここでくじけないことです。用語なんて軽く読み飛ばして結構。そんなものは読み進めるうちに自然と頭に入ってくる。この物語のおもしろさは、そんなものを超越したところにある(と思う)のだ。人物リストもない不親切な編集には腹も立ったが、下手にネットを駆使して人物リストや用語集を探さないほうがいい。旅歌はスケベ根性を出したばっかりに、不用意なネタバレに遭遇して情けない思いをしましたから。

 この壮大なドラマは、惑星ハイペリオンへと向かう巡礼6人が、それぞれのハイペリオンとの関わりを綴る6の物語で構成されている。ホラーあり、ハードボイルドあり、叙事詩あり、冒険活劇あり、愛情物語あり、の多士済済の6つの物語。文体を変え、視点を変え、変幻自在に語られる。これら6編の中篇小説がオムニバス的に並び、幕間に時系列に沿ってストーリィが進むのだ。それぞれが独立していながら密接に絡み合う。そのどれもが示唆に富んだアイディアに満ちている。それも単なるアイディアで終わらないバックボーンの広範さと文学的深みが備わっていて、その上で縦横なストーリィが波乱万丈に展開する。SF小説好きだけの物語ではなく、多くの本読みに受け入れられるのは間違いないはず。今更の旅歌の戯言ではありますが。

 こうして、徐々に解き明かされる28世紀の姿、徐々に増幅するハイペリオンの謎、それらが疾風のごとく一点に収斂していく、物語としてかつて味わったことのない醍醐味だ。読み進めるうちにある構図が浮かんでくる。これが物語を解く鍵なんだろうか。途中から薄々感づいてはいるが、ラストに至ってまったく解明されない謎が読者を身悶えさせる。当時の読者をどれほど悩ませたか想像に難くない。その点、旅歌は幸せかな。四部作の第一巻を読み終え、間髪を入れず第二巻『ハイペリオンの没落』に進むことができるのだ。こんなおもしろい小説を今まで未読だった負け惜しみではなく…。めくるめく物語に翻弄される日々がしばらくの間続きそうだ。

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紙の本

ハイペリオン 上

紙の本ハイペリオン 上

2001/03/07 17:48

『学者の物語』

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:seimei - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ジョン・キーツの物語詩『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』を下敷きにしたSF叙事詩。スペースオペラ、サイバーパンク、宗教、神、神話、ハードボイルド、秘境探検、時間、機械、戦闘、恒星間戦争、怪物、詩、進化、《聖樹船》《終末の地球》《スキマー》《EMV》《FORCE》《森霊修道会》《最後の贖罪教会》《苦痛の神》《群狼船団》《ヘブンズ・ゲイト》《転移システム》《雲門》宇宙、未来… 全てが物語る“SF”そのものの物語。

 『ハイペリオン』では、七人の巡礼の内の六人の物語が、オムニバスの物語として語られていきます。

第一章 「司祭の物語」
 カトリック教会神父ルナール・ホイトが、考古学者であり、文化人類学者であり、聖テイヤール信奉者であるポール・デュレ神父の記録を日記形式で語っていく。秘境探検物の雰囲気を持った物語。デュレ神父はハイペリオンの謎の民族ビクラ族を探しに奥地へと向かう。そこでであったビクラ族の恐るべき生態。章の最後の圧倒的なイメージ、十字架、神父、雷鳴、恐るべき…物語。

第二章 「兵士の物語」
 導入部の巧さが光る作品。仮想戦術シミュレーションでの仮想戦場の舞台は1415年、ヘンリー5世率いるイングランド軍に長弓兵として参加していたカッサードはフランス軍の騎兵と戦っていた。そこである女と出会い、愛し合う。その後もシミュレーションの中で出会うふたり。カッサードが、戦いの果てにハイペリオンで見たものとは… この物語での“兵士”として、戦いまくります。宇宙船での戦い、シュライクとの格闘など、様々な戦闘シーンが楽しめます。

第三章 「詩人の物語」
 今は無き、地球に生まれ、400年の流転の生を生きる詩人の物語。黄昏の地球から始まる、絢爛豪華、雑多、ポップ、レトロ、サイバー、虚飾、汚物、詩が彩る物語。

第四章 「学者の物語」
 M・ワイントラウブの娘レイチェルは、ハイペリオンの〈時間の墓標〉の調査に行き、時間遡行症にかかり、どんどん、若返っていく。毎日の記憶を失い、幼くなっていく娘、それを見守る父と母。
 何という…物語なのでしょう。親、子、夫婦、父、娘、愛、絆、笑顔、言葉、その運命… 悲しみとか、感動とかを超えた、とにかく、泣ける話です。わたしにとって大切な物語の仲間入りです。「アルジャーノンに花束を」「リプレイ」路線の話が好きな方は、是非。

第五章 「探偵の物語」
 女探偵、M・レイミアのもとに現れた美形の依頼人。
「ある殺人について調べて欲しい」
「殺されたのは?」
「…僕だ」
 物語の核心のひとつである〈テクノコア〉にかかわってくる物語。依頼人はサイブリッド。人間の遺伝子ストックから象った肉体を持ち、〈テクノコア〉のメガデータスフィア・データブレーンに浮かんだ意識をもつAIだった。要するに、彼にとって殺されるとは、意識が中断され、バックアップに欠損が出たことを言う。かくして捜査をすることとなったM・レイミア。サイバーパンク・ハードボイルド・ラブストーリー。

第六章 「領事の物語」
 元ハイペリオン領事が語る、量子船に乗っているため、年のとりかたの違う、宇宙船乗りと、島の娘の恋物語。年をとる女、年をとらない男、不思議な逢瀬と、政治、環境、惑星、その結末。そして、領事の運命。

 最高の…物語です。特に、『ハイペリオン』第四章「学者の物語」は、たくさんの人に読んで欲しいです。まあ、これだけというのは、よくないかもしれないけど。

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紙の本

ハイペリオン 上

紙の本ハイペリオン 上

2010/01/06 17:50

SFというジャンルを集大成

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る

 28世紀、宇宙に進出した人類は宇宙連邦〈ワールドウェブ〉を形成していた。そして連邦への併合を拒んできた辺境惑星ハイペリオンには古来から人々の畏怖と信仰を集める未解明の建造物〈時間の墓標〉があった。〈時間の墓標〉は時間を逆転させる力場たる「抗エントロピー場」を持ち、時間を遡行して存在しつづけており、時を超越する伝説の殺戮者シュライクを封じこめている、と信じられていた。

 しかし〈墓標〉周辺の抗エントロピー場が突如膨張し〈墓標〉が開き始め、シュライクの動きも活発になってきた。時を同じくして宇宙の蛮族・アウスターがハイペリオンへ大挙侵攻を開始。連邦は敵よりも早く〈墓標〉とシュライクの謎を解明するため、7人の男女を「シュライク教信者の巡礼」という形式でハイペリオンへ送りだした。初めて顔を合わせた7人。しかもその中にアウスターの工作員が紛れ込んでいる可能性もあるという。7人は〈墓標〉へ向かう傍ら、巡礼行に参加するまでの経緯や目的をそれぞれ順番に語っていく・・・・・・

 枠物語(メタフィクション)の形式を用いて、SFのあらゆる要素を詰め込んだ大作。各回想潭ともオチのつけ方が鮮やかで、独立した短編としても楽しめる内容である。個々の物語を読み進むことで、世界観が示されハイペリオンとシュライクに関する真実が少しずつ明らかになっていくが、同時に謎も深まっていく。


〈司祭の物語〉ホイト神父が、ポール・デュレ神父捜索の過程で自らが発見したデュレ神父の日記を紹介していく、という複雑な構成。途中まではヴェルヌやドイル以来の伝統を持つ「異世界冒険潭」の雰囲気があるが、一転してビクラ族の奇妙な風習の意味を主題とした文化人類SFの様相を呈す。ホラー要素もあり。

〈戦士の物語〉ハインラインの名作『宇宙の戦士』を彷彿とさせる迫力の戦記SF。同時に連邦の政治史も説明される。

〈詩人の物語〉延命手術により400年も生きている詩人の数奇な運命を通じて語られる連邦の社会史。サイバーパンクな未来社会を活写しているところが面白い。

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ハイペリオン 上

紙の本ハイペリオン 上

2005/07/09 09:53

な、長い、、、けど上手い!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る

60年代のイギリスで論争になった「SFはスタイルか?アイデアか?」。
現代のSF小説で小説としての完成度を優先させるスタイル派の代表がシモンズ氏のように思います。
ホラーを中心に活動していた彼が始めて発表したSF長篇が本作です。

時は28世紀。
辺境惑星「ハイペリオン」が舞台です。
この星にある謎の遺跡「時の墓標」へ7人の男女が巡礼へ訪れることになりました。
それぞれの運命を背負い、それぞれの目的のため、最後の巡礼として集ったのです。
旅の間に語られる彼らの過去とは、、、。

この時代、超光速飛行により人類は集散を繰り返していた。
200の惑星を瞬間転移網で結び付け形成された「連邦」。
人工知能が人類から独立し独自の存在となった超人工知性群「テクノコア」。
破壊を繰り返す謎の人類放浪集団「アウスター」。
それぞれの勢力がそれぞれの思惑で行動していたが、「テクノコア」は「連邦」を技術的側面で支援し、
「アウスター」は「連邦」を襲って資源を略奪する。
つまり「連邦」が資源と人材を「テクノコア」が技術と情報
「アウスター」が攻撃力を持つ微妙なバランスにあった。

そして惑星ハイペリオンの「時の墓標」の封印が解け始め、「アウスター」がハイペリオンに侵攻を開始。
その裏には「テクノコア」の陰謀が見え隠れし、、、。
「連邦」は「アウスター」の侵攻を阻止すべく軍勢を送り込む一方で7人の巡礼も送り込んだ。
それぞれの勢力は何を狙っているのか?
殺す神「シュライク」がいるという「時の墓標」とは?
7人の巡礼の語る過去が相互に絡み合い大きな謎へ、、、。

通常、作家には独自の文体や文脈があり作風となります。
しかし、本作は一般的な小説の形をほとんど取り入れ構成されています。
文体として一人称、三人称、日記体、回想、夢想、、、。
文脈(形式)として年代記、戦記、喜劇、悲劇、ホラー、ミステリー、ハードボイルド、、、。
その上SFに限らず古今の名作を本歌として使っています。
まぁ、題名からしてイギリスの天才詩人キーツの
有名な作品そのままだし、、、(笑

個人的にはシモンズ氏の使った本歌や仕掛けは面白いけど
訳語を見る限り訳を落とした仕掛けがありそうです。
例えばAI(人工知性)関連の用語はギブスン氏やラッカー氏の作品にかけてある設定があるみたいですが
訳者が違う意味に取っているような部分がありました。
前後の意味は通じているので誤訳とも言えませんが(笑
それにしても様々な文体を使いこなす作者の上手さはスゴイですね。
また最初は無関係に思えた登場人物たちがそれぞれの過去を語り出すと、
その内容により人間関係も変化して、、、。
構成力はスゴイのですが文庫で上下巻900ページを越える本作では全貌が見えません。
何にしても次作「ハイペリオンの没落」も同時に読むのがお奨め。

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紙の本

ハイペリオン 上

紙の本ハイペリオン 上

2001/01/23 17:20

《時間の墓標》

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちゃぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 28世紀。人類は宇宙へとその版図を広げ、銀河に跨る広大な《人類連邦》を形成していた。その辺境にある惑星ハイペリオンには、《時間の墓標》と呼ばれる謎に包まれた遺跡があった。この《時間の墓標》を目指してハイペリオンを訪れる研究者や旅行者は決して少なくはなかったが、ハイペリオンにはまた、シュライクと呼ばれる異形の怪物も跋扈していた。ある日、ハイペリオンの元領事へハイペリオンへ戻れという要請が届けられる。《時間の墓標》を取り巻く抗エントロピー場が膨張し、今にも異形の怪物シュライクが解き放たれる瞬間が近づいているというのだ。さらに宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンに侵攻、かくして人類の命運は元領事と、惑星ハイペリオンに因縁を持つ7人の最後の巡礼に託されることになった。
 1990年度ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。著者のダン・シモンズは処女長編《カーリーの歌》で世界幻想文学大賞を受賞した実力派で、本書《ハイペリオン》は1989年に発表されるや本国アメリカ SF 界の話題をさらった傑作である。本書は当初、日本では3000円近くもするハードカバーで出版されていたが(本書の内容と比較して安いと見るか高いと見るかは読者次第だろう)、文庫本となって出版された。だが、物語はこれで終わりではない。日本語版ハードカバーで上下2段組み500ページもあるこの大長編は二部構成になっており、続編《ハイペリオンの没落》をもって物語はようやく終結するのだ。
 ダン・シモンズは詩に造詣が深いらしく、本書では十九世紀イギリスの詩人ジョン・キーツが重要なキーとして登場する。《ハイペリオン》というタイトルもキーツの書いた未完の叙事詩《ハイペリオンの没落》に由来するし、作中にはキーツやアイルランドの詩人イェイツがたびたび引用される。作品そのものはキーツ作《ハイペリオンの没落》をメタファーとし、いくつもの物語を組み込むフレームストーリー(入れ子構造)を重層に織り上げた上に、それらを一つの「創世記」として纏め上げるという仕組みになっている。
 あまり詳しく書いては興醒めなのでこのへんにしておきたいが、ともかく、本書が近年稀に見る SF の傑作であることは疑いようがない。

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ハイペリオン 下

ハイペリオン 下

2006/12/26 10:15

重厚な本格SF。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

久しぶりに本格的なSFを読んだ。昨今SFというと、どうもなんだか軟派な感じがある。それを咎めるつもりはもちろん無いけれど。SFは元来、こういう厚く冷たく、どっしりとしているのが元来の姿じゃないか、と思わされた。
アナザーワールド的物語の命は、その世界のリアリティをどこまで感じさせてくれるかだと思う。その点において、私は小野不由美さんの「十二国記」に勝るものは無いのでは!?と思っていた。だが本作品も世界観から小道具に至るまで、非常に良く作りこまれており、全く違和感無く物語の世界に入り込む事が出来る。
物語は28世紀が舞台となる。人類は英知を結集し、広大な宇宙空間に散る惑星を「転移ゲート」で繋げ、銀河連邦「ワールドウェブ」を完成させた。だが辺境の星「ハイペリオン」で時間を司る遺跡「時間の墓標」に異常が起こり、悪魔的生物「シュライク」が蠢きだす。連邦はゆかりのある人物7人を選び、ハイペリオンへと送り込むが・・・。
このようなSF物、非常に想像力を刺激してくれるし、新しい世界観を得る事さえ出来るように思う。だからぜひ中学〜高校生くらいに読んでもらいたいもの。なんだけど・・・本作品、ちょっと性描写がキツい部分がある。その点において、子供達に薦められないのが残念な点か。SF好きの「大人の」為の大傑作、としておこうw。

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ハイペリオン 上

紙の本ハイペリオン 上

2001/11/05 13:09

ジャンルは不定

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:死せる詩人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ハイペリオン(以下本書)は、90年代の代表的SF作品だと専らの評判である。しなしながら、私が考えるに本書は作品の持つ比重のうち、SFのそれがほんの少しだけ他の比重よりも大きかった故にSFと呼ばれているにすぎない。
 本書はそれほどまでにジャンルを超越した作品に仕上がっている、ホラー、ミステリ、ハードボイルド、ラブロマンス、タイムトリップ、エトセトラ。作品を構成する6つの物語は、単なるパーツではなくそれぞれが、1つの作品と言っても良いほどに濃密で読み応えのある内容になっている。
 上巻には、6つの物語のうち3つが収まっている。日記調にハイペリオンの伝説をホラー・スリラ風に語る「司祭の物語」、28世紀の宇宙を取り巻く戦争状況を、軍事小説的に説明し、銀河系全土に書け巡るネットワーク〈ウェブ〉を介して語られるまか不思議な「兵士の物語」、世界を取り巻く奇怪な相対論的時間差を情緒纏綿に文学調で綴る「詩人の物語」がそれである。

 しかしながら、本書を読む前にたびたび見聞きするだろう絶賛や賞賛に心を奪われてはいけない。例えどのような良書であろうと、読者の過剰な期待に応えてくれるわけではないのだ。ごくごく、普通の小説に相対するように読み始めれば、期待以上の興奮が得られることだろう。

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